2017年11月10日金曜日

米国との同盟関係を韓国と競い合う安倍首相

余裕をもって柔軟に対応しています。それは総合的な高い国力に裏打ちされたものなので当然ですが、韓国の文政権が堂々とトランプ氏に対応しているのは見事です。
 韓国はトランプ氏怒りを募らせても(夕刊フジ)動じずに、当然のこととして「対北人道支援」を行い、北朝鮮に対し「最大限の制裁と圧力をかけていく」とアメリカと歩調は合わせるものの、その一方で、北朝鮮の核問題は、を周辺国を含む国際社会とも協力しながら「平和的に解決するため努力していく」と述べています。
 更に国会で「朝鮮半島で韓国の事前同意のない軍事的行動はあり得ないと明言し、韓国が常にアメリカの北朝鮮攻撃を制止して態度は一貫させています。
 それが一国のリーダーの取るべき態度です。
 その点で、歓心を買うためなら1兆円をも投げ出すどこかの首相とは大違いです。いつも従属しながら「良好な関係にある」と取り繕うのは間違いであって、そんなのは友好関係でも何でもありません。

 FNNによれば、安倍氏とトランプ氏との一連の会談の中で、朝鮮半島で軍事衝突が起きた場合に、韓国にいる日本人をどう退避させるかについても話し合われ、韓国駐留アメリカ軍による日本人の輸送など、今後、具体的な対応を協議していくことを確認したということです。
 万一の場合の韓国駐在日本人の引き上げは最優先事項ですが、日本が懸念すべきことは決してそこに留まるものではありません。そうした認識があれば、「朝鮮有事」に到らないように最大限の努力をもってアメリカを説得するのが日本のリーダーの役目の筈ですが、それに関する言及は何もなかったようです。

 天木直人氏が、「米国との同盟関係を韓国と競い合う安倍首相の愚」と「ゴルフと会食を優先した安倍対米首脳外交の歴史的敗北」とする二つのブログを出しましたのでその記事と、併せてFNNニュースを紹介します。
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米国との同盟関係を韓国と競い合う安倍首相の愚
天木直人のブログ 2017年11月9日
 かつて文在寅大統領がトランプ大統領との首脳会談で、日本は韓国と違って本当の意味で米国の同盟国ではないといい、これにトランプ大統領が頷いたと報じられた事があった。
 それを見事に示したのが、トランプ大統領の韓国国会における演説だった。
 そしてきょう11月9日の朝日新聞が教えてくれた。
 朝鮮半島有事の際の作戦統制(指揮)権を米軍から韓国軍に移管する問題で、これを求める韓国側に対し米側が難色を示していると。
 日本では考えられない、米軍に対する韓国による指揮権行使の移管要求だ。
 これこそが本来の同盟関係だ。対米従属一辺倒の日本と韓国の違いだ。
 日米密約によって、基地提供ばかりか、自家隊に対する指揮権までも米軍に白紙委任した日本では考えられないことだ。
 韓国がここまで強く出られるのは、文字通り、朝鮮戦争を今でも米国とともに戦っているからだ。

 そんな韓国と米国との同盟関係を競っているから安倍首相は文在寅大統領に勝てないのだ。
 勝ちたければ安倍首相も米国の戦争と戦わなくてはいけない。
 しかし、そんな事をすれば、失うもののほうがはるかに大きい。
 実際のところ韓国は大きなものを失いながら朝鮮戦争をいまでも戦っているのだ。
 憲法9条を持つ日本は、韓国と米国との同盟関係を競うより、韓国に教えてやるべきだ。
 一日も早く韓半島の平和を実現して、米国との軍事同盟関係を解消したほうが韓国の為だと。
 それが憲法9条を持つ日本の首相の取るべき正しい外交だ。安倍首相はその真逆を行っている。愚かな安倍首相を持つ日本国民は不幸である(了)


