21日付の記事:「今も継続している『米国占領下の戦争協力体制』(矢部宏治氏)」で明らかにされたように、米軍は事実上 日本全土を基地として使える条約上の権利を持ち、そこから自由に国境を越えて他国を攻撃する権利も合わせ持っています。
そういうことも含めて、日本が米国と結んだ「地位協定」は極めて米軍に有利なもので、当初からドイツや韓国のそれとは違っていました。
ドイツや韓国はその後も対米地位協定の改定に努め自国の権利を前進させましたが、日本ではそうした実質的な改定はほとんど行われずに、依然として世界中で最も屈辱的な内容になっています。
基地問題、在日米軍問題、安保問題をテーマに闘いを続けている人たちの集い「第10回東アジア米軍基地 環境・平和シンポジウム」が19日、横浜で開かれました。
厚木基地爆音防止期成同盟、非核市民宣言運動・ヨコスカ、沖韓民衆連帯などからの報告のほか、韓国からは「サードミサイル建設阻止闘争」、「済州カンジョン海軍基地建設阻止闘争10年」、「ピョンテク米軍基地問題」などについて、各地で闘う人たちからの報告がありました。
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厚木・横須賀・韓国・沖縄で粘り強いたたかい〜
東アジア米軍基地問題シンポジウム
レイバーネット 2017年11月21日
どんよりとした空と冷たい空気が、もう冬かと思わせる日曜日の朝11月19日、横浜から相鉄線に乗り、天王町で降りてグーグルの地図を頼りに横浜水道会館を探した。そこで「第10回東アジア米軍基地 環境・平和シンポジウム」が開かれていた。韓国、沖縄、日本の米軍基地がいまどうなっているのか、私たちはそれとどう向き合うかを報告、議論していた。
午前の部は、日本各地の米軍基地の現況と課題についてだった。横浜ノースドッグ、厚木、横須賀、佐世保、岩国、京丹後Xバンド、横田からの報告があった。横浜ノースドッグは、横浜港の中心部にある米陸軍の基地で、面積は横浜スタジアムが約20個入る大きさとのこと。米軍の輸送や特殊任務などの拠点であり、米軍ヘリの訓練基地、ヘリポートとしても使用されている。今年8月に横浜ベイブリッジ近くを低空で飛ぶ、米海軍ヘリの様子などが報告された。
厚木基地爆音防止期成同盟の石郷岡忠男さんから「騒音被害と爆同の闘い」の報告があった。厚木基地は米海軍の航空基地。米軍機のジェット化とともに騒音が激化し、さらに横須賀が空母の母港になったことで艦載機の基地となり、滑走路を空母の飛行甲板に見立てた離着陸訓練が昼夜日常的に行われた。「1時間に100機近いジェット機が飛ぶこともある。すさまじい騒音で人が住める状況ではない」と石郷岡さんは話した。そして「1960年頃に住民団体を立ち上げ、いまだに頑張り続けなければならない現状を見てほしい」と訴えた。第4次訴訟は7000人を超える原告が集まり、横浜地裁と東京高裁で「飛行差し止め」が認められたが、最高裁で覆されてしまった。現在第5次訴訟を立ち上げ、原告募集中とのこと。
非核市民宣言運動・ヨコスカの新倉裕史さんから「安保法制」成立後の横須賀「進む日米海軍の一体化」について報告があった。自衛隊法95条の改定による「武器等防護」は、要請があれば国会承認も必要とせず、防衛大臣の判断だけで自衛隊の出動が可能となる規定。現在日米のイージス艦が24時間体制で、日本海で行動を共にしていることが明らかになっていると報告された。聞いていて、日本は戦争をやりたいのかと恐ろしくなってきた。
昼食休憩をはさみ、午後1時半から「よろずピースバンド」の歌と演奏があった。横須賀の定例デモでリヤカーに音響を乗せ、歌っているとのこと。「♪リヤカーで軍艦に立ち向かう」「♪兵士たちに銃を引くなと呼びかける」と歌っていた。午後は沖縄と韓国からの報告だった。沖韓民衆連帯の高橋年男さんは「韓国民衆との平和連帯と沖縄における米軍基地反対運動」について報告した。また自衛隊が駐屯している与那国島からの報告もあった。
韓国からは「サードミサイル建設阻止闘争」「済州カンジョン海軍基地建設阻止闘争10年」「龍山など返還基地の環境問題」「ピョンテク米軍基地問題」について各地で闘う人たちからの報告があった。閉会のあいさつで「フォーラム人権・環境・平和」の藤本さんは「安全保障の名の下で、どれだけの人権が侵害されているか。平和のために共にがんばろう」と話した。
今年で10回目となるシンポジウム。私は初めて参加したが、各地で粘り強く闘う人たちの根性と熱意に圧倒された。巨大な米軍基地と闘うには、巨大なネットワークと連帯が必要だと感じた。〔尾澤邦子〕