2019年2月1日金曜日

9条俳句不掲載を謝罪 さいたま市教育長、作者に

 さいたま市の女性が憲法9条を詠んだ俳句公民館だよりへの掲載を拒否された問題で、細田真由美教育長は31日、同市の公民館で、女性に「心よりおわびする」と謝罪しました。
 
 ことの起こりは、公民館で活動している俳句のサークルが「秀句」として選んだ句、「梅雨空に9条守れの女性デモ」を、市側が従来からの慣習に反して、「世論を二分されているテーマが詠まれている」などとして「公民館だより」への掲載を拒否したことでした
 これは、市民が憲法を守るという国民の義務に沿おうとしているものを、市が「あたかも不穏なことであるかのごとく見做す」ということに他ならず、恐ろしい偏見です。市にそうした自覚がないのであれば一層深刻です。
 果たして女性が不当性を訴えたのに対して、さいたま地裁は女性の主張を認める判決を出しました。しかし市はそれに服そうとせず、最高裁まで争って敗北しました。何とも理解しがたい態度です。
 
 最高裁の判決が12月に出され、市が女性に謝罪したことをもって、この件は終了となりますが、市は、いたずらに時の政権の意向に迎合しようとしたことの誤りを、しっかり認識して欲しいものです。
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9条俳句不掲載を謝罪 さいたま市教育長、作者に
東京新聞 2019年1月31日
 さいたま市の女性(78)が憲法九条を詠んだ俳句の公民館だよりへの掲載を拒否された問題で、細田真由美教育長は三十一日、同市の公民館で、女性に「心よりおわびする」と謝罪した。二月一日発行のたよりに掲載する。
 女性は「安心した。四年半にわたり、このことを思い煩わない日はなかった」と話した。女性が市に句の掲載と損害賠償を求めた訴訟は、賠償を命じた判決が昨年十二月に確定した。
 
 判決によると女性は二〇一四年六月、市内の公民館で活動する句会で「梅雨空に『九条守れ』の女性デモ」と詠んだ。秀句に選ばれたが、公民館は「公平性、中立性を害する」として、たよりへの掲載を拒否した。
 二審東京高裁は昨年五月、一審さいたま地裁に続き賠償を命令。最高裁が同十二月、女性と市双方の上告を退けた
 
  【写真説明】俳句の掲載を拒否された女性(手前)に謝罪するさいたま市の細田真由美教育長=31日午後、さいたま市で