2019年2月14日木曜日

国の根幹が破綻 国民の悪夢は安倍政権が続いていること

 安倍首相は、10日の自民党大会でも「悪夢のような民主党政権時代」呼ばわりをしました。首相の旧民主党に対する憎悪は並大抵のものではなく、偏執狂的ですらあります。そういう領域に関係しているのであれば、糾弾する理由などはあまり真面目に考えるべきでもなさそうですが、とにかく一国の首相が事ごとに旧民主党政権を罵倒するというやり方は明らかに異常です。もしもそれによって政権の浮揚を図るというのであれば、余りにも発想が低劣で下卑ています。
 
 小沢一郎・自由党代表11自らが主宰する政治塾で講演し、安倍政権の「最大の罪悪」について、「日本社会から道義観や倫理観を喪失させた。総理が嘘八百を並べても一切責任を問われない。一番偉い人が責任を取らないのだからいいじゃないか、となる。精神的な荒廃がひどくなっている」と断言しました。
 安倍政権6年余の日本社会の主流の実態はそれに尽きています。稀代の大ウソツキが6年間もトップに座り続ければ、そうならない方が無理というものです。
 
 日刊ゲンダイが、安倍政権が続いていることこそ国民の悪夢とする記事を出しました。
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国の根幹が破綻 国民の悪夢は安倍政権が続いていること
 日刊ゲンダイ 2019年2月12日
(阿修羅 文字起こし より転載)
「あの悪夢のような民主党政権の時代に戻すわけにはいかない」
 10日の自民党大会。安倍首相が民主党政権をコキ下ろすのは毎度のことだが、「悪夢」呼ばわりまでとは、自民党員で埋め尽くされた会場からもさすがにどよめきが起きた。
 今年は統一地方選と参院選が重なる「亥年選挙」の年だ。第1次安倍政権だった12年前、当時29あった1人区で自民の勝利はわずか6選挙区にとどまり、自公は参院で過半数を割り込む大惨敗を喫した。結果、自らの退陣につながっただけでなく、ねじれ国会の下、民主党に追い込まれ、2009年の総選挙で政権を明け渡したのだった。冒頭の「悪夢」発言は、その二の舞いへの恐怖心の裏返しもあるのだろうが、お得意の“印象操作”はいい加減、やめた方がいい。
 
 安倍は民主党政権のことを「決められない政治。経済は失速し、後退し、低迷した」とも切り捨てたが、「アベノミクス偽装」で矢面に立っている今、どの口が言うのか。
 毎月勤労統計の不正調査では、18年1月から調査対象を一部入れ替え、こっそりデータ補正、賃金の大幅アップを演出していた。戦後最長という景気拡大も国民実感はゼロで、GDP(国内総生産)のかさ上げも指摘されている。むしろ、インチキをしなかった民主党政権の方がマトモだったと言えるのではないか。
 それだけじゃない。安倍政権は、解釈改憲という憲法破壊で集団的自衛権の行使を容認、安保法制定で立憲主義を踏みにじった。それに比べれば、民主党政権は少なくとも憲法は守っている
 
■ナチスの手口で嘘をプロパガンダ
 兵器の爆買いに代表されるように、ただひたすらトランプ大統領の言うなりの日米関係は、これまで以上に隷従関係が強まっている。民主党政権はこうした従属の転換を模索していたではないか。鳩山政権で主体的な日米外交や東アジア共同体の構築を打ち出し、沖縄の米軍普天間基地の移転先について「最低でも県外」と見直しを目指した。
 官邸が東京新聞記者の質問権を制限するような文書を記者クラブに送ったことが問題になっているが、メディアは安倍政権に圧力をかけられ、今や言論の自由は風前のともしびだ。民主党政権は記者会見をフリー記者にもオープン化するなど言論の自由を守っていた
 極め付きは公文書の改ざん・隠蔽だ。モリカケ問題から逃れようとする安倍への忖度で霞が関の官僚はあり得ない不正に手を染め、国民の信頼は地に落ちた。これほど政治が私物化されたことが過去にあっただろうか。
 それなのに、口を開けば、もう6年も前の民主党政権と自らの政権を対比し、批判する。嘘も100回言えば本当になるとばかりに、単純なスローガンを繰り返すプロパガンダ政策は、ヒトラーが確立したものだ。そんな“ナチスの手口”を平然と使う安倍政権には唖然である。
 政治評論家の森田実氏がこう言う。
「民主党政権を批判することで自らの政権の成果を誇示する。礼節を欠く行為であり、あまりに品がない。09年に麻生政権末期のガタガタだった自民党から政権を奪取した民主党は、相手の不幸を喜んで足を引っ張るようなことはしませんでした。短命に終わった民主党政権は未熟で愚かだったとは思いますが、安倍政権のように傲慢に振る舞って、詭弁を弄するようなことはありませんでしたよ」
 
