2018年2月7日水曜日

穀物自給率を高める方策を強力に実施すべき(日々雑感)

 かつて日米安保条約反対闘争が盛んだったころには「食糧安保」が言われました。それは「国の主食を他国からの輸入に頼るべきではない。豊作が続くうちは問題ないが、一旦不作になれば相手国は輸出しなくなるか、少なくとも価格が異常に高騰するから」という論理で、忘れてはならない視点です。
 もしも世界中で冷害が起きれば、その指摘の通りになります。

「日本の食糧、とりわけ穀物自給率を高める方策を強力に実施すべきだ。それも早急に」とする「日々雑感」の記事を紹介します。
 (関係記事)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「小氷期」到来を思わせる全地球規模の長期低温と豪雪
日々雑感 2018年2月6日

 福井市では6日午後2時現在の積雪の深さが136センチに達した。福井地方気象台によると、福井市で積雪が130センチを超えたのは、1981年の「五六豪雪」以来37年ぶりで、平年の6・4倍だという。24時間で降った雪の量は、66センチに上っている。
 北陸地方は各地で雪が降り続いており、金沢市の積雪は69センチで平年の4・6倍、富山市は65センチで平年の2・6倍となっている。
 6日午後2時現在、各地の積雪量は次の通り。九頭竜(福井県大野市)214センチ▽加賀菅谷(石川県加賀市)161センチ▽白山河内160センチ(同県白山市)▽大野(福井県大野市)130センチ▽武生(同県越前市)95センチ。
     ◇
 〈「56豪雪」〉 北陸地方は1981(昭和56)年の冬に記録的な豪雪に見舞われている。「56豪雪」と呼ばれ、福井市の積雪の深さは最大で196センチに達した。気象庁によると、住宅倒壊などの被害が相次ぎ、全国の死者は133人、行方不明者は19人に上った
(以上「朝日新聞」より引用)

 低温や豪雪に悩まされているのは日本だけではない。ロシアでは60以下を記録したし、中国では積雪のために家屋が崩壊して死傷者が出ている。もちろん米国でも異常低温と積雪に見舞われている。
  日本のマスメディアは温暖化ガスCO2削減目標を定めた「パリ協定」を実施しなければ地球は温暖化して大変なことになると脅している。しかし人類の生存に関して脅威なのは温暖化ではなく、寒冷化なのだ。
 江戸時代に何度か日本を見舞った飢饉の正体は「冷害」だった。それらの「冷害」をもたらした気候変動を「小氷期」と名付けている。温暖化により飢饉が発生したことはついぞ一度もない。

 そして中国ではすでに低温と積雪により今年の農業生産は確実に減少すると予測している。もちろん米国の農業地帯も深刻な異常低温に襲われて芋やトウモロコシなどの春の作付けが遅れるのではないかと危ぶまれている

 日本政府は能天気だから世界的な異常気象に何ら反応を示していないが、中国と米国の農業生産が今年は確実に減少する、という事態が予想されることは日本にとって重大事だ。農業製品がTPPによって日本へ流れ込む、という事態を心配するよりも、日本に輸入されるべき小麦などの食糧やトウモロコシなどの飼料穀物が削減される事態になりかねない、ということを覚悟しなければならない。

 日本の食糧、とりわけ穀物自給率を高める方策を強力に実施すべきだ。それも早急に、だ。
 減反政策により農家の「やる気」を削ぎ、休耕奨励金、という馬鹿な政策を数十年も続けて来て、各地の放棄地はすっかり原野に戻っている。それらの耕作放棄地を再び農地に復旧して、食糧増産政策を打ち出すべきだ。
 地球は温暖化している、という馬鹿げた欧米のプロパガンダを日本国民に拡声報道している日本のマスメディアは「冷害」の深刻さを忘れたのだろうか。日照不足によるコメの不作でタイ米などの緊急輸を行った1993年の米騒動を日本国民は忘れたのだろうか。
 米を大増産すべきだ。コメが余れば政府がすべて買い上げて「米粉」に加工してコメパンを奨励すれば良い。フランスでは農家の所得の90%は補助金だ。フランス国民も農業は「公共事業だ」という共通認識を持っている。食糧安保が何よりも必要だというコンセプトがフランスでは出来上がっている。

 日本でもかつて民主党政権で農家の戸別所得保障を議論したことがあった。しかし馬鹿な財務官僚と未熟な農水官僚によって火の目を見なかった。それもこれもマスメディアと検察官僚が小沢一郎氏を「政治とカネ」プロパガンダ・キャンペーンで潰したからだ。
 自民党は伝統的に「日米合同委員会」の決定事項通りに国内政治を進めている。「構造改革」もそのスケジュール通りのもので、減反説策も米国の穀物メジャーに日本の農業を売り渡すための一里塚に過ぎない

 しかし米国の穀物メジャーも米国本国が不作に見舞われて輸出余力がなくなれば日本へ穀物を輸出することはない。つまり日本の農業生産の都合で米国が日本へ穀物を輸出するのではなく、米国の都合で輸出するのだ。飢饉に見舞われた日本の食糧を世界の何処も助けてくれない事態が訪れかねない。それも遠い未来ではなく、早ければ今年にでも1993年の米騒動が今年にも再現されかねない。

 昨年末から今までの長期低温と豪雪は「異常事態」だ。それが今年の穀物生産に全く影響がないと誰がいえるだろうか。日本国民に襲い掛かる災害は火山噴火や大規模地震だけではない。