2019年2月23日土曜日

安倍政権の「天皇いじめ」(天木直人氏)

 あす24には辺野古への基地移設の是非をめぐる沖縄住民投票が行われますが、同じ日に天皇在位30年を祝う式典行われます。しかしなぜかメディアはそのことを一切報じていません。異常なことです。
 
 実は6年前にも安倍政権は、1952428日にサンフランシスコ講和条約が発効し米軍の占領から独立したとして、4月28日を「主権回復の日」として祝賀式典の開催を決めましたが、その日は沖縄にとっては本土から切り離されて米軍支配が続くことになった「屈辱の日」であったため、沖縄県民は反発し政府に抗議しました。
 天皇は式典への出席に強く難色を示され、出席するのであれば沖縄への思いを込めた『お言葉』を述べることを希望されましたが、周囲の説得により結局、お言葉なしの出席となりました。
 
 そういう経過があったのであれば、安倍政権が天皇在位30年を祝う式典をわざわざ沖縄県民の投票日に合わせたのには、大いに不信感を持たざるを得ません。天木直人氏は、安倍政権による「天皇いじめ」だと表現しています
 
 安倍首相は皇室への尊崇を強調する日本会議に属していながら、本心は違っていて、単に皇室を政治的に利用しているだけとしか考えられません。
 天木直人氏の2本のブログを紹介します。
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一切報じられないまま迎える天皇在位30年記念式典の異常さ
天木直人のブログ 2019年2月23日
 あす2月24日、いよいよ辺野古移設の是非をめぐる沖縄住民投票が行われる。
 きょう2月23日の各紙がその事を一斉に報じている。
 ところが、その同じ日に行われる天皇在位30年を祝う式典の事は一切報じられていない
 それどころか、これまでに天皇在位30年祝賀式典に関して報じたメディアは皆無だ。
 政府広報の広告を東京新聞と日経新聞が一度だけ掲載しただけだ。
 しかし、これは広告収入を得て掲載したわけだから報道ではない。
 唯一報道されたのは、数日前に共産党の穀田国対委員長が、天皇の政治利用に反対して欠席すると記者会見で述べた事だけだ。
 
 この報道のなさは、あまりにも異常である。私はこの異常さを何度も指摘してきた。
 メディアがそれを目にしていないはずがない。この異常さの裏には何かがある。
 何も知らされないまま、明日、当日の朝刊で、我々はそんなことが行われるのかと言う事を知るのだ。
 辺野古移設の住民投票の結果がどうであれ、安倍・菅官房長官コンビは辺野古移設は国策だと言わんばかりに粛々と強行すると発表するに違いない。
 その同じ日に、天皇在位30年を安倍首相は祝うつもりだ。
 
 これほど天皇陛下を悲しませることはない。それでも天皇陛下は式典をボイコットできない。究極の天皇いじめだ
 こんな安倍首相を国民は絶対に許してはいけないだろう。
 自分の首相在位最長記録ばかり宣伝報道してどうするんだ(了)
 
 
日経新聞が書いた安倍首相の天皇いじめ
天木直人のブログ 2019年2月23日
 ついに日経新聞が安倍首相の天皇いじめについて書いた。
 今度の在位30年記念式典の事ではない。その前の、2013年に行われた「主権回復の日」式典の事だ。もう6年も前の事だったのだ。
 あらためて歳月の経つことの早さを痛感する。
 きょう2月23日の日経新聞連載「平成の天皇と皇后」第12回は、「主権回復の日」の式典の時のことを要旨次のように書いている。
 
 1952年4月28日、サンフランシスコ講和条約が発効、日本は米軍の占領から独立したと。政府は2013年(平成25年)3月、その日を「主権回復の日」として祝う政府主催の式典開催を閣議決定したと。
 ところが、この日は沖縄にとって本土から切り離され、米軍支配が続く「屈辱の日」でもある。だから沖縄県民の反発と抗議が起きたと。
 戦争、そして戦後の本土との分断により沖縄が被ってきた苦難への天皇陛下の深い思いは誰もが知るところだ。その式典への出席を閣議決定で求められた陛下はどう受け止めたか、と。
 
 その後に続く日経新聞の記事は、当時の報道では一切書かれなかったことだ。
 すなわち、日経新聞のその記事はこう書いている。
 「当時、その心(筆者註:陛下の気持ち)が表に出ることはなかったが、宮内庁関係者によると、陛下は出席に強く難色を示されていたという・・・そして陛下は出席するのであれば、沖縄への思いを込めた『お言葉』を述べることを希望されたという。しかし、天皇が沖縄に言及すれば、式典への批判と受け取られる可能性がある。天皇と内閣が対立している印象を与え、政治的に大問題になるとして、周囲が説得。お言葉なしの出席で納得してもらった・・・」
 当時は誰も書かなかったが、こんな経緯があったのだ。
 
 「周囲の説得」とは、安倍首相を忖度した宮内庁官僚であることは疑いない。
 そして、式典が終わって両陛下が退席されようとしたとき、天皇陛下バンザーイの声が会場からあがり、それにつられる形で壇上の首相、衆院議長らがバンザイを三唱することになったことはみなが記憶しているとおりだ。
 
 明日再び、同じような天皇いじめが繰り返されるのだろうか。
 今度は、安倍首相は天皇にお言葉すらさせないのかもしれない。させるとしても、事前に内容を検閲したものを語らせるに違いない。
(後 略)