2017年11月6日月曜日

第9回 立憲主義と憲法9条をまもる新潟県民のつどいに参加しました

 5日、燕三条磁場産業振興センターで開かれた「立憲主義と憲法9条をまもる新潟県民のつどい」に、「湯沢平和の輪」から5名が参加しました。

 小春日和というよりも暑い日差しの中、全体で1100余名が参加し熱気のあふれる会になりました。
 2017年度20代高校生平和大使の神谷優李さんの挨拶などがあった後、メインイベントの木村草太・首都大学東京教授による講演(演題:憲法9条の今後)が行われました。滅多に出会わない資料(A4判6ページ)なども添えたうえに、安倍首相や自民党への軽妙な皮肉もふんだんに交えた、まったく飽きさせない講演でした。
 以下にその講演要旨を記しますが、事務局の独断でまとめましたので文責は事務局にあることを予めお断りいたします。

 講演のあと「集会アピール」を採択し、その後市内パレードに移りました。
 集会アピールを末尾に掲示します。
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講 演 要 旨 
                    (文責は平和の輪事務局)
憲法=張り紙 の論理
 憲法は、国家が現に失敗したり、失敗しやすい項目について、それを防止するために「注意書き」を張り付けるようなものである。
 日本国憲法は、かつて国家権力が ①戦争 ②人権侵害 ③独裁 の三大失敗をしたのに対して、それを克服すべく ①軍隊と戦争をコントロールする ②人権を保障する ③権力は分立して、独裁は許さない の機能を盛り込んだものを制定した・・・という論理

憲法と解散権
 現行憲法には国会の解散権の歯止めが明記されていないため、「解散権は首相の専権事項」だとする誤った解釈がされている。
⇒ これについて木村教授は歯止めをつける具体的方法を、下記などで提案していますので、そちらを参照してください。

教育の無償化
 安倍首相はこれを憲法改正の論点の―つに挙げているが、そもそも日本政府は12年9月に「中等・高等教育無償化を段階的に進めるよう定めた国際人権A規約(132項b、c)の留保を撤回しており、無償化の推進はすでに条約上の責務となっている(⇒ 条約は憲法より優先される)。年間4兆~5兆円の財源があれば、幼児教育から高等教育まで無償にできると与野党とも試算している。
 高等教育保護者や学生個人の利益と見るのは間違い

憲法9条と国際法
 国際法には武力不行使原則があり、国家実力行使(武力行使)は違法とされている。
 国連憲章33条〔紛争の平和的解決の義務〕等)
 例外として集団安全保障(国連憲章42条)個別的自衛権(同51条)、集団的自衛権(51条)が認められているが、日本は憲法9条により集団的自衛権の行使はできない。

政府憲法9条解釈
 9条の文言は国際関係における武力の行使を一切禁じているよ見えるが、憲法前文で確認している「国民の平和的生存権や憲法第13条が「生命、自由及び幸福追求に対する民の権利」政の上で最大尊重を必要とする旨定めている趣旨を踏まえて考えると、9条が、我が国が自国の平和と安全を維持し、その存立を全うするために必要な自衛の措置を採ることを禁じているとは到底解されない外国の武力攻撃によって国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆されるという急迫、不正の事態に対処し、国民のこれらの権利を守るためのやむを得ない自衛の措置として自衛隊は容認される

9条に自衛隊を明記することの矛盾
 安倍首相は9条の1項・2項を維持しつつ自衛隊を憲法に書き込む案を提案しているが自衛隊は既に前項のように認められていて、行政組織として自衛隊法その他の諸法に明記されているので、それを新たに憲法に書き込むのは、現行の自衛隊が憲法違反であることを首相自身が認める(または新安保法が憲法違反であることを認める)という矛盾に陥る。
 集団的自衛権行使を含めた自衛隊を憲法に明記するという提案も、やはり現行の新安保法が憲法違反であると認めるものであり、いずれにしても「不用意な発言ないし提案」と言わざるを得ない。


安倍政権の憲法破壊を許さず戦争法の廃止をめざすための
集会アピール

 立憲主義と憲法9条をまもる新潟県民のつどいは、4年前の秋、ここメッセピアで第1回をスタートしました。その後は春の新潟県民会館、秋の各地域集会へ継続し、中越、上越、下越を一巡して本日の第9回県央集会を迎えています。
 憲法課題の1日限定共闘として始まった県民のつどいは、立憲主義と憲法9条をめぐる情勢変化の中で、すべての県民が力を合わせる市民と野党の共闘という流れにつながる経過をたどりました。

 とりわけ安倍政権がみずからの保身のため、「国難突破解散」と言いつくろって解散権を濫用した第48回衆議院選挙にこの特徴が良く示されました。県内6つの小選挙区で市民と野党の共闘候補が実現し、与党に対し42敗の勝ち越しをもぎ取りました。原動力となったのは昨年の参議院選から県知事選と連続した新潟方式の共闘運動にります。さらに共闘運動を地域からしっかりと支え、力を結集する取組を積み重ねた一人ひとりの行動が原点にります。共闘方針を具体化する実践運動体として、各地に結成された市民連合や総がかり運動をますます強く大きくし、市民が力を合わせることの大切さを共有していきましょう。

 小選挙区の勝ち負けは国会の改憲発議の行く末に直結します。この視点で1022日以降の情勢を冷静に見る必要がります。改憲勢力の衆議院議席は2/3超から自公と改憲野党を含む3/4超へと変化しました。安倍政権は「天の時を得たと確信している。発議できるまで頑張っていきたい」と神がかりの如く公言し来年中の改憲発議を視野に入れた動きを加速しています。
 一方で東アジアの緊張関係を煽りたて、他方で談笑しながら趣味の「ゴルフ外交」に興じている姿に対し、さらに芸能人まで動員するとの「外交」に対し国民の批判が広がっています。

 なお冷静に見れば全国比例の自民党の絶対得票率は17・9%でた。選挙制度を巧妙に利用したため議席占有率は61・0%に達します。しかし「原発はダメだ。戦争だけは絶対にダメだ」これが多くの国民の声であることを、私たちは良く知っています。この声をていねいに集め具体化する運動が必要です。

 私たちは「安倍9条改憲NO!憲法を生かす全国統一署名」の運動をスタートしました。改憲阻止と安倍政権打倒のため、質・量とも一回り大きな国民運動へ進化し深化するために行動を始めます。平和のうちに生きる権利のための行動です。
 113日の憲法公布記念日では国会包囲の大行動か起こされ、連動して全国各地の行動が取り組まれました。世界の宝 平和憲法9条をまもりぬくために、今が頑張りどころです。すべての県民の声に耳を澄ませ、行動を強化することを宣言し、第9回県民集会のアピールといたします。力を合わせて頑張りましょう。
 2017115
            第9回立憲主義と憲法9条をまもる新潟県民のつどい