2018年2月27日火曜日

労働時間調査の誤りは350か所以上 それでも法案提出!? とは

 厚労省が行った労働時間調査では、先に誤記入等が117件あったと公表されましたが、その後の精査で新たに誤りが233確認されました。合計350件という驚くべき数字です。

 こうしたことが明らかになっても、安倍首相はこの調査データを撤回しないと述べ、関連法案を国会に提出する方針に変わりがないことを強調しました。しかし誤ったデータをベースに政審委が審議したことに変わりはないわけで、精査中だということが法案を撤回しない理由にはなりません。

 当初は政府と歩調を合わせていた連合の神津会長も、「裁量労働制の運用実態はおかしい。『長時間労働の是正』とは全く向きの違う裁量労働制の拡大などは必要ない。働き方改革関連法案から、裁量労働制の適用業務の拡大をやめ、高度プロフェッショナル制度の規定を削除すべきだ」と述べています。
 
 27日の予算案の衆院通過は先送りになりましたが、通過の先送りや実施を1年間延長すること自体には何の意味もありません。あらゆる前提が崩れている中では、法案を撤回するしかありません。
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新たに233件のデータ誤りか 厚労省の労働時間調査
NHK NEWS WEB 2018年2月26日
働き方改革をめぐる厚生労働省の労働時間の調査について、データをさらに精査した結果、誤りと見られる一般労働者の労働時間のデータが、新たに233件確認されたことを加藤厚生労働大臣が明らかにしました。

働き方改革をめぐって、厚生労働省はこれまで、一般労働者と裁量労働制で働く人の労働時間の調査データを調べた結果、誤った記入や入力ミスと見られる例が117件、確認されたとしていました。

これに関連して、加藤厚生労働大臣は26日の衆議院予算委員会で、さらにデータを精査した結果、一般労働者の中に1日当たりの時間外労働がゼロなのに、1か月や1週間単位では時間外労働が記載されているケースが、合わせて233件、確認されたことを明らかにしました。

そのうえで、加藤大臣は「常識的に考えて、月や週当たりの時間が記載されているのに、1日当たりの時間がゼロなのはありえないし、合理的ではないと思う」と述べました。

また、加藤大臣は企業の中枢部門で経営に関わる企画などに当たる人を対象にした、「企画業務型」の裁量労働制の労働時間の調査で、1日の労働時間が2時間以下となっているケースが合わせて42件あったと説明したうえで、「あまりにも短いので違和感を感じるのは事実だ」として、精査して国会に報告する考えを示しました。


「裁量労働制の拡大 あってはならない」 連合会長
NHK NEWS WEB 2018年2月26日
「あいまいで危険な裁量労働制をさらに広げることは、あってはならない」 連合の神津会長は、与党が審査を続けている働き方改革関連法案から裁量労働制の適用業務の拡大などの規定を削除すべきだという考えを重ねて示しました

この中で、神津会長は、厚生労働省が行った、一般労働者と裁量労働制で働く人の労働時間の調査に誤りと見られる例が見つかったことについて、「連日、芋づる式に労働時間のデータの不備が明るみになっているが、連合が長年、言い続けてきたように、裁量労働制の運用実態はおかしいということだ」と述べました。

そのうえで、神津会長は、「あいまいで危険な裁量労働制をさらに広げることは、あってはならない。『長時間労働の是正』とは全然、向きの違う、裁量労働制の拡大などは必要ない」と述べ、与党が審査を続けている働き方改革関連法案から、裁量労働制の適用業務の拡大や、高収入の一部専門職を対象に、働いた時間ではなく成果で評価するとして労働時間の規制から外す「高度プロフェッショナル制度」の規定を削除すべきだという考えを重ねて示しました。


首相 厚労省の調査データ撤回せず 法案も提出の方針
NHK NEWS WEB 2018年2月26日
働き方改革をめぐり、誤りと見られる例が相次いで見つかっている厚生労働省の調査データについて、安倍総理大臣は現時点では撤回しない考えを示したうえで、関連法案を国会に提出する方針に変わりがないことを強調しました。

衆議院予算委員会で安倍総理大臣は、「今、まさに精査している中で、データ自体を撤回するのは適切ではない。まずは、しっかりと精査することが大切だ」と述べ、現時点では調査データを撤回しない考えを示しました。

そのうえで、与党が審査を続けている働き方改革関連法案の取り扱いについて、「法案は、まさに働く人たちの目線に立っている。自由な働き方をしたいという人がいるのは事実であり、そういう要請に応えることも大切だ。しっかりとデータの精査も行いながら、加藤厚生労働大臣のもとで法案を準備している」と述べ、国会に提出する方針に変わりがないことを強調しました。

また、厚生労働省がデータの精査を終える前に法案を提出することがあるのかと質問されたのに対し、安倍総理大臣は、「与党での事前の審査があるので、確定的なことは控える」と述べるにとどめました。


予算案、27日採決先送り 与党のデータ再調査拒否に野党反発
日経新聞 2018年2月26日
 政府・与党が目指していた27日の2018年度予算案の衆院通過が先送りとなった。野党が要求した裁量労働制をめぐる厚生労働省のデータの再調査などに与党側が応じず、野党が反発。与野党の幹事長・書記局長が26日夜から27日未明にかけて断続的に会談したが、協議は物別れとなった。政府・与党は28日の衆院通過を目指す。

 自民党の森山裕国会対策委員長は26日、立憲民主党の辻元清美国対委員長と会談。裁量労働制をめぐる厚労省の不適切なデータに関し「(政府に)引き続き説明責任を果たすよう申し入れていく」との方針を伝えた。野党側が求めるデータの再調査や、働き方改革関連法案の提出見送りに応じなかった

 これを受け、立憲民主党や希望の党など野党6党の幹事長・書記局長は国会内で会談。「回答として認めるわけにはいかない」として、明確な回答が出るまで予算案などの国会審議に応じない方針を確認した。立憲民主党の福山哲郎幹事長は記者団に「国民の生活と命に関わる裁量労働制について再調査を求めることは当然のことで(与党側から)なんの言及もなかったことは遺憾だ」と語った。