2019年2月8日金曜日

政府は実質賃金の「参考値」は公表しないと

 政府は毎月勤労統計調査対象事業所18年1月に一部入れ替えるとともに、それまで東京都では調査対象を3分の1に抑え賃金が過小になる措置を行っていたものを、密かに修正する措置を施しました。
 その結果、名目の賃金が異常に上昇したため、おかしいと批判されたのを受け、政府は対象事業所を入れ替える前に戻して、集計し直したものを「参考値」として示すことにしていました。
 しかしその「参考値」も名目賃金べースであるため前年同月比で僅かにプラスを示しますが、物価上昇率を差し引いて補正した「実質賃金」は当然マイナスになります。野党側はそのことを政府に確認させるため、18年1~11月の「実質賃金の参考値」を公表するように求めていますが、政府・与党は当面公表しないことで調整に入ったということです
 
 語るに落ちた話で、これまでの「賃金がアップした」という虚構が一気に崩れるからです。ここまであからさまに逃げを打たざるを得ないところまで、安倍政権は追いつめられているということです。
 安倍首相は6日の予算委で、なんと私は「森羅万象を担当している」と大口をたたいたそうですが、それならこの卑劣さはどう説明するつもりなのでしょうか。
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また逃げる気か!「実質賃金の参考値」公表見送りの狡猾
日刊ゲンダイ 2019/02/07
 毎月勤労統計のインチキ調査を巡り、安倍政権と与党は野党が求めている2018年1~11月の「実質賃金の参考値」を公表しない調整に入ったという。7日の毎日新聞が報じた
  野党は独自試算で、実質賃金の伸び率が同期間の「9カ月で前年同月比マイナスになる」と主張。根本厚労相は5日の衆院予算委員会で追認する答弁をしたが、「計算は困難」と逃げを打っていた。安倍政権が公表を避けるのは、アベノミクス偽装の追及根拠を公式に認めれば、さらに追い込まれるのは必至だからだ。
 毎勤統計は従業員500人以上の事業所は全数調査がルールだが、厚労省は04年に東京都分を抽出調査に変更。18年1月から調査対象を一部入れ替え、密かにデータ補正していた。同省は入れ替わらない事業所で比較した「名目賃金の参考値」は示したものの、実質賃金の参考値は公表していない。
 
 
政府与党、実質賃金の参考値は公表しない方向で調整
毎日新聞 2019年2月7日
 厚生労働省が公表する「毎月勤労統計」の不正調査問題に絡み、政府・与党は野党が明らかにするよう求めている2018年1~11月の「実質賃金の参考値」について、当面は公表しない調整に入った。野党は実質賃金の伸び率が同期間の「9カ月で前年同月比マイナスになる」との独自試算を示し、根本匠厚労相は5日の衆院予算委員会で事実上これを追認する答弁をしたが、「再集計するのは困難」として公表には消極的な姿勢を示していた。 
 
 同省関係者によると、この実質賃金の参考値について再集計していないが、野党の試算と「近い数値の可能性はある」という。政府が公表をためらうのは、野党が「アベノミクス偽装」と追及する根拠を公式に認めることを回避する狙いもあるとみられる。 
 
 毎月勤労統計は18年1月に調査対象事業所を一部入れ替えた。その際、ひそかにデータ補正していたが、補正していない前年と比較していたため、賃金の伸び率が実際より高く出ていた。同省は入れ替わらない事業所のみで比較した名目賃金の「参考値」を示したものの、実質賃金の参考値は公表しなかったため、野党は実質賃金についても再集計して公表するよう求めている。 
 実質賃金は名目賃金から物価変動の影響を除いた指標で、生活実感に近い数値。同省がまとめた18年1~11月の実質賃金は6カ月で前年同月比マイナスになった。【横田愛、神足俊輔】