イバンカ氏は絵になる人なので、テレビにとってはいわばこれ以上はない「ターゲット」でした。しかし安倍首相までがメディア同様の持ち上げ方をしたのに対しては、さすがに辛口の批評が並びました。
日刊ゲンダイは「イバンカ “異常厚遇” で露呈 安倍政権に外交戦略まるでなし」とタイトルをつけた記事で批判しました。
「くろねこの短語」氏は「手厚いおもてなしは(国の)『外交』というよりは(プライベートな)『社交』だ」と酷評しました。
また元外務官僚の佐藤優氏は「大統領補佐官のイバンカさんを安倍首相が直々にもてなすのは異常。これは日本がアメリカの従属国だと全世界に発信した異常な対応です」と述べました。
安倍首相はこの場面でも、イバンカ氏が主導している女性起業家支援基金に気前よく57億円の国費を拠出しましたが、折悪しく前日の2日付で「世界経済フォーラム」が「男女平等の世界順位」を公表していました (^○^)。
それによると日本の男女平等の度合いは144カ国中実に114位で、前年より3つ順位を下げ、主要7カ国中 今年も最下位でした。ということでとてもそんなパフォーマンスに浸っている場合ではなかったのでした。
これは経済、政治、教育、健康の4分野14項目で、男女平等の度合いを指数化し、順位を決めるもので、下位にはエジプト(134位)やサウジアラビア(138位)などアフリカや中東諸国が並んでいます。日本がひときわ出遅れているのが政治分野の123位と経済分野の114位で、教育分野は74位でした。
「美しい」言葉が好きな安倍首相は「すべての女性が輝く社会づくり」を日本政府の最重要課題の一つとして官邸のホームページに掲げ、そのことに注力してきたのではなかったのでしょうか。114位とは実に恥ずべき体たらくです。
そろそろスローガン作りに励むのはやめて、それぞれのテーマがどのように実行されているのかまたは実行されていないのかを、かえりみるべきではないでしょうか。
日刊ゲンダイ・くろねこの短語の記事と、日経新聞の「男女平等世界順位」の記事を紹介します。
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イバンカ“異常厚遇”で露呈 安倍政権に外交戦略まるでなし
日刊ゲンダイ 2017年11月4日
来日したトランプ米大統領の長女・イバンカ大統領補佐官に対するフィーバーぶりがものすごい。テレビはトップニュース扱いで、成田空港から都心へ向かう車をヘリコプターで追っ掛けまでやった。身長180センチのモデル体形であの美貌だから、ワイドショーが大騒ぎするのは仕方ないが、安倍政権が夕食会だなんだかんだとイバンカを異常に厚遇するから、メディアもそれに追随しているのだ。
イバンカは3日、日本政府が都内で開催した「国際女性会議WAW!」に出席して基調講演。「創造性と新たな視点をもたらす女性が経済、世界を成功に導く」と語り、女性による起業や経済分野への積極参加の重要性を訴えた。会議には安倍首相も出席。その場で、イバンカが主導して女性起業家を支援する基金に、5000万ドル(約57億円)を拠出すると表明した。
ちなみにこの基金は発展途上国での女性の起業家や中小企業を支援するもの。2日に「世界経済フォーラム」が発表した2017年版「男女格差報告」で、日本は144カ国中114位と政治経済分野で“遅れた国”とされている。イバンカにいい顔をするため、気前よく億単位のカネを出す前に、安倍首相は自分の国の「女性活躍」にもっと力を入れたらどうか。
国際ジャーナリストの堀田佳男氏はこう言う。
「大統領の娘だからといってここまでの厚遇は例がないと思います。トランプ大統領との盟友関係を重視するあまり、その長女だからと無条件かつ盲目的に厚遇するのは、非常に安易です。背景には、日本が安全保障面で国際戦略を築けていないため、戦後70年経っても防衛政策で米国に追従せざるを得ない事情がある。日本の戦略のなさを露呈していると思います」
娘にポンと57億円である。「もっと出せるだろう」と、あす来日するトランプの要求がエスカレートしかねない。
くろねこの短語 2017年11月4日
昨日の文化の日は、国会前で「憲法改正反対」の4万人集会が開催された。ああ、それなのにTVのニュースは「イバンカ、イバンカ、イバンカ」の大合唱。これが日本だ、ぼくらの国だ・・・と思うと泣けてくる。
国会前に集った4万人にはまったく無頓着に、ペテン総理はトランプとのラウンドに備えてゴルフの練習に汗を流しましたとさ。同じ汗なら、国民のために流しやがれ・・・それはともかく、ゴルフの後にはトランプご令嬢の接待に邁進して、いまさらのようにイバンカ主導の女性起業家基金に57億円拠出を表明。これって、既に発表されていたことで、それをわざわざ本人の前で表明するということは、その魂胆が奈辺にあるかトーシローにだって想像がつこうというものだ。
そんなペテン総理のおもねりに「愛い奴」ってことなんだろう、返礼のスピーチで「アベノミクスはウーマノミクス」ときたもんだ。
この異常で異様な歓待ぶりに、元外務省のラスプーチン・佐藤優君が「大統領補佐官のイバンカさんを安倍首相が直々にもてなすなんて異常です。これは日本がアメリカの従属国だと全世界に発信した異常な対応です」と文化放送『くにまるジャパン極』でコメントしていたんだが、さすがに海外のメディアからも「日本の奇妙なイバンカ・トランプへの熱狂」(米ワシントン・ポスト紙)と揶揄されちゃいました。そもそも、日本から首相補佐官クラスが訪米したって、大統領はおいそれと会ってくれはしません。ましてや、夕食会なんかネバーあり得ない。
(↑ 動画)
つまり、ペテン総理にとって、イバンカへの「おもてなし」ってのは、「外交」というよりは「社交」なんだね。だったら、ポケットマネーでやりやがれ!!
速報 日本114位、過去最低 世界の男女平等ランキング
日経新聞 2017年11月2日
【ジュネーブ=細川倫太郎】世界経済フォーラム(WEF)は2日、世界各国の男女平等の度合いを示した2017年版「ジェンダー・ギャップ指数」を発表した。日本は調査対象144カ国のうち、114位と前年より3つ順位を落とし、過去最低となった。女性の政治参画が遅れているのが主な理由で、1日に発足した第4次安倍内閣の女性活躍の推進が一層問われそうだ。
同指数は女性の地位を経済、教育、政治、健康の4分野で分析し、ランキング化している。
日本は女性の閣僚や議員の少なさが目立ち、政治は123位と20も順位が下がった。10月22日の衆院選では定数の約1割にあたる47人の女性が当選したが、海外と比べると政治への進出は遅れている。
経済は114位と4つ順位を上げたものの、依然低い水準だ。男女の収入格差が大きいのが影響しているうえ、専門職や技術職で女性が少ない。教育は識字率は世界1位だが、高等教育の進学率が101位と低く、同分野全体で74位にとどまっている。健康は出生時の男女のバランスの改善で、40位から一気に1位※に浮上した。
※ 1位タイ(34か国)
(中 略)アジア太平洋地域では、ニュージーランドが9位、フィリピンが10位に入っている。
一方、下位には、エジプト(134位)やサウジアラビア(138位)などアフリカや中東諸国が多い。(後 略)