10日付の「米の対ロシア制裁作戦はいたるところで破綻」で、9日付東京新聞の「米シェール企業破綻」の記事を紹介しましたが、10日付日刊ゲンダイが詳しい解説記事を載せました。
それによると1バレル当たりの生産コストはサウジアラビアの3~4ドルに対し、米国のシェールオイルは60~70ドルなので、サウジアラビアが米国よりも先に価格の下落に耐えられなくなることはなく、行き着くところまで行けば米国のシェール関連企業は次々と破綻することになります。
その場合、シェール関連企業が発行している社債は2000億ドル(約24兆円)を超え、借り入れもあわせれば4000億ドル(約48兆円)の規模なので、リーマン・ショックの再来になりかねないということです。
米国が当事者なので、そこに至る前の段階で何らかの調整が行われるものと思われますが・・・
日刊ゲンダイの記事を紹介します。
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米国発“金融パニック”秒読み 原油安でシェール企業が倒産
日刊ゲンダイ 2015年1月10日
下げ止まらない原油安のあおりで、ついに米国のシェール関連企業が経営破綻した。開発を手掛ける「WBHエナジー」が米連邦破産法11条を申請、負債は最大5000万ドル(約60億円)に上るという。
現在、原油価格は1バレル=46ドル台まで下落。わずか半年間で半値になっている。このまま暴落すれば、米国発金融パニックを引き起こしかねない。
経済評論家の斎藤満氏はこう言う。
「この原油安は複合的要素が絡み合っています。米国のシェール革命で供給は増えたものの、油をガブ飲みしていた中国経済が失速。その上、米国が金融緩和終了を決めたため、原油先物市場に流れ込んでいたマネーが逃げ出した。産油国の足並みがバラバラで、減産による価格維持もできない。米国のシェール産業に打撃を与えたいサウジアラビアの思惑もあり、値崩れは避けられそうにありません」
体力勝負になれば、サウジが有利になる。1バレル当たりの生産コストはサウジの3~4ドルに対し、米国のシェールオイルは60~70ドルといわれている。しかもサウジは20ドルまで下げても減産しない構えだ。
「〈底値20ドル〉はひとつの節目。石油メジャーのロックフェラーグループも20ドル許容姿勢を見せています。ロックフェラーと距離が近い元日銀審議委員の中原伸之氏(元東燃社長)も〈20ドル程度まで下がっても不思議ではない〉と見通しています」(商社関係者)
シェール関連企業がバタバタと倒れたら、金融パニックは必至だ。
「シェール関連企業が発行するジャンク債は2000億ドル(約24兆円)を超え、借り入れもあわせれば4000億ドル(約48兆円)ともいわれています。次々に破綻してそれがパーになれば、市場への打撃は相当なもの。どこもかしこも無傷ではいられません」(斎藤満氏)
リーマン・ショックの悪夢がよみがえる。