2019年2月11日月曜日

11- 勤労統計では「賃金低く出る」と首相 世迷言では

 安倍首相は9日、党本部で開いた全国幹事長会議で、野党の「アベノミクス偽装」批判に反論し高給をもらっていた社員が定年退職すれば残る社員の給与は下がっていないのに「平均賃金は下がる」と、説明したということです(東京新聞)。
 首相の論理に従えば、老人が亡くなり赤ちゃんが生まれてくる日本人の平均寿命は年々下がる筈ですが、そんなことにはなっていません。あまりにも「刹那」にとらわれて動態的に全体像を見ることができないもので、話にならない議論です。
 
 同じく田中龍作ジャーナルは、首相が演説で「3本の矢で厚い壁に挑んだ結果(名目GDP)は6年間で4倍になった。109%成長することができた」と豪語したことを紹介し、厚労省や総務省が18年の実質賃金はマイナスであることを認めているのに、裸の王様はいよいよ混迷を深めつつあるようだと述べました。そのタイトルは「  自民党大会で世迷言」です。本当に大丈夫なのでしょうか。
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勤労統計「賃金低く出る」 首相アベノミクス批判に反論
東京新聞 2019年2月10日
 安倍晋三首相(自民党総裁)は九日、党本部で開いた全国幹事長会議で、毎月勤労統計の不正を巡り、野党の「アベノミクス偽装」批判に反論した。約十二分間のあいさつの大半を賃金動向や経済情勢の説明に割き、四月の統一地方選と夏の参院選に向けて統計不正の影響払拭(ふっしょく)を図った。
 首相は「長年にわたり不正な調査が行われ、見抜けなかった責任を痛感している」と陳謝。実態解明と再発防止に努める考えを強調した。その上で「この問題とアベノミクスは全然関係ない」と断言した。
 
 賃金は春闘で決まることに触れ「五年連続で今世紀に入って最も高い水準の賃上げが行われている」と強調。毎月勤労統計で示される賃金は「事業所ごとの人件費の総額を働く人の総数で割った額だから、少し性格が違う」と述べた。
 例として、高給をもらっていた社員が定年退職すれば、残る社員の給与は下がっていないのに「平均賃金は下がる」と説明した。比較的低賃金のパートを新たに雇用した場合も事業所の平均賃金は下がると指摘。「(賃金が)低く出るのはこの統計の特徴だ」と語った。(川田篤志)
 
 
【アベノミクス】
   安倍首相「最高水準の賃上げが続いている」自民党大会で世迷言
田中龍作ジャーナル 2019年2月10日
自民党はきょう都内で2019年度の党大会を開いた。賃上げ偽装で苦境に立つ安倍首相は、総裁演説で次のように強弁した―
 
「勤労統計では徹底的に検証し再発防止に尽くすことで責任を果たしたい」
「(アベノミクス)3本の矢で厚い壁に挑んだ。その結果(名目GDP)は6年間で4倍になった。109%成長することができた
「5年間で最高水準の賃上げが続いた。ただし連合の調査によるもの」。
「連合の調査による」という箇所では、出席した自民党議員からも苦笑が洩れるありさまだった。
 
 厚労省や総務省が2018年の実質賃金はマイナスであることを認めているのに、行政の最高責任者はこのままインチキを貫くつもりのようだ。裸の王様はいよいよ混迷を深めつつあるようだ。
~終わり~