2015年1月9日金曜日

2013年度「家計貯蓄」が初マイナス、今後も拡大の一方

 このところ日刊ゲンダイの記事を紹介することが多くなりましたが、それは他のマスメディアがどういうