2019年2月1日金曜日

ゴーン元会長、独占インタビュー

 日本の検察に卑劣さは「人質司法」だけではありません。
 検察は最初の段階で膨大な資料を証拠として押収しますが、そのうちから被疑者に不利なものを選んで証拠に申請する一方で、被告に有利な証拠類はすべて秘匿して日の目を見せません。
 秘匿した証拠類のリストが示されるのは、事件から数十年が経って、極めてまれに再審請求が認められたケースに限るといわれています。
 検察は、裁判に先立って、世間に対し被疑者への悪質な印象捜査が好き勝手にできるということです。
 
 多くの制約のなかで、辛うじて「獄中」の被疑者のインタビューが行われたのは、そうした害悪をいくらかでも薄めるという意味で貴重です。
 インタビューの中でゴーン氏は「なぜ勾留が続いているのか理解できない。私は逃げもせずにしっかりと自分を弁護する。また証拠は日産がすべて持っており、社員との接触も日産が禁じている状態で、どうやって証拠を隠滅できるのか」と述べ、国外逃亡をせず、そもそも証拠隠滅は「できない状況にある」としています。
 裁判所は逃亡の惧れと証拠隠滅の惧れを(長期)勾留の理由に挙げていますが、この反論に答えられるのでしょうか。
 日本の裁判所が判決を含めて、多くの面で検察の言いなりであるのも大変に問題です。
 ゴーン氏のインタビューを紹介します。
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「これは策略、反逆だ」 ゴーン元会長会見全文
ゴーン元会長、独占インタビュー
日経新聞 2019/1/30 
――日産自動車によるゴーン被告の不正調査と、仏ルノーとの経営統合に反対していた一部関係者が関連していたと思いますか。
「疑いようがない。(不正調査は)これは策略であり、反逆だ」
 
――「独裁者」であり「会社を私物化していた」との批判にどう反論しますか。
「私は日産を再生させた。日産を愛しているし、すばらしいことをしてきた。(私がやってきたことは)独裁ではなく、強いリーダーシップだ。一部の関係者が現実をゆがめるために、強いリーダーシップを独裁だと説明している。その目的は私を排除するためだ」
 
――2018年春に日産とルノーの資本関係見直しを表明していた。この計画はどこまで進んでいましたか。
「経営統合のプランはあった。18年9月に(日産の)西川(広人社長兼最高経営責任者=CEO)に話をした。(三菱自動車の)益子(修CEO)さんにも会話に加わってほしかったが、西川が一対一での会話を求めてきた」
「(統合構想は)1つの持ち株会社の傘下で(ルノー、日産、三菱自の)それぞれの自主性を確保する計画だった。私が過去17年間取り組んできた方針に沿った内容だ。あくまでも各社の自主性を尊重する内容だった」
 
――日産とルノーの経営から退くことになった。日仏連合の将来をどう見ていますか。
「アライアンス(企業連合)の将来については推測できない」
 
――日産の海外子会社を通じて不動産を不正に購入したとの疑惑があります。
「私には安全に仕事をして(業務上)人々を招待する場所がブラジルにもレバノンにも必要だった。一連の手続きは(CEOオフィスの)ハリ・ナダ(専務執行役員)がすべて担当した。私は弁護士ではなく、すべての関係者が把握していた。(問題があるのなら)なぜ私に言ってくれなかったのか分からない」
 
――中東の知人への巨額送金で罪に問われている。なぜ資金源に「CEO予備費(リザーブ)」を使ったのですか。
「(送金は)すべて各国の責任者である幹部がサインしている。他の地域でも同じように予備費からインセンティブが支払われているのに問題視されていない。『CEOリザーブ』はブラックボックスではなく、必要な幹部がサインをしている」
 
――日本の刑事司法についてどう思いますか。
「なぜ勾留が続いているのか理解できない。私は逃げもしないし、しっかりと自分を弁護する。証拠は日産がすべて持っており、社員との接触も日産が禁じている状態で、どうやって証拠を隠滅できるのか
 
――今の状況は。
「人生山あり谷ありだ」
 
――健康状態はどうですか。
「大丈夫だ」