共産党の宮本徹議員は衆院財務金融委で、「中期防衛力整備計画」(2014~18年度)をとりあげ、実際の兵器の調達金額が、同計画策定時の見積もり約8100億円を2470億円も大きく上回っている実態を告発しました。
米国に対して武器購入費の「仮払い」をしたうちから、実際の金額を引いた「余剰分」もキチンと返還されず、その累計額は1000億円以上に上っています。
また、日刊ゲンダイによれば、金を支払った分の装備品も注文通りに納入されているわけではなく、納入された装備品のうち「不具合」が見つかったのは、2005年度以降107件、金額で約2300億円、また01年度以降、米国から送付されてくる装備品の金額を掲載した「計算書」と、実際に日本側が受け取った「受領検査調書」の内容が一致しないケースが64件、約671億円あったということです。
米国は言い値で売りつけるだけでなく、契約した後からでも好き勝手に内容を変えているという実態があります。
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中期防 調達額が大幅増 軍拡が暮らし圧迫
衆院委で宮本徹議員が追及
しんぶん赤旗 2018年2月17日
日本共産党の宮本徹議員は16日の衆院財務金融委員会で、5年間の軍事力整備計画を示す現行の「中期防衛力整備計画」(2014~18年度)をとりあげ、実際の兵器の調達金額が、同計画策定時の見積もりを大きく上回っている実態を告発しました。
宮本氏への答弁で防衛省の西田安範・整備計画局長は、中期防策定時に比べてティルト・ローター機(オスプレイ)は約747億円増、イージス艦は約635億円増などとなっていることを示しました(表)。増額要因として、「構成品等の追加」や、米国からの調達品の「為替レート変動」による価格上昇などを挙げました。
宮本氏は、現行の中期防が軍事費を聖域にして毎年0・8%増の枠を設けた上、「為替変動」などによる費用増の上積みまで認めていると指摘。西田局長は、5年間の総額が、補正予算や18年度予算案を含め名目値で25兆43億円(「米軍再編関係経費の地元負担軽減分」などを除く)にのぼり、年平均の伸び率は13、17年度の補正後予算額を比べると約1・8%だと答えました。
宮本氏は、中期防であらかじめ決めた購入数量に向けて巨費を投じ、将来世代へのつけ(後年度負担)も急増していると批判。麻生太郎財務相が「安全保障環境は厳しさを増している」と正当化したのに対し、「軍事費が他省庁の予算を圧迫し、社会保障費の自然増の抑制などが行われている。憲法25条の生存権を保障する予算こそ最優先にすべきだ」と主張しました。
対米従属の極み ポンコツ兵器押し売りにダンマリの日本
日刊ゲンダイ 2018年2月17日
ヤクザにたかられる“カモ”と一緒である。日本政府が米国から「イージス・アショア」や戦闘機などの防衛装備品を購入する「有償軍事援助」(FMS)をめぐり、改めてその問題が浮き彫りとなった。
FMSは「価格および納期は米政府の見積もり」「代金前払い」「米国側から契約解除可能」――など、米国側にとって極めて都合のいい条件が設定されている。その上、代金を支払った分の装備品も注文通りに納入されているわけではないから驚きだ。
会計検査院の調べによると、納入された装備品のうち「不具合」が見つかったのは、2005年度~16年度で107件、金額で約2300億円にも上る。01年度、03年度~11年度、13年度では、米国から送付されてくる装備品の金額を掲載した「計算書」と、実際に日本側が受け取った「受領検査調書」の内容が一致しないケースが64件、約671億円あった。
14日の衆院予算委でも無所属の会の原口一博議員が「トランプ米大統領に『日本はあなたの財布じゃない』と言いたい。米国のずさんな管理で現場が苦労している」と安倍首相に迫ったのも当然だ。
FMSをめぐっては、前払い金と実際の購入費用の差額である「余剰金」について、米国からの返還が滞っている上、昨年度の「未精算額」が約623億円、「未納入額」が約189億円に上る。こうした数百億円ものカネが毎年、米国の精算手続きの遅れから宙に浮いたまま。米国から見れば、契約段階で言い値のカネを支払う日本は“カモ”だが、不良品をつかまされる現場の自衛隊員はたまったもんじゃない。元外交官の天木直人氏がこう言う。
「多額の税金が装備品の購入に費やされ、その上、ポンコツ品を買わされている現状は、深刻ですよ。日本は米軍基地の負担や武器購入などで多額のカネを払っているにもかかわらず、トランプ大統領は日本を『ドロボー』呼ばわり。それでも、安倍政権は何ら抗議することなく唯々諾々と従っている。対米従属ここに極まれり、です」
防衛省、自衛隊から怒りの声が上がるのも時間の問題だ。