2019年2月9日土曜日

安倍内閣が実質賃金上昇の虚偽データを公表

 政府は、野党が求める18年1~11月の「実質賃金の参考値」の公表を頑なに拒否する一方で、8日、12月の毎月勤労統計調査速報値として物価変動の影響を除いた実質賃金が前年を02%上回ったと発表しました。勿論、こんな具体性のないものですり替えることは出来ません。
 植草一秀氏が即日、その虚偽を明らかにする記事を出しました。
 要するに、厚労省は2018年の数値のみを、調査数「復元」作業で数値修正を行いながら、そうした「復元」を行っていない2017年以前のデータと比較して、実質賃金がアップしたとする偽装を行ったというものです。
 
 植草氏は、間違ったデータを修正しないで強引に押し通す内閣は、主権者国民から内閣失格の烙印を押されることになる、国会は国政調査権を活用して、適正な経済統計の開示を政府に強制する必要があると述べています
 日刊ゲンダイの記事も併せて紹介します。
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安倍偽装捏造改竄隠蔽内閣の虚偽データ公表強行
植草一秀の「知られざる真実」 2019年2月8日
アベノミクス偽装が国会で審議されるなか、厚生労働省が2018年の実質賃金伸び率を公表した。
厚生労働省が2月8日に発表した2018年12月のによると、物価変動の影響を除いた実質賃金が前年を0.2%上回ったとのことである。
実質賃金指数が前年比プラスになるのは、第2次安倍内閣発足後2度目で1度目は2016年の前年比+0.3%である。
アベノミクスの下で労働者一人当たりの実質賃金指数は約5%も減少してきた。
2018年もこの流れが変わらず、実質賃金が前年比プラスになったのは2016年の1年だけだった。
2016年はインフレ率が前年比マイナスの「デフレ」に回帰したため、名目賃金が増えていないが実質賃金が辛うじてプラスになったのである。
 
実体上は2018年の実質賃金は前年比減少であったと見られるが、厚生労働省は前年比プラスの統計数値発表を強行した。
前年比プラスになったのは、2017年の統計数値が、異なる手法で計測された低い数値になっているからだ。
厚生労働省は全数調査でなければならない調査について、東京都についてのみ3分の1のサンプルを用いる抽出調査を行っていた。
このこと自体が法律違反であるが、これを全数調査の数字に引き戻すために「復元」と呼ばれる作業が必要になる。
厚生労働省は2018年の数値のみ「復元」作業で数値修正を行いながら、2017年以前のデータは「復元」を行わずに数値を公表している。
このため、2018年の数値は高い数値になり、2017年以前の数値は低い数値になっている。
 
今回政府が発表した前年比伸び率は、「復元」した高い水準の2018年数値と「復元」しない低い水準の2017年数値を比較したものである。
その結果、プラス0.2%という数値が発表されているが、この数値は「間違ったデータ」ということになる。
統計処理方法を同一にして前年比数値を算出することができながら、安倍内閣は正しい統計数値を発表せず、「虚偽の」プラス数値を発表したということになる。
恐るべき事態である。
統計不正が発覚し、問題が明らかになるなかで、虚偽のデータを発表する安倍内閣の存続は一刻たりとも許されない。
 
一人当たり実質賃金伸び率は、実質GDP成長率と並ぶ、主権者にとって最重要の二大経済データである。
安倍内閣はこの二大経済データで「不可」の成績しか取れていない。
「アベノミクス失敗」を明白にする二つの経済データなのだが、この現実を踏まえて政策を修正するのではなく、不都合なこのデータそのものを「改ざん」、「ねつ造」するという驚異の行動に踏み出している。
さすがは、森友疑惑で14の公文書の300箇所を改ざんした実績を誇る内閣である。
安倍偽装隠蔽改ざんねつ造内閣と表現するのが妥当である。
国会は国政調査権を活用して、適正な経済統計の開示を政府に強制する必要がある。
間違ったデータを修正するなら理解されても、間違ったデータを強引に押し通す内閣は、主権者国民から内閣失格の烙印を押されることになるだろう。
 
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アマゾンに「カスタマーHaaa」さまが掲載くださったレビューを以下に転載させていただく。
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自民党・安倍政権のウソを、これほど集めて、コンパクトな新書にしたことで、改めて、この政権の空恐ろしさに驚愕した(2019年2月2日)
 
「前言撤回、言い換え、隠蔽、ねつ造、データ改ざん、犯罪のなすりつけ
最近では、毎月勤労統計のデータ改ざんもあったな。
「国家は、いつも嘘をつく」。じゃあ、どうすればいいの、一般庶民は。どうしようもないよね、だから、選挙に行く人も、少なくなってるの?国政選挙でも投票率は、6割いってないし、地方選挙はもっと少ないらしい。
 
本書を読むと、特に、安倍政権の幼稚な嘘がひどすぎる。しかも、犯罪級の嘘もこの間の自民党政権の中であったらしい。古くは日航機墜落。
本書の指摘通り、圧力隔壁の損傷での墜落ではないのであれば、恐ろしすぎる(ネタバレになるので詳細は本書を読んでください)。
郵政民営化、国民の年金保険料で作られたかんぽの宿の乗っ取りも、財界・アメリカの言うなりに行われた
 
りそな銀行の乗っ取りなど、犯罪級の重大な嘘が野放しなのは、司法も警察も権力のいいなりだからと指摘される。
そもそも自民党はTPP反対だったのに、手のひら返しでTPP参加を打ち出し、グローバル企業のいいなりに日本の富を売りわたそうとしている。自民党の選挙公約なんて信じちゃいけない。
安倍政権発足直後にオリンピック招致で「福島の汚染水の完全ブロック」を世界に発信したときは度肝を抜かれたし。
 
アベノミクスの成果も、強調されているが、庶民に実感はない。実感がないのも当然ということで、本書はそのからくりを暴く。
消費税の増税も社会保障のためと言われているが、結局、大企業大金持ち減税に消費税増税分は相殺されているという。
政権が、国民のためではなく、グローバル大企業、しかも、日本の企業だけではなく、アメリカの企業優遇で政策を動かしているのだという・・・
 
これまで、様々な他の著作でも指摘された自民党・安倍政権のウソを、これほど集めて、コンパクトな新書にしたことで、改めて、この政権の空恐ろしさに驚愕した。
先の世論調査では国民の半分が支持してると報道されていたが? 今はそのことの不思議を誰か解説してほしいよ。と思っていると、著者は3つの原因を挙げる。
刑事司法の不正支配。森友・加計疑惑の追及の甘さは記憶に新しい。メディアの不正支配。これも納得。そして、主権者の緩さ。最後だけは自分たちでどうにか出来る、どうにかしなきゃいけない課題だ。日本の政治、刷新しなくちゃ。誰に投票するかわからない、投票にいかないなんてだめだ。」
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毎勤統計2018年平均値を発表…野党求める“参考値”は見送り
日刊ゲンダイ 2019年2月8日
 厚生労働省は8日、不正調査が明らかになっている「毎月勤労統計調査」の2018年平均(速報値)を発表。「現金給与総額(名目賃金)の伸びから物価変動の影響を差し引いた実質賃金が、前年比0・2%増。プラスは2年ぶりという。一方、野党が求めている17、18両年に調査した事業所の「参考値」は、名目、実質ともに公表を見送った。「アベノミクス偽装」の疑いは深まるばかりだ。
 
  同時に発表した18年12月の速報値は、名目賃金が前年同月比1・8%増の56万7151円、実質賃金は1・4%増。参考値では名目賃金1・7%増としている。
 
 しかし、今回発表された数値は、東京都の従業員500人以上の約1000事業所をルール通りに「全数調査」したものではなく、不正な「抽出調査」に基づくもの。厚労省は東京都の「全数調査」を6月に再開するとしており、それまでは不正な「抽出調査」が続くことに変わりない。植木等じゃあるまいし、ウソだと分かっている数字を仰々しく発表することに、一体どんな意味があるのか。