大塚耕平氏が(参院を中心とする)民進党の新代表に選出されました。旧民主党を牛耳っていた岡田氏・前原氏それに枝野氏などの見飽きたメンバーに比べると清新な感じがしますが、大塚氏は早くも「共産党との共闘は慎重に検討する」などと述べています。
彼の考え方に連合の意向が色濃く反映されているのであれば興ざめなことです。
植草一秀氏は、大塚氏を明るく温厚な人物と評価する一方で、安倍政治基本路線を肯定する連合内の「隠れ自公派」=旧同盟系の連合に支援されている との疑いがあるとして、新代表は党を公明正大に分離・分割し、政党交付金残高を適正に処理することを最大の任務と認識するべきであるとしています。
「戦争法制を肯定し、憲法改定に賛成する。原発再稼動も容認する。消費税増税も容認するのであれば、自公と何の違いもなく野党にとどまる理由はないとして、それを基本政策判断の基軸にして、民進党は二つに分かれるのが望ましい。永田町の数あわせの論議だけに引きずられて、党の分離・分割を厭うのは誤りである」
と述べています。
そして自公と考えを共通にする者たちは、この際
「細野豪志氏、長島昭久氏、そして前原誠司氏などと同様に『希望の党』に移籍し、自公補完勢力であるという旗幟を鮮明にして、これから活動してゆけばよい。
本来政党というものはそうあるべき(これまでのような民主党・民進党のような集まり方は間違い)で、そうなることで新たな展望が開ける(要旨)」
としています。
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大塚耕平新代表最大責務は民進党分割完遂にあり
植草一秀の「知られざる真実」 2017年10月31日
(阿修羅 2017.10.31 市村 悦延 投稿 より転載)
民進党が新代表に大塚耕平氏を選出した。
大塚氏は日銀出身の経済政策に明るい温厚な人物である。
これまで民進党を牛耳っていた人物がしゃしゃり出て、民進党を元の方向に引き戻すよりは、はるかに良い人事を行ったと言えるが、野党の状況はまだまだすっきりしない。
希望、立憲、民進、無所属に分裂したが、すっきりと分離・分解が完了していないのだ。
すっきりしないまま、またこれらが連携するなら、完全な元の木阿弥である。
総選挙で立憲民主が、短期日にもかかわらず、主権者の幅広い支持を集めたのは、立憲民主の立ち位置が明瞭になったからだ。
それまでの民進党は「水と油の混合物」で基本政策の方向が不明確だった。つまり、安倍政治に対峙する勢力と安倍政治に与する勢力が同居していた。その最大の目的は、反安倍勢力の結集を妨げることにあった。
安倍自民が何と言って攻撃していたのかを見れば、それがよく分かる。
安倍首相は「民共共闘」の言葉を用いて、野党共闘を攻撃していた。「まんじゅうこわい」と似た話であって、民共共闘が本当に怖いから、これを牽制していたのである。
民進党が希望と立憲民主に分離・分割されて、政策方針が純化された。
原発・戦争憲法・消費税に対する基本スタンスにおいて、希望と立憲の相違が明確になった。
反安倍の主権者は、立憲民主が示す政策方針に共振したのである。そして、この基本方針が、共産党、社民党の主張とも重なり合って、広範な選挙協力体制が敷かれた。
その結果、立憲民主が議席を大幅に増大させたのである。
民進党は、この現実を踏まえるべきだ。いま求められていることは、民進党の分離・分割の完遂である。元の民進党に回帰させることではない。
なぜなら、民進党の分離・分割が、基本政策の相違、基本政策の不一致に端を発して生じたことだからである。そして、この分離・分割を主権者国民が歓迎した。
ようやく、明確な政策方針、政策公約をもとに投票することができる状況が生まれた。
戦争法制、憲法改定、集団的自衛権行使については、主権者の意見、判断も真っ二つに割れている。
その方針を明示しなければ、政党としての存立意味さえないと言って過言でないだろう。
希望と立憲民主で、この点に関する主張が正反対なのだ。
だから、残余の民進党も、基本政策判断、基本政策公約を基軸に、二つに分かれるのが望ましい。永田町の数あわせの論議だけに引きずられて、党の分離・分割を厭うのは誤りである。
戦争法制を肯定し、憲法改定に賛成する。原発再稼動も容認する。消費税増税も容認する。
この考えを持つなら、自公と何の違いもない。野党にとどまる理由はないのだ。
