2019年2月17日日曜日

17- 6月大筋合意は絶望的 北方領土交渉

 安倍首相は6月の日ロ首脳会談で、日ロ平和条約・北方領土問題で何らかの見通しをつけて7月の参院選に臨むという目論見でしたが、6月中に大筋合意するのは絶望的な情勢となりました。首相周辺は与党関係者に「6月はもう無理だ」と伝えたということです。
 領土問題に関しては日本の右翼は非常に柔軟なようですが、ロシアの各種世論調査では北方領土の引き渡し反対が7割を超えているため、プーチン氏は「今後、辛抱強さを要する作業が待っている。合意は両国の世論の支持を得なければならない」と交渉の長期化を強く示唆しています
 
 この点は17日未明ドイツで行われた日ロ外相会談でも変わらず、ラブロフ外相は外相会談のあとロシアの記者団を前に会見し「ロシア側に交渉の期限は一切ない。そのような期限を設けることはできない」、「平和条約の締結こそが揺るぎない第一歩である述べました
 
 そもそもこうした案件で、6月中にとかと自分の都合で期限を区切るのは基本的に間違っています。
 時事通信とNHKのニュースを紹介します。
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6月大筋合意は絶望的 安倍首相、戦略練り直し 北方領土交渉
時事通信 2019年2月14日
 北方領土問題を含む日ロ平和条約交渉をめぐり、6月の日ロ首脳会談での大筋合意が絶望的な情勢となり、安倍晋三首相は交渉戦略の練り直しに入った。
 ロシア国内で北方領土返還に反対する世論が高まり、プーチン大統領が慎重に交渉を進める姿勢を鮮明にしたためだ。
 
 プーチン氏は6月28、29両日に大阪で開かれる20カ国・地域(G20)首脳会議に合わせて来日する予定。首相は、早ければプーチン氏来日時の首脳会談で大筋合意を宣言する青写真を描いていた。しかし、先月22日にモスクワで行った首脳会談では、日本側が目指した6月の会談日程の確定すらできず、目立った進展はなかった。
 政府関係者によると、会談後、首相は周辺に「私は6月とは言っていない」と6月大筋合意にこだわらない考えを伝達。別の関係者によれば、首相周辺は与党関係者に「6月はもう無理だ」と伝えた。政府高官は「長年動かなかった交渉を数カ月でまとめるのは土台無理だ」と語った。
 
 首脳会談の詳細は明らかになっていない。しかし、ロシアの各種世論調査では、北方領土の引き渡し反対が7割を超え、プーチン氏は会談後の共同記者発表で「今後、辛抱強さを要する作業が待っている。(合意は)両国の世論の支持を得なければならない」と語るなど、交渉の長期化を強く示唆した。
 首相はこうした情勢を踏まえ、12日の衆院予算委員会で「今年と期限を切るつもりはない」と述べ、交渉が来年以降にずれ込むこともあり得るとの認識を示した。首相周辺からは「交渉が長期化した場合、次の政権にどう引き継ぐかも考えなければならない」との声も漏れている。
 
 
北方領土の主権 立場の隔たり埋まらず 日ロ外相会談
NHK NEWS WEB 2019年2月17日
北方領土問題を含む平和条約交渉で、交渉責任者を務める河野外務大臣とロシアのラブロフ外相の会談が17日未明ドイツで行われ、北方領土の主権をめぐる双方の立場の隔たりは埋まらなかったものの、改めて閣僚レベルや次官級の協議を行い話し合いを続けていくことで一致しました。
 
北方領土問題を含む平和条約交渉の交渉責任者を務める河野外務大臣とロシアのラブロフ外相は、国際会議のため訪れているドイツのミュンヘンで日本時間の午前0時半ごろから1時間半余りにわたって会談しました。
去年11月、安倍総理大臣とプーチン大統領が1956年の日ソ共同宣言を基礎に交渉を加速することで合意したことを踏まえ、河野大臣は会談の冒頭「合意に従ってしっかりと議論したい」と述べました。
この中ではラブロフ外相が、交渉を進める前提として、北方領土は第2次世界大戦の結果ロシアの領土の一部となったもので、ロシアに主権があることを認めるよう求めたのに対し、河野大臣は従来の日本の立場を説明し、双方の立場の隔たりは埋まりませんでした。
(中 略)
 
ロシア外相「交渉の期限は一切ない」
ラブロフ外相は16日、日ロ外相会談のあとミュンヘンにあるロシア総領事館でロシアの記者団を前に会見しました。
この中で記者から、ことし6月のG20大阪サミットまでに日ロ間で平和条約が締結される可能性はあるのかと質問されたのに対して、「ロシア側に交渉の期限は一切ない。そのような期限を設けることはできないと日本側に落ち着いて説明していく」と答えました。
そのうえで「両首脳が合意したとおり、1956年の日ソ共同宣言を基礎に交渉を進めていきたい。それは平和条約の締結こそが揺るぎない第一歩であること、そして第2次世界大戦の結果、ロシアの主権が4島を含むすべての島々に及ぶと日本側が認めることを意味する」と述べ、会談で河野大臣にロシアの原則的な立場を改めて示したことを明らかにしました。
 
一方でラブロフ外相は、今後数週間以内に両首脳の特別代表を務める森・外務審議官とモルグロフ外務次官による次官級協議を行い、日本で行う予定の次回の日ロ外相会談に向けて日程を固めること、また4月2日に日ロの外務次官級の戦略対話を行うなど、日本との協議を続け、平和条約の締結を目指す考えを示しました