2004年にスタートした「九条の会」が10日、発足から10周年を迎え東京・渋谷公会堂で記念の講演会を開きました。
作家の大江健三郎氏、同じく沢地久枝氏、憲法学者の奥平康弘氏、翻訳家の池田香代子氏などが登壇し、ほぼ満席の約2千人が耳を傾けました。
大江氏は「集団的自衛権が実際のものとなる危機が迫っている」と警鐘を鳴らしました。
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九条の会 10周年 「解釈改憲 抜け道許せない」
東京新聞 2014年6月11日
「憲法九条を世界に輝かせたい」とする二〇〇四年の声明から出発した市民団体「九条の会」が十日、発足から十周年を迎え東京・渋谷で記念の講演会を開いた。いずれも呼び掛け人で作家の大江健三郎氏や沢地久枝氏は、安倍晋三首相が九条の解釈変更による集団的自衛権行使容認の閣議決定を急いでいることに「私たちは憲法を捨てなさいと迫られている」などと強い危機感を示した。
講演会には約二千人が参加。大江氏は「集団的自衛権が実際のものとなる危機が迫っている」と警鐘を鳴らした。沢地氏は「九条があるから日本は戦後、戦死者を出さずにこられた。政治家には冷静に日本の歴史を見てほしい」と今国会中の閣議決定に向けて突き進む安倍政権を批判した。
翻訳家の池田香代子氏は「首相は、法的正当性のない諮問機関の、お粗末な議論の末に出された報告書で解釈変更をしようとしている。国の在り方を変えるのに、こんな抜け道を許してはいけない」と指摘。首相が掲げる積極的平和主義についても「『攻撃は最大の防御』と紙一重の言葉」と危険性を訴えた。
大江健三郎さん「危機が迫っている」 九条の会10周年
朝日新聞 2014年6月10日
憲法9条を守ろうと2004年に設立された「九条の会」は10日、発足10周年の記念講演会「集団的自衛権と憲法9条」を東京・渋谷公会堂で開き、ほぼ満席の約2千人が耳を傾けた。
会の呼びかけ人で作家の大江健三郎さん(79)は、集団的自衛権が使えるようになることを目指す安倍晋三首相を「自分の望むことだけを言うグループの案を、閣議決定しようとしている」と批判。仮に集団的自衛権を使って自衛隊員が死んでも、「政治家は反省せず、『国際的に認められた権利で殺された』と強く言うはず。もうこの国から動かせないものになる危機が迫っている」と話した。
呼びかけ人では、作家の澤地久枝さん(83)と憲法学者の奥平康弘さん(85)も登壇。奥平さんは安倍首相が掲げる「積極的平和主義」を取りあげ、「平和主義とは戦争の準備をもしないこと。逆行した動きをとっており、言葉でだまそうとしている」と訴えた。(東郷隆)