戦争法制を認めない。憲法改定を阻止する。原発再稼動を認めない。消費税増税を容認しない。この政策路線、政策主張が明確であるから、初めて「安倍政治退場」の主張を明示できる。
この主張と、上記の戦争法制・原発再稼動・消費税増税を容認する主張とが、同じ政党のなかに同居していることがおかしいのだ。重要なことは、民進党をはっきりと分離・分割することである。
問題は、大塚耕平氏が、安倍政治基本路線を肯定している、連合内の「隠れ自公派」勢力である、旧同盟系の連合に支援されているとの疑いにある。
自公勢力と結託する連合内の「隠れ自公派」勢力は、民進党をすっきりと分離。分割することに反対であり、民進党を「与党」と「野党」の中間の「ゆ党」の位置に留め置くことを狙っているのだと思われる。
大塚氏がこの使命を帯びて新代表に就任したのなら、民進党にはまったく期待を寄せることができなくなる。民進党がもとの「ゆ党」に回帰するなら、来年の参院選で主権者は、この政党を完全に見放すことになるだろう。
このことを適正に踏まえて、大塚新代表は党を公明正大に分離。分割し、政党交付金残高を適正に処理することを最大の任務と認識するべきである。
衆議院議員総選挙では小選挙区が勝敗を分ける決め手になる。
参議院議員通常選挙では、1人区の勝敗が全体の勝敗に直結する。
このことを踏まえると、安倍政治を倒すには、そして、自公政治を終焉させるには、反安倍勢力の結集が必要不可欠である。「反安倍」の根幹は「政策」であって「政党」ではない。
これまでの民進党のように、政策において、完全に「親安倍」の主張を展開する者、候補者を、反安倍の主権者は支援することがまったくできない。
主権者の多くが、今回総選挙で希望の党立候補者を支援できなかったのは、希望の党が公認条件に、1、戦争法制容認 2.憲法改定賛成 3.共産党との共闘拒絶 を定めたと見て取ったからだ。これを明記するなら、これは「反安倍」でなく、「親安倍」になる。
それでも、立憲民主・共産系と、希望系が、多くの選挙区で候補者を並立して擁立したから、自公勢力が完全に漁夫の利を得た。反安倍主権者の投票が分散してしまったからである。
だから、重要なことは、政策を基軸に候補者の一本化調整を行うことである。
これが本格的に実行されたのが、北海道、新潟、沖縄 であった。
「希望」は「安倍系」であることを明確にした上で、立憲民主、共産、自由、社民系で候補者の一本化を実現したのである。
その結果、自公と立憲・共産系の獲得議席数が
北海道では 11対9 新潟では 5対4 沖縄では 2対3 になった。
合計でも 18対16 になった。完全に互角の戦いを実現できたのである。
自公に対峙するには、政策路線が明確な野党の共闘が必要不可欠である。
これを妨害するのが、政策路線が不透明な「ゆ党」勢力、「隠れ自公補完」勢力なのだ。
「自公補完勢力」としての「希望の党」は「維新」勢力とほぼ同一である。
これまで民進党に在籍してきたが、「親自公」の考え方を有する者が自発的に希望の党に移籍して、立場を明確にすることは分かりやすい。
細野豪志氏、長島昭久氏、そして前原誠司氏などの移籍はきわめて分かりやすいものである。「希望の党」は自公補完勢力であるという旗幟を鮮明にして、これから活動してゆけばよい。
参議院議員を中心に残存した民進党のそれぞれのメンバーは、自公補完勢力の希望に合流するか、反自公勢力の立憲民主に合流するか、を判断して、早急に分離・分割を完遂するべきだ。
また、希望の党に移籍したのは間違いだったと判断する議員は、法律の制約がない場合は、速やかに立憲民主に移籍するべきだ。
これからの選挙は、安倍自公およびその補完勢力 対 反安倍勢力大連帯 のかたちで、がっぷり四つの戦いを演じるべきである。この方式に移行すれば、必ず政権交代の展望がはっきりと見えてくる。
反安倍勢力が結集を図るときに、共産党を排除する理由はない。共産党との共闘を攻撃しているのが誰であるのかを見れば、その意味は明確になる。共産党を含む反安倍勢力の結集が恐ろしいから、脅威があまりにも大きいから、共産党との共闘を安倍首相が懸命に攻撃しているのである。
政策を基軸に党派の壁を超えて、主権者が主導して一選挙区一候補者の体制を構築する。
オールジャパン平和と共生が訴え続けている、
この方式をオールジャパンに広げることによって、必ず展望が拓けてくると確信する。