メディアにおけるクロスオーナーシップ(クロスオーナー制度)とは、現在の日本のように、新聞社が放送業に資本参加するなどして、特定資本が多数のメディアを傘下にして影響を及ぼすことをいい、海外では禁じられています。
日本でも民主党政権時代に、小沢一郎氏などによってこの制度の禁止が提案されましたが、メディアからの大反対があったのでしょう、その後は沙汰やみになっています。
「日々雑感」氏は、日本のようにマスメディアが僅か数社の全国紙によって牛耳られている状況が、政権によるマスメディア支配を可能にしているとして、この制度を禁止しなければならないと述べています。
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電波の規制改革よりも前に「クロスオーナー制度」を禁止せよ。
日々雑感 2017年11月27日
政府の規制改革推進会議は、電波の割り当て制度の改革について、民間の新規参入を促すため、電波の周波数帯の利用権を、入札価格だけでなく、企業の技術力などを総合的に評価して決める新たな方式の導入を求めるなどとした答申案をまとめました。
政府の規制改革推進会議は、電波の割り当て制度の改革や、待機児童の解消に向けた保育制度の見直しなどの重点検討分野について、改革の方向性を盛り込んだ答申案をまとめました。
それによりますと、電波の割り当て制度の改革で、民間議員が、新規参入を促す必要があるとして提案していた、電波の周波数帯の利用権を競争入札で決める「電波オークション制度」の導入については、業界団体などから慎重な意見が出ていることを踏まえて、継続課題にするとしています。
一方で、電波の周波数帯の利用権を、入札価格だけでなく、企業の技術力などを総合的に評価して決める新たな方式の導入を求めていて、来年度中に、電波法の改正案を提出すべきだとしています。
また、待機児童対策で、企業が設置した保育所では、従業員以外の子どもの受け入れが定員の半数までとなっていることについて、空きがある場合は、半数を超えて受け入れられるように上限の撤廃を求めています。
規制改革推進会議は、29日開かれる会合で答申を決定し、安倍総理大臣に提出することにしています。
(以上「毎日新聞」より引用)
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2011年7月24日から始まった「地デジ」は多くの家庭になどにあったブラウン管式のアナログテレビを廃品にしてしまった。私の家でも三台のアナログテレビが「廃品」になったことを契機にテレビ視聴をやめた。
そうした莫大な負担を各家庭やホテル業者などに課した「地デジ」への切り替えは電波の開放が謳い文句だった。つまり「地デジ」にすればチャンネル数が増えて電波が有効活用できる、との事前説明で国民や各企業は納得させられた。
しかし実際に「地デジ」放送が始まって六年が経つが、テレビチャンネルは増えていないしテレビ放送事業法が改定されて新規参入の敷居が低くなったとは寡聞にして知らない。これも官僚たちの謳い文句をそのままオウム返しに国民への説明に使った馬鹿な政治家による暗愚政治の賜物かと嘆息するしかない。
日本の政治家はかくも暗愚揃いだ。事前説明と実施後の実態とが大きく乖離していることがしばしばある。
消費税もそうだ。最初の導入時に「社会福祉の財源」に消費税の安定財源は必要だと説明された。5%増税時も8%増税時も同じような説明がされた。そして今回の10%増税を前にして一部を「福祉」や「国民への投資」の財源だと説明して安倍自公政権は大勝を果たした。
なぜこうしたデマによる世論操作が可能なのか。それほど日本国民は愚かで騙され易いのか。いやそうではない。日本のマスメディアが僅か数社の全国紙によってテレビまでも牛耳られ、政権による支配がマスメディアにガッチリと及んでいるからだ。
米国のような百社前後のテレビ放送局があって、各社各様に自由闊達な政権との距離感を保つマスメディアが日本にはない。その元凶は新聞各社がテレビ局を支配する「クロスオーナーシップ」にある。ちなみに米国ではクロスオーナーシップは禁止されている。
しかも日本は電波の管理が総務省で行われ、総務官僚の恣意的な差配で電波利用税が年間6億円前後と異常に低く抑えられている。テレビ放送事業者は「電波利用タダ」状態が日本では定着している。
なぜテレビ電波のクロスオーナー制度を禁止して、すべてに解放された入札制度にしないのだろうか。もちろんNHKも公共放送としての使命を果たしたとして民営化すればよい。年間6000億円もの巨額費用を浪費する放送局が「公共放送」だと海外の放送局が知れば爆笑ものだろう。
日本のテレビ放送事業は外国の常識に照らせば非常識の塊だ。現在ではネットを「配信手段」とする放送局もいくつかある。自由な意見を表明するには現行数社の全国紙にガッチリと握られたテレビ局では不可能だ。
そして最も危惧するのは日本の寡占的なマスメディアによる「言論統制」が日本の世論を支配していることだ。例えば「CO2地球温暖化」という科学的根拠のない「説」に基づくプロパガンダを唯一無上の「真理」とする放送以外認められていない、という事実だ。例えば日本は朝鮮半島や台湾を「併合」したにも拘わらず「植民地支配」と表現するのが日本のマスメディアでは常態となっていることだ。
なぜ自由闊達な様々な意見が日本のマスメディアに見られないのだろうか。それが国際問題になろうが、それは発信した個々人の問題であって、マスメディアは自由闊達な発言の場を提供するだけで良いはずだ。しかし、現実はそうはなっていない。きわめて厳格な「言論統制」がなされ、使ってはいけないとして特定の言葉が使用禁止として「言葉狩り」がなされている。
それらの元凶もクロスオーナーシップに関連している。日本は決して自由な国ではない。ことに言論に関しては後進国以下の「言論統制」国家だ。