ゴルフと会食を優先した安倍対米首脳外交の歴史的敗北
天木直人のブログ 2017年11月9日
 きょう11月9日の読売新聞が、トランプ米大統領の韓国国会での演説全文を掲載している。
 それを読んで思わず唸ってしまった。
 演説の冒頭の大部分を使って、北朝鮮と共に戦った韓国を讃え、米韓「血の同盟」関係を確認している。返す刀で演説の大部分を割いて北朝鮮を酷評している。極めつけは次の言葉だ。
 「北朝鮮は、あなたの祖父が思い描いた楽園ではない。誰にとってもふさわしくない地獄だ」
 そして、最後に再び韓国を絶賛し、ありがとう、あなたたちに神の祝福がありますように、と締めくくっている。
 しかもその後で、朝鮮の人々に神の祝福がありますように、と南北統一をほのめかしてる。
 いくら韓国で、「トランプ来るな」というデモが起きても、この国会演説を聞けば、韓国民は自尊心をくすぐられるだろう。これが、トランプを国賓として招待した文在寅大統領の首脳外交だ。

 そして、次に訪れた中国では、いまや帝王となった習近平主席が、中国が世界に君臨した時代の象徴である故宮を貸し切りにして、トランプ大統領を、聞いた事のない、「国賓を超えた賓客」としてもてなした。
 まもなく始まる首脳会談でも、立場の違いを巧みに封印して、世界を支配する米中大国関係を演出することになろう。これこそが首脳外交だ。
 首脳外交とは、決して首脳間の個人的友好関係を誇示するものではない。
 その国の国民を背負った二国間の首脳の、国家の威信と国益を賭けた凌ぎ合いなのだ。

 ひるがえって、それに先立って行われたトランプ大統領の来日はどうだったか。
 個人的友好関係を強調するあまり、ゴルフと会食パフォーマンスが優先された。
 米国大統領の初来日にもかかわらず国賓としなかったのは、天皇陛下の謁見を避けるためではなく、ゴルフをしたかったからに違いない。いまとなってはそう思わざるを得ない。
 トランプ大統領の国会演説よりも、トランプ大統領とのゴルフと会食を優先したかったのだ。
 それもそのはずだ。
 日米同盟という名の対米従属一辺倒の戦後の日米関係では、米国の大統領が日本の国会で日本国民に語るべき言葉はないからだ。

 その対米従属関係を、ここまで「強化」させ、国民に見せつけた安倍首相は、習近平主席や文在寅大統領の首脳外交に比べて歴史的敗北をおかした。
 ついでに言えば、今度のトランプ大統領のアジア歴訪の主要議題である北朝鮮問題についても、文在寅大統領や習近平主席にとっては、危機が問題ではない。あくまでも米国との外交をいかに有利に運ぶかのカードなのだ。
 その意味ではトランプ大統領も同じだ。
 一方の安倍首相は、本気になって危機を煽っている。笑い話だ。
 まさしく首脳外交における安倍首相の歴史的敗北である(了)


 日米首脳 やりとり判明
FNNニュース 2017年11月7日
公表されなかった首脳会談でのやりとりが、取材でわかってきた。
安倍首相とトランプ大統領の会談の中で、朝鮮半島有事が発生した場合の対応も含めて、突っ込んだ話し合いをしていたことが明らかになった。

政府関係者によると、一連の会談の中で、朝鮮半島で軍事衝突が起きた場合に、韓国にいる日本人をどう退避させるかについても話し合われ、韓国駐留アメリカ軍による日本人の輸送など、今後、具体的な対応を協議していくことを確認したという。
こうした中、政府は、北朝鮮の35の団体と個人の資産を凍結する、日本独自の制裁措置を決定し、閣議で了解した。
菅官房長官は「(北朝鮮が)度を越した挑発的な言動を繰り返していることは、断じて容認できない。北朝鮮が問題解決に向け、具体的な行動をとることを強く求めたい」と述べた。
一方、会談の中で、トランプ氏が、北朝鮮との対話を重視する韓国に強い不満を漏らしていたこともわかった。
今後は、日米両国の蜜月関係が、韓国や中国を巻き込んだものにできるかが問われることになる。