安倍政権は、米国製地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」の2基導入を来月中旬にも閣議決定する方針を決めました。2基で1600億円です。
それはトランプ大統領の圧力に安倍政権が一も二もなく屈したものであって、夏に出された防衛省概算要求では予算立てがされていないものです。5年おきの防衛大綱にも導入が明記されていないということです(それらがなくても購入できる仕掛けにはなっていますが)。
そもそもそれを取り扱う陸上自衛隊は、ミサイル防衛システムを導入するのは初めてなので、しかるべき教育機関を創設し習熟する必要があり、場合によっては、米国留学させる必要も出て来るということです。その分時間や人員だけでなくカネもまだかかります。
何よりも武器輸出反対ネットワークの杉原浩司代表は
「高軌道で発射され、高速で落下するミサイルには対応し切れないといった指摘も上がっています。それでもロクに議論せず、トランプ大統領に求められるままに閣議決定で購入を確約しているのですから許せません」
と語っています。
と語っています。
肝心の「兵器の性能評価」を完全に欠落させたままで、「ミサイル防衛システム」が必要と騒ぎ立てて、国民の血税を投入することは許されません。ミサイル防衛システムの有効性を誰が保障するのでしょうか。
「“ベニスの商人”がそう言っているから」では勿論通用しません。
「“ベニスの商人”がそう言っているから」では勿論通用しません。
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陸上イージス1600億円で導入 政府の決定に自衛隊から異論
日刊ゲンダイ 2017年11月14日
やっぱり米国の“腰巾着”だ。安倍政権は、ミサイル防衛の新規装備となる米国製地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」の2基導入を来月中旬にも閣議決定する方針を決めた。1基800億円で計1600億円だ。配備先は秋田、山口両県を候補地として検討しているという。
6日に行われた安倍首相との共同記者会見で、トランプ米大統領が「兵器購入が完了すれば、安倍首相は北朝鮮のミサイルを撃ち落とせる」と発言。安倍政権は、早速「買いまっせ~」と揉み手で応じた格好だ。
「今年夏の防衛省概算要求では、イージス・アショアの『導入方針』は示されたものの、本格的な予算立てはされていない。5年おきの防衛大綱にも導入が明記されていません。トランプ大統領の“購入要請”を受け、政府として閣議決定で購入に前向きな姿勢をアピールしたかったのでしょう」(防衛省関係者)
運用は陸上自衛隊が行う方針だが、内部から異論が噴出している。
「ミサイル防衛システムは導入しても即、運用可能とはなりません。これまで既存の防衛システムを運用してきたのは、海自と空自で、陸自は今回が初導入。米国製の兵器ですから、当然、勝手も分からない。しかるべき教育機関を創設し、隊員にイチから運用方法を学ばせねばなりませんし、場合によっては、米国留学させる必要も出てきます。時間や人員、カネもまだかかるでしょう。トランプ大統領の“押し売り”に簡単に応じてしまっていいものかどうか」(自衛隊関係者)
まともに動かせるか分からない代物に、即断即決で巨額の税金をつぎ込むというのだからどうかしている。武器輸出反対ネットワークの杉原浩司代表は言う。
「初めにイージス・アショア導入を決めたのは、今年8月の日米2プラス2会合でのことでした。小野寺防衛相は当時、まるで手土産を誇るように導入を発表しましたが、事前に国会審議もなければ、国民への説明もほぼありませんでした。そもそも、北朝鮮の脅威への対抗という名目で導入を進めていますが、数十発のミサイルを一度に打ち込まれれば、全て撃ち落とすのは不可能に近い。高軌道で発射され、高速で落下するミサイルには対応し切れないといった指摘も上がっています。それでもロクに議論せず、トランプ大統領に求められるままに閣議決定で購入を確約しているのですから許せません」
ミサイル防衛に頼る前に、外交交渉で「撃たせない」努力をするのが一国の首相の仕事だろう。