毎日新聞が九州・山口の新成人100人に「10年後の日本」について聞きました。
「10年後の日本」についてが「平和だと思う」が54人で、今後の平和に不安を抱く人は46人でした。
不安に感じる理由は、「集団的自衛権の行使」や「憲法9条改正」などで、「戦争する国に近づいている」と思うということです。「国内で経済格差が広がり、内乱が起きる気がする」という意見もありました。
70年前に日本が戦った相手国を聞いたところ、28人が「知らない」と回答しました。
「将来は期待と不安のどちらが大きいか」については、「不安」が「期待」を上回りました。
不安に感じる理由は、「ちゃんと就職できるか不安」、「家族を持った後も養える金を稼げるか心配」、「若い人が少なくなり、自分たちの老後や年金が心配」の他、「アベノミクスの効果が全然ないから」という声もありました。
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新成人100人アンケ:10年後の日本…平和に不安46人
毎日新聞 2015年01月12日
戦後70年を迎える今年の成人の日(12日)に合わせて、毎日新聞は九州・山口の新成人100人に戦争や将来について聞いた。「10年後の日本」について54人が「平和だと思う」と回答したが「どちらとも言えない」を含めて今後の平和に不安を抱く人も46人と多く、集団的自衛権の閣議決定や続発するテロなどが理由に挙がった。
10年後が「平和だと思わない」と答えた山口県宇部市の大学生、中村篤さんは「集団的自衛権を持っていれば米国が戦争になった時に狙われかねない」と懸念する。「どちらとも言えない」を選んだ33人の中にも「憲法9条改正など悪い方へ向かっている気がする」(山口県周南市の女性会社員)や「戦争する国に近づいていると思う」(福岡市西区の大学生、青木衣里さん)など安倍内閣の政権運営を不安視する声が目立った。
また、福岡県行橋市の大学生、橋本めいさんが「テロが起きるかもしれない」と話すように世界各地で続発するテロを心配する新成人もいた。また、長崎市の船員、原田聖也さんは「国内で経済格差が広がり、内乱が起きる気がする」と内政面でも平和を脅かす要因があると指摘した。
山口県下関市の成人式に出席した大学生、長田拓之さんは「70年前に比べると国際機関も整い、第三次世界大戦は起きない」との理由で「10年後も平和」と答えた。ただ「平和」を選んだ新成人の大半は「今が平和だから」「何となく」などと答えた。これに対し、大分市の大学生、石田悠さんは「多くの人が平和な状態が続くと当たり前に思っていることが心配」と危機感を募らせる。また、70年前に日本が戦った相手国を聞いたところ、28人が「知らない」と回答。約3割が対戦国を答えられなかった。
「将来は期待と不安のどちらが大きいか」も聞いたところ「不安」が「期待」を上回った。就職など身近な問題を口にする新成人が多く、宮崎市の学生、金丸鈴美さんは「ちゃんと就職できるか不安」。熊本市の学生、田中那弥さんは「家族を持った後も養える金を稼げるか心配」と漏らした。「高齢者が増えて若い人が少なくなり、自分たちの老後や年金が心配」(福岡県久留米市の大学生、江渕健人さん)など不安を抱く声も相次いだ。「アベノミクスの効果が全然ないから」(佐賀市の学生、村岡令惟(れい)さん)という声もあった。
夢を見据える新成人からは「期待」がにじみ出た。長崎県佐世保市の大学生、折原留衣さんは「大学で幼稚園教諭の資格を取得。早く社会に出て働きたい」。北九州市八幡西区の学生、田原優花さんは「ドッグトレーナーの夢に向かってまい進しているので日々期待に満ちている」と話す。
しかし、夢も平和な社会でしか実現しない。鹿児島市の短大生、立山佳奈さんは第1希望の会社に就職が決まり、期待に満ちた表情で平和を願った。「政治がどんなに変わろうと、国民の平和への気持ちは変わらない。身近な戦争体験者の話や教育現場での平和学を大切にする限り、戦争は起きないと思う。起きないでほしい」【まとめ・松本光央】