悪事を隠すために民主党政権を叩き、自らを正当化
 自民党大会では別の失笑場面もあった。安倍は9条改憲で自衛隊を明記したがっているが、その意義として「隊員募集で協力を拒否する自治体が6割以上ある。違憲論争に終止符を」という理屈を持ち出したのだ。以前は「自衛隊は憲法学者から違憲と言われている」とか言っていたが、それでは納得してもらえず、新たな言い訳を考えたのだろう。早速、自民党の石破元防衛相が「『自衛隊が違憲なので協力しない』と言っている自治体を私は知らない」と完全否定していた。
 こうしたことに限らず、防衛省・自衛隊絡みでの安倍政権の姑息さは際立っている。最新号(3月号)の月刊誌「世界」が「拡大する違憲状況」という特集を組んでいるが、それを読むと震撼する。9条改憲をしなくとも現実の防衛政策で、国民に気づかれないように、どんどん「戦争ができる国」へのつくり替えが加速しているのだ。
 
 解釈改憲で集団的自衛権の行使を容認した安倍は、「専守防衛を堅持」と言いながら、逸脱する兵器を買いまくり、先制攻撃まで可能にしてしまった。改定された新防衛大綱や中期防衛力整備計画では、海上自衛隊の「いずも」型護衛艦の甲板を改修し、事実上の空母化を進めることが明記された。それも、実際は「空母」なのに、それではマズいと、いったんは「母艦」に。結局は「多用途運用護衛艦」と言い換え、ゴマカしたのだという。
 同様に導入が明記された長距離巡航ミサイルは敵基地攻撃能力を持つ。政府が「イージス艦の防護」などと説明しても、配備されれば、相手国の基地を攻撃できるようになるのである。
 
 そして、米国に要求されるがまま軍備を拡張した結果、予算は青天井になってしまった。
 米国の言い値で買う「FMS」は12年度の1381億円が19年度予算案では7013億円と5倍に膨張。複数年にわたって支払う「兵器ローン」は、かつては年間3兆円台だったのに、19年度は5兆円を突破した。
 防衛省が欲しがってもいないオスプレイやイージス・アショアも購入。あまりに金額が膨らみすぎたため、5年連続過去最大更新の19年度の本予算案5兆2574億円では足りず、18年度の補正予算として3935億円をシレッと計上しているのだから許し難い。
 
 爆買いの結果、隊員のトイレットペーパーも不足しているそうで、元米海兵隊大佐は、「日本政府は自国を守るために必要なものは何かを包括的・体系的に評価しないまま、ハードウエアを購入している」と指摘していた。
 
■社会から倫理観を喪失させた大罪
 こうした悪事を平然とはたらき、国民を欺く。それを隠すかのように、民主党政権を叩いて、自らを正当化する悪辣首相。少なくとも民主党政権は、軍備拡大より、年金の一元化や農家の戸別所得補償など国民生活のための政策を優先していた。国民にとっての悪夢は民主党政権じゃない。悪魔のような安倍政権が延々と続いていることだ。
 
 聖学院大教授の石川裕一郎氏(憲法)はこう言う。
「憲法学においては『専守防衛』という言葉自体に、『9条に照らして武力を持っていいのか』という問題があるのですが、それを認めるとしても、安倍政権になって軍備拡大に歯止めが利かなくなり、2015年の安保法成立で行き着くところまで行ってしまった感があります。10日も新しい安保法に基づき、今春にもエジプト東部のシナイ半島でエジプト軍とイスラエル軍の活動を監視している多国籍軍に自衛隊員を派遣すると報じられました。戦争状態の場所へ自衛隊員が送られるわけです。国民に説明なく、なし崩しで戦争のできる国になっていっています」
 
 09年の民主党政権誕生の立役者である小沢一郎・自由党代表が11日自らが主宰する政治塾で講演し、安倍政権の「最大の罪悪」として次のように断言した。
日本社会から道義観や倫理観を喪失させた。総理が嘘八百を並べても一切責任を問われない。一番偉い人が責任を取らないのだからいいじゃないか、となる。精神的な荒廃がひどくなっている
 安倍政権の6年間で、嘘と欺瞞がはびこり社会が退廃、国民の血税は生活を豊かにするためではなく、戦争国家づくりにつぎ込まれた。この国は根幹まで徹底的に破壊されてしまった。
 
 それでも安倍政権のままでいいのか。野党政権に替えた方が、まだ国民のためになるんじゃないか。