2018年2月16日金曜日

非正規66%が「賃金差納得できぬ」と

「裁量労働制で働く労働時間は、一般労働者よりも短い」というデータがあるとした安倍首相の説明は、正しいデータに基づいたものでないことが明らかになり、撤回しました。
 実際は一般労働者の労働時間が約186時間/月に対して、裁量労働制は約200時間/月で、しかも残業代はなしなので企業としては願ったりかなったりの制度です。それを一部の高給労働者だけでなく、非正規(契約社員)労働者にまで適用しようというのですから、まことに悪どい話です。

 安倍首相は1月22日の施政方針演説で「同一労働・同一賃金」を高言しましたが、2年前のときも同じことを言ったのでした。言うだけで何もしない、言葉が軽いでは済まされません。
 その同じ人間が、今度は「働き方改革」と称して、美辞麗句を並べ立てながら、給与の高低に関わりなく残業代を払わなくて済む制度:裁量労働制」を進めようとしています。

 兵庫勤労福祉センターと連合兵庫による2017年度の労働者意識調査で正規と賃金差があることについて「納得できない」とする人が非正規の66%を占め、その理由として「仕事内容で正規と違いがない」が6割近くを占めました。「正規と同程度かそれ以上の能力を持っている」も4割いました。
 これは日常的に接している中での判断なので、そのまま受け入れるべきものです。

 その一方で、16年平均給与で、正規と非正規との差は315万円で、4年連続で差が拡大しているということです。仮に非正規の年収が200万円とすると、正規はその25倍以上の給与を得ているということになります。差が年々拡大しているということは、格差の問題が完全に放置されていることを示します。

 政府が「同一労働・同一賃金」を言うのであれば、真っ先にこの格差をこそ解消すべきです。
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非正規66%「賃金差納得できぬ」 兵庫県内調査
神戸新聞 2018年2月13日
 非正規雇用の3人のうち2人が「正規雇用との賃金差に納得できない」と考えていることが、兵庫勤労福祉センター(神戸市中央区)と連合兵庫(同)による2017年度の労働者意識調査で分かった。08年度調査より7ポイント増加した。「正規と同じ時間同じ仕事をしているのになぜ」という待遇への不満が浮き彫りとなっており、春闘でも大きなテーマになりそうだ。

 調査は、連合が昨年8~9月、県内の正規・非正規の従業員6870人に配布して実施。正規2549人、非正規1045人から回答を得た。08年にも同様の調査を行った。
 非正規雇用のうち、5年以上働く人が56%。08年度より約10ポイント増加し、長期化が顕著になっている。「正規と同じか、類似の業務を経験」は82%で、08年度比13ポイント増えた。
 正規と賃金差があることについて「納得できない」とする人が66%を占め、その理由として「仕事内容で正規と違いがない」が6割近くを占め、「正規と同程度かそれ以上の能力を持っている」も4割だった。

 国税庁の民間給与実態統計調査によると、企業における16年平均給与で、正規と非正規との差は315万円。4年連続で差が拡大している。連合兵庫は「この10年で職場での非正規の存在感が増している。企業に格差是正を求める動きも活発化している」とした。
 また、正規職員のうち、44%が「親の介護費用」、34%が「親の介護と仕事の両立」を心配していた。いずれも08年より増え、介護への不安が高まっている。
 これから本格化する春闘では、働き方改革や非正規の処遇改善なども焦点となっている。(末永陽子)