「マスコミに載らない海外記事」に“彼の評価は正確と思うか?”というThe Saker紙の記事が載りました。
その問いかけは、先にPaul Craig Robertsが“明日という日が来なくなるかも知れない”というタイトルで、“アメリカ軍の兵器は今やロシア軍に比べれば二級品だ“と述べたのを対象にしたもので、それは正しい評価なのかというものです。
The Saker紙は、Paul Craig Robertsの主張は基本的に正鵠を射ているとして、アメリカの兵器は量的には決定的に凌いでいるが、質と訓練の点ではロシアの方が遙かに進んでいる、今のアメリカ軍の状態を要約すれば憂慮すべき崩壊状態にあると、肯定しました。
この記事は6500語と長いので、紹介するに当たり事務局が勝手に1/3以下に要約しました。詳細は記載のURLから原文にアクセスしてください。
文中に「次から次に登場するアメリカの兵器システムは、兵士たちが実際にそれで有効に戦えるためではなく、出来るだけ多くの金を費やすことが重要なのである。~ 本当の軍事専門家が見れば、アメリカの兵器システムが優位であるという主張はお笑い種でしかない。例えば、フランスのシステム(ラファール戦闘機やルクレール主力戦車など)はアメリカの同等品より優れていてより安価なので、アメリカの兵器を売り込むためには、大金の賄賂や、大規模 “オフセット契約” が必要になる」という記述があります。
安倍首相や防衛相は大いに参考にすべきです。
検討対象になった “明日という日が来なくなるかも知れない” は短い記事なので全文を紹介します。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
彼の評価は正確と思うか?
マスコミに載らない海外記事 2017年11月17日
The Saker 2017年11月2日
“彼の評価は正確と思うか?”という問いかけは、先にPaul Craig Robertsが“明日という日が来なくなるかも知れない”というタイトルで“アメリカ軍は今やロシア軍に比べれば二級だ“と述べているのは正しい評価なのかというもの。
Paul Craig Robertsの主張は基本的に正鵠を射ている。アメリカの兵器は量的には決定的に他を凌いでいるが、質と訓練の点ではロシアの方が遙かに進んでいる、今のアメリカ軍の状態を要約すれば憂慮すべき崩壊状態にある。
周知のように、アメリカは第二次世界大戦後、唯一工業施設が灰燼に帰せられなかった大国であったが故に、その後数十年間、超大国として世界に君臨した。
しかし、大戦後あまり時をおかずに勃発した朝鮮戦争では別に勝利したわけではなく、その後に起こしたベトナム侵略戦争ではひたすら消耗した挙句に撤退を余儀なくされ、戦争の過程でドルは金兌換券の地位を失った。
ベトナム以降アメリカ軍の侵略先は、アメリカから見れば無防備に等しいの国々への攻撃に限られた。しかしその後ソ連崩壊が起き、第一次湾岸戦争で勝利すると、“唯一の超大国”・“ハイパー大国”という自画像を持って、アフガニスタンやイラクに対する全面的侵略を行ったが、侵略が完了し、一旦は勝利宣言をしたものの、アメリカ軍がそこから撤退できなくなるという「大惨事」が起きた。
確かにアメリカ軍は他のどの軍よりも巨大で、比類の無い戦力移動・投入能力があり、優れたハイテク技術を持ち、膨大な核兵器を保有し、大洋と戦略的要衝を支配しているが、それでもレバノンやコソボやアフガニスタンやイラクでの最近の戦争を見ると、そうした要素は別に決定的なものではないことが明らかになった。
逆にアメリカはそれほどの手ごわい敵ではないという合意が、アメリカが屈伏させようとしている国々の間で生じつつある。
膨大な核兵器の保有も、それで全てが解決するという「万能薬」ではなく下記の制約がある。
・核攻撃された場合、アメリカを完全に消し去ることができる国(ロシア) あるいは、少なくとも、アメリカに膨大な損害を与えられる国(中国)の存在
・核兵器による報復を恐れることなく、アメリカが核攻撃することが可能だが、アメリカとその同盟諸国に膨大な通常と不釣り合いな損害を与えることが可能な国々(イラン、朝鮮民主主義人民共和国)の存在
・アメリカが核攻撃しても、おとがめは少なくて済むだろうが、アメリカは通常戦力でも粉砕できるはずなので、核兵器使用が無意味な国々(ベネズエラ、キューバ)の存在
もしもアメリカがイランに対して核兵器を使用すれば、取り返しがつかないほどEUとアメリカの関係を損ないNATOは終焉するし、北朝鮮対して使用すれば、韓国と日本にあるアメリカ基地は閉鎖されることになるので、結論的にアメリカの核兵器は、他の核大国に対する抑止力としてのみの意味しかない。
アメリカは世界中の国々の合計額よりも多額の軍事費を使っているが、その大半は、途方もなく肥大化した産軍複合体(ーそれはぼろもうけで何十億ドルも稼ぐー)寄生虫関係者全員の懐を潤すために使われる。それに比べればウクライナの軍事組織すら “ほどほどの腐敗” に見えてくる。
他の国々は普通2つから5つ程度の諜報機関で済んでいるのに、アメリカが17もの諜報機関をもっているというのも、そのままアメリカの天文学的水準の腐敗を示している。
次から次に登場するアメリカの兵器システムは、兵士たちが実際にそれで有効に戦えるためではなく、出来るだけ多くの金を費やすことが重要なのである。そうしたシステムはアメリカより二、三世代、遅れている敵に対して使用されるので一見恐るべきものに見えるが、本当の軍事専門家が見れば、アメリカの兵器システムが優位であるという主張はお笑い種でしかない。
例えば、フランスのシステム(ラファール戦闘機やルクレール主力戦車など)はアメリカの同等品より優れていてより安価なので、アメリカの兵器を売り込むためには、大金の賄賂や、大規模 “オフセット契約” が必要になる。
対してロシアの軍事予算はアメリカよりもはるかに小規模だが、ロシア兵器システムは兵士たちのために設計されているだけでなく、アメリカ軍より遥かに腐敗の程度が低いので、結果として、アメリカは量的には断然首位であるものの質の面では既にロシアに後れをとっている。それは今後も時間とともに酷くなる。
しかしこの腐敗状態がいつまでも続くということはあり得ない。ヘーゲルの弁証法が示す通り、優位にあるものの強みが自らの弱さを生み出す結果、そこに留まれなくなる。何十億ドルという大いに腐敗した上部構造は、いずれこうした体制を改革しようとする勇気を持った軍事指導者や政治指導者の登場で克服される筈であるものの、当面は、Paul Craig Robertsは荒野で叫ぶ孤独な者であり続けるだろう。
明日という日がこなくなるかも知れない
マスコミに載らない海外記事 2017年10月31日
Paul Craig Roberts 2017年10月28日
ワシントンの阿呆連中が我々を地表から吹き飛ばす前に、低能連中はロシア軍と比較すれば、アメリカ軍は今や二流だという事実を甘受したほうが良い。
例えば、アメリカ海軍は、ロシアの超音速対艦ジルコン・ミサイルで陳腐化させられた。
例えば、ロシアのサルマトICBMの速度と軌道の変化が、ワシントンの迎撃システムを無効にしてしまった。イギリスやフランスやドイツやテキサス州を破壊するには、一機のサルマトで十分だ。アメリカ合州国を破壊するのは、わずか一ダースで済む。
皆様はなぜこれをご存じないのだろう?
例えば、ワシントンの途方もなく高価なF-35ジェット戦闘機はロシア戦闘機にかなわない。
例えば、アメリカ戦車はロシア戦車に到底かなわない。
例えば、ロシア軍は戦闘即応性と訓練の点で勝っており、意欲旺盛で、わけのわからない16年間の不毛でいらだたしい戦争で疲れ果ててはいないのだ。
もしアメリカが、軍事的により優位な大国との破滅的な戦争をする羽目になったとすれば、それはトランプ大統領に反対し、ネオコン戦争屋と組んで、トランプがロシアとの関係を正常化するのを妨害した、ヒラリー・クリントンやDNCや元CIA長官ジョン・ブレナンや軍安保複合体や売女マスコミや、アイデンティティ政治ですっかり阿呆になったアメリカ・リベラル/進歩派/左翼の責任だ。
ロシアとの正常な関係が無いので、核のハルマゲドンがダモクレスの剣のように我々の頭上に垂れこめている。
無謀で無責任な、民主党や印刷やTVメディアや我々を守るはずの軍安保複合体やリベラル/進歩派/左翼が、人類を破壊するため、緊密に連携して作業しているのは、法外で、びっくり仰天で、言い訳がたたず、不可解だということに同意されないのだろうか?
核大国との関係正常化に一体なぜこれほどの反対があるのだろう? 一体なぜ、緑の党までが、反トランプ・プロパガンダ支持に回ったのだろう。緑の党は核戦争の結果を理解していないのだろうか?
ロシアとの関係を正常化したがっている大統領を追放しようという狂って、あきれた取り組みが一体なぜ行われるのだろう?
一体なぜこうした疑問が、公的論議の話題にならないのだろう?
アメリカの政治指導部とマスコミと知識階級の失敗は徹底的だ。
悪が地球上の生命を破壊する前に、アメリカ以外の世界は、ワシントンを隔離する何らかの手段を見出さなければならない。
Paul Craig Robertsは元経済政策担当の財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリプス・ハワード・ニュー ズ・サービスと、クリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼 の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOST、The Neoconservative Threat to World Order.が購入可能。
記事原文のurl: