2019年2月20日水曜日

安倍政権 GDPカサ上げで統計38件を改変

 アベノミクスによる好景気の偽装は2016年5月第9回経済財政諮問会議の説明資料に「経済統計の改善」が謳われていたことに役人たちが鋭敏に反応したことで加速されました。その議長を務めた安倍首相が国会答弁で、ひたすら「知らぬ、存ぜぬ」と強弁し、逆切れするのは滑稽なことです。
 毎月勤労統計による賃金アップの偽装はその一つですが、より根本的な指標であるGDPの算出方法をいじらない筈がありません。
 
 立憲民主の小川淳也議員れば、安倍首相が20159月に「GDP600兆円達成打ち上げると、それに反応して直ちにGDP関連の統計が見直されました。役人たちが政権に迎合すべく知恵を出し合ったわけです。
 安倍政権発足直後の13年以降、全56件の基幹統計のうち53件もの統計の取り方が見直されました。そのうちGDP関連は38に上り、うち10件は統計委員会で審議されず、勝手に見直しを決めたということです。
 政府は「国際基準に準拠」したことを強調しますが、それはそういう部分もあるということに過ぎません。また準拠した部分があったにしてもそれによるGDPのアップは安倍政権の成果ではありません。
 
 安倍政権下で変更された基幹統計には、全国消費実態調査や家計調査など、消費や支出に関するものが含まれています。小川議員によれば家計調査の方法が変わったことで、家計消費=個人消費が6%増えたということです。
 個人消費は日本のGDPの約60%を占めているので、それが6%増えれば
(名目GDP) 557兆円× 60/100 × 6/100 = 2005兆円
かさ上げされることになります。
 役人が無理に家計消費をアップさせたのはこれを狙ったからに他なりません。
 
(余談ですが、安倍政権になってから貯蓄ゼロ世帯が増えたのは周知の事実ですが、18年度ではそれが激減しました。それは同年度から、預貯金だけでなく株の運用や掛け捨てでない保険、例えば、学資保険、養老保険、傷害保険なども貯蓄に含まれることに変えたため、そのどれか一つに入っていても「貯蓄ゼロ」ではないとされた結果です。
 外見を良くするためとはいえ何とも姑息なことを考えるものです)
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安倍政権にGDPカサ上げ疑惑 600兆円達成へ統計38件イジる
日刊ゲンダイ 2019年2月19日
「経済政策を良く見せようとして統計を変えたことはない」――。18日の衆院集中審議で、野党から“アベノミクス偽装”を追及され、こう強弁した安倍首相。不正統計問題の責任を官僚に押し付け、頬かむりしているが、そうはいかない。また新たな疑惑が浮上したからだ。
 アベノミクス偽装を巡る大きな問題が、「GDPカサ上げ」疑惑である。立憲民主の小川淳也議員は集中審議で、この疑惑を改めて追及。安倍首相が2015年9月にブチ上げた「GDP600兆円」の達成をアシストするかのように、GDP関連の統計が見直されたことを指摘した。
 小川議員の調べによると、安倍首相が政権に返り咲いた直後の13年以降、全56件の基幹統計のうち53件もの統計の取り方が見直された。うちGDP関連は38件に上り、10件は統計委員会で審議されず、勝手に見直しを決めたというから驚きだ。
 
 これだけの数の基幹統計が見直されること自体、異常だ。民主党政権が3年間で変更したのは16件。うちGDP関連は9件しかない。
 
■「国際基準に合わせた」の理屈だけじゃ通らない
 小川議員が「統計手法を変更して、GDPをカサ上げしたのではないか」などと迫ると、茂木経済再生相は「GDPは支出項目の積み上げによるもので、家計や賃金が変わっても影響はない」とノラリクラリ。しかし、「アベノミクスによろしく」の著者で弁護士の明石順平氏は、「消費に関する統計手法を変えると、GDPが上向く可能性があります」と言う。
 実際、安倍政権下で変更された基幹統計には、全国消費実態調査や家計調査など、消費や支出に関するものが含まれている。要は、安倍政権が恣意的に統計をいじくりまくり、GDPをカサ上げした可能性はゼロじゃないのだ。改めて小川議員に聞いた。
GDP上昇の要因は、家計調査の方法が変わったことで、家計消費が6%増えたことなどが考えられます。しかし、政府は『GDPを国際基準に合わせたら数字が上がった』の一点張り。GDP統計を国際基準に合わせるという理屈は分かりますが、ならば上昇要因をきちんと国民に説明すべきです。上昇理由が、経済政策の成果なのか、計算方法が変わったからなのか、現状ではまるで分からない。GDP600兆円という結果ありきの統計手法の変更だと思われても仕方ありません」
 ペテン政権下で調べた統計は、もはや誰も信じられない。