2018年2月9日金曜日

「核の傘」論の再検討を ICAN 川崎氏が提言 参院調査会

 ICANの川崎哲7日の参院国際経済・外交に関する調査会に出席し、米国の「核抑止力」を根幹とする安全保障政策を再検討するよう日本政府に求めるとともに、核兵器禁止条約への参加の条件や影響を調査する委員会を設置すべきと提言しました。
 
 日本政府は、「核の傘」を「錦の御旗」のように掲げて核廃絶の課題から逃げ回っていますが、川崎氏は、核抑止政策は核兵器の使用が前提であるとして、「核兵器の非人道性に対する国際的な認識がここまで高まった今日、唯一の戦争被爆国である日本が核兵器の使用が正当な防衛手段だとのメッセージを発し続けること是非が問われなければならない」と批判しました。
 
 質疑応答の中で、トランプ米政権の新核戦略「核体制の見直し」(NRP、日本政府(=河野外相)わが国は厳しい安全保障認識を共有するとともに、高く評価する」としたことに対して、川崎氏は、NPT(核拡散防止条約)との整合性の説明を求めずに手放しで評価するのは理解に苦しむ」と述べました。
 こうした安全や平和の課題に対する安倍政権の姿勢は、ただただアメリカ追随の一辺倒で、無原則です。

 因みに川崎哲さん(49)は、ICANの10人いる国際運営委員中で唯一の日本人で東大法学部を卒業後 正規の就職をせずに、社会の底辺にある問題と向き合おうとホームレスや外国人労働者を支援する活動を始め、夜間は障害者の介助をする仕事をして生計を立てました。
 しかし、5年にわたって昼夜問わず仕事や市民運動を続けたことで体力も財力も限界に達し一時は体調も崩しました。そんなとき、核兵器廃絶に向けた調査や研究を行うNPOを立ち上げようと声がかかり、以来20年近くにわたって核軍縮の問題に取り組むことになり7年前ICANに加わりました
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
核抑止力政策再検討を 参院調査会 ICAN 川崎氏提言
しんぶん赤旗 2018年2月8日
 ICAN(核兵器廃絶国際キャンペーン)の川崎哲国際運営委員は7日の参院国際経済・外交に関する調査会に出席し、米国の「核抑止力」を根幹とする安全保障政策を再検討するよう日本政府に求めるとともに、核兵器禁止条約への参加の条件や影響を調査する委員会の設置を行うべきとの提言を示しました。

 川崎氏は、核抑止政策は核兵器の使用が前提であり、万が一使用された場合には、「甚大な破壊と放射能汚染により人道上の救援も不可能であることは、広島・長崎の惨害の記憶からも明らかだ」と強調。「核兵器の非人道性に対する国際的な認識がここまで高まった今日、唯一の戦争被爆国である日本が核兵器の使用が正当な防衛手段だとのメッセージを発し続けることがいかなる意味をもつのか。日本の道義的立場との関係でその是非が問われなければならない」と訴えました。

 禁止条約が米国の核抑止力を弱め、日米同盟に悪影響をもたらすとの意見について、川崎氏は「安全保障協力を核兵器以外で行うことができれば、同盟関係を維持したままでも条約加入が可能だ」と言及。米国と軍事同盟を結ぶ北大西洋条約機構(NATO)加盟国のノルウェー、イタリアの議会は条約参加の可能性を調査するよう政府に要求していると紹介しました。

「核兵器のない世界」に向けた具体的な措置として、与野党が禁止条約参加を目標として定めて、その条件や影響を調査する委員会を設置するよう提案。また、核廃棄の検証措置や被爆者援護など、条約の部分的な条項で貢献できる分野は直ちに取り組んでいくよう要請しました。

 出席した日本共産党の武田良介議員は、トランプ米政権の新核戦略「核態勢の見直し」(NPR)と、日本政府が「評価する」としたことに関する見解を質問。川崎氏は、「これまでのNPT(核不拡散条約)再検討会議で、核の役割の縮小や新型核を目指さないといったことは米国も含めて全会一致の合意となっていた」と指摘。日本政府が事実上の核軍拡を標ぼうするNPRに対して、「NPTとの整合性の説明を求めずに手放しで評価するのは理解に苦しむ対応だ」と述べました。