2019年2月9日土曜日

「物価統計」総務省のデタラメ調査の実態

 毎月勤労統計の不正と並んで、総務省が行う「物価統計」もデタラメそのものです。
 これは8日の記事「アベノミクスの徹底検証が急務 幻想の中にいる国民の悲劇」でも触れられていますが、日刊ゲンダイが別建ての記事を出していますので紹介します。
 
 日銀「生活意識に関するアンケート調査」によると、消費者が実感する1年前との物価上昇率は平均5%で、内閣府の「消費動向調査」(いずれも12月に実施)では、今後1年間の物価上昇について「2~5%」「5%以上」と予想する人が約6割います。
 ところが総務省の「消費者物価指数」では、昨年12月の物価上昇率前年比07%止まりで、消費者の実感とかけ離れた値になっています。
 日刊ゲンダイは、唖然とするそのカラクリを具体的に述べています。
 
 そもそも安倍政権と日銀が「異次元の詐術的手法」を用いて行ったアベノミクスは、物価上昇2%をデフレ脱却の目安(それ自体が欺瞞です)としていた筈です。なぜ物価上昇を素直に認めて「メデタシ メデタシ」にしないのでしょうか。
 
 その理由は二つあります。高い物価上昇率を認めるとその分実質賃金の低下が大幅になってしまうので、アベノミクスの「成果?」を否定することになります。総務省が周到に物価上昇を低く抑えようとする当面の動機はそれですが、より重要な理由は、アベノミクスの手仕舞いが出来ないという点にあります。
 日銀がこれまで24兆円を投じて来たETF買いを止めれば、たちまち株の大暴落が起き、日本経済は大混乱に陥ります。株価が下がればそれを大量に所有している日銀は自己資本がゼロになって「倒産」します。
 こうして「虚構・虚妄のアベノミクス」の実態がバレるのは安倍政権として堪えられないからです。しかしこのまま現状を維持するのは、虚構・虚妄の安倍政治を継続することに他なりません。
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総務省もアベノミクス偽装「物価統計」デタラメ調査の実態
日刊ゲンダイ2019/02/07 
 毎月勤労統計の不正による「アベノミクス偽装」で、昨年の実質賃金のマイナス幅は公表値より下落することが判明。追い打ちをかけるように食品メーカーはこの春から怒涛の値上げラッシュと、庶民生活はますます火の車だ。その上、専門家は物価統計調査のデタラメを指摘。現実の実質賃金は統計の値よりも、さらに減少している恐れがあるというのだ。
 
 日銀が昨年12月に実施した「生活意識に関するアンケート調査」によると、消費者が実感する1年前との物価上昇率は平均5%。中央値でも3%だ。先月実施の内閣府の「消費動向調査」では、今後1年間の物価上昇について「2~5%」と予想する人が38%と最も多く、「5%以上」の21%を加えると、約6割が2%以上の物価上昇を懸念している。
 ところが、総務省の「消費者物価指数」だけが大きく下振れ。昨年12月の物価上昇率は前年比0.7%止まりだ。消費者の実感と総務省の物価統計が、ここまでかけ離れているのはなぜか。
 そのカラクリを解き明かしたのが、経済評論家の斎藤満氏だ。自身のメールマガジンで「実態以上に日本の物価を低く見せている可能性がある」と物価統計のデタラメ調査の実態を暴いた。
 
 それによると、1つ目の問題は、実質値上げが統計に反映されていないこと。異次元緩和がもたらした円安により輸入原料は高騰し、ここ数年、内容量を減らし価格を据え置く商品がやたらと目につく。こうした実質値上げは、統計部局の予算と人員が限られているため、見落とされているのが実態だという。
 もう1つは、統計上の恣意的な値下げ評価だ。この点が目立つのは、電気製品などの「教養娯楽用耐久財」と自動車の価格表示。統計上の値段は市場価格と大きく隔たり、大幅に値下げされて計上されているのだ。
 例えば昨年12月のノートパソコンの指数は101.1だが、2000年1月は8379.2と足元の指数のナント80倍以上。現在20万円のPCが約20年前には1600万円以上していたことを意味するが、そんな記憶は誰にもない。今と値段はさほど変わらなかったはずだ。かくもデタラメな理由を改めて斎藤満氏に聞いてみた。
 
■実感は3%の値上げなのに…
「統計担当者がこの間のPCの機能向上分を価格に置き換え、実質値下げと勝手に判断。現実に消費者が20万円を払って購入しても、統計上は20年前から99%安い2000円の扱いになってしまう。こんなばかげた統計品目がカメラなど他にもあふれており、自動車も同様です。93年1月の指数99.8に対し、昨年12月は100.9と、ほぼ横ばい。今から25年前に私はニューヨークでトヨタの『カムリ』を、当時のレートで200万円弱で購入しましたが、最近、復活したカムリの市場価格は約400万円。現実の価格は2倍に跳ね上がっても、当局が機能向上分を価格評価し、機能は2倍増と勝手に判断することで価格は横ばいで計上しているのです」
 こうした現実の価格とのズレは人為的に決まる。そこに恣意的な統計操作の余地が残るのだ。
 
「日本の物価統計は『価格は市場で決まる』という経済学の常識から大きく逸脱しています。消費者が感じる『3%のインフレ』が現実なのに、担当者が恣意的に物価統計を歪めている恐れすらある。本当は物価が上がっていれば実質賃金はさらに下がり、昨年平均は野党試算のマイナス0.5%程度から現実には2、3%下落していてもおかしくない。日銀の物価目標2%もとうに達成しているのに、実態以上に物価を低く見せれば、無用な異次元緩和を続ける理由にもなり、統計上の実質賃金を押し上げている可能性があります」(斎藤満氏)
 すこぶる怪しい物価統計も、「アベノミクス偽装」の手段のひとつかもしれないのだ。