2017年11月13日月曜日

北朝鮮に米軍が地上侵攻したらどうなるのか

 アメリカが北朝鮮を攻撃する・・あってはならないことですが、そうなった場合に自国にはどんな被害が生じるのか、そしてどんな戦争になるについては、軍は勿論、政治家・そして国民は予め読んでおく必要があります。そういう前提があってはじめて進路の選択ができるからです。そんな知識がゼロのまま「何をやろうとも強く支持します」などと他国の首脳が公言するのは余りにもデタラメで愚かな話です。

ニューズウィーク日本版WEB記事「北朝鮮に米軍が地上侵攻したらどうなるのか  」を「東洋経済オンライン」が転載しました。

 それによるとアメリカ軍部は、北朝鮮の核兵器を完全に破壊するためには地上侵攻するしかないと考えていて、その場合には北朝鮮と韓国の死者は戦闘開始後あっという間に100万人以上に達するだろうと、英国の軍事専門家は見ています。
 そして米軍の侵攻に対して北朝鮮が核攻撃で報復すれば、10万人の在韓・在日アメリカ人を含めて数百万人の市民の命が危険になるが、そうなる前に北朝鮮の核兵器を完全に破壊できる保証はどこにもないということです。

 米議会調査局は、米朝戦争が起きた場合通常兵器しか使用しない場合でも、最初の数日で最大30万人が死亡すると推計し、米ジョンズ・ホプキンズ大の北朝鮮分析サイトは、もし北朝鮮が韓国の首都ソウルと東京を核攻撃した場合、両都市で死者が最大210万人に上ると推計しています。

 北朝鮮に対する望ましい軍事的選択肢など1つもないと言うのが結論です。
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北朝鮮に米軍が地上侵攻したらどうなるのか
「流血の大惨事になる」と専門家は警告
 東洋経済オンライン 2017年11月10日
「ニューズウィーク日本版」    
地上侵攻は北朝鮮の核兵器を破壊するためのもの。もし北が先に核のボタンを押せば、攻撃されるのは在日米軍と在韓米軍だ。

アメリカが北朝鮮を地上侵攻したら、どれほどの犠牲が出るか。「流血の大惨事になる」と、専門家は警告する。
米軍の最高機関である米統合参謀本部は10月下旬、北朝鮮が開発する核兵器や関連施設を「完全に破壊する」ためには、地上侵攻しかないという見解を示した。北朝鮮の金正恩政権の内部情報がほとんどなく、核兵器や通常兵器の保管場所もほとんど把握できていないため、標的ありきの空爆では完全に破壊することができないのだ。

地上戦が避けられないとしたら、それは具体的にどんな戦争になるのか。専門家に聞いた。
米軍が地上侵攻に踏み切るとしたら、それは多面的な軍事作戦の一部になるだろうと、英シンクタンク国際戦略研究所(IISS)ワシントン所長のマーク・フィッツパトリックは本誌に語った。
地上侵攻の主力は韓国軍で、米軍の特殊部隊は諜報活動や後方支援を担うだろう。「地上侵攻の要は、北朝鮮の核兵器や関連施設を掌握することだ。問題は、それらの位置を特定できるかどうかだ」とフィッツパトリックは言う。

朝鮮戦争では数百万人が犠牲に
だが地上侵攻に先駆けて、まずは米空軍のF22ステルス戦闘機やB2ステルス戦略爆撃機などが、すでに場所がわかっている北朝鮮の核関連施設や大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射台を攻撃する。その後、米軍と韓国軍の特殊部隊がパラシュートで北朝鮮に降下し、核兵器の保管場所を特定して無力化する。この作戦は戦いの「かなり早い段階で」実施されるはずだと、米政府で対北朝鮮政策を担当したこともあるフィッツパトリックは言う。
「米韓両軍は対立が戦争にエスカレートする前に核兵器を掌握しようとするだろう。北朝鮮の核攻撃だけは阻止しなければならない」

北朝鮮との戦争では「非常に短期間で相当数の死者が出る」とフィッツパトリックは警告する。実際、朝鮮戦争では約3万3000人の米軍兵士を含め数百万人が犠牲になった。たとえ核兵器が使われなくても、北朝鮮と韓国の死者は戦闘開始後あっという間に100万人以上に達すると、フィッツパトリックはみている。
北朝鮮は恐らく、戦闘開始後のできるだけ早い段階で核攻撃を行おうとすうるだろう。攻撃対象はたぶん在日米軍か在韓米軍、もしくはその両方だ」

ただしアメリカが北朝鮮の金正恩政権を相手にわざと戦争を始めるとは思わないと、フィッツパトリックは言う。「米朝戦争が勃発するとしたら、最もありそうなのは、米政府の声明や行動を北朝鮮が誤解した時だ」

望ましい軍事的選択肢など1つもない
韓国には約2万4000人、日本には約4万人の米軍兵士が駐留している。一方、北朝鮮軍の兵士は約120万人で、1万1000人規模の砲兵部隊と60発程度の核兵器を保有すると見られている。技術力も含めた軍事力ではアメリカが北朝鮮を圧倒しており、負けるのは北朝鮮だろう。だがアメリカが北朝鮮と戦争を始めれば、数百万人の市民が犠牲になる、という見方が大勢だ。

米軍の軍事作戦に対して北朝鮮が核攻撃で報復すれば、10万人の在韓・在日アメリカ人を含めて数百万人の市民の命が危険になる。そうなる前に、北朝鮮の核兵器をアメリカが完全に破壊できる保証はどこにもない。

米議会調査局が10月下旬に発表した報告書は、米朝戦争が起きた場合、通常兵器しか使用しない場合でも、最初の数日で最大30万人が死亡すると推計した。米ジョンズ・ホプキンズ大の北朝鮮分析サイト「38ノース」が10月に発表した別の報告書は、もし北朝鮮が韓国の首都ソウルと東京を核攻撃した場合、両都市で死者が最大210万人に上ると推計した。

北朝鮮に対する望ましい軍事的選択肢など1つもないと、多くの人が感じるのは当然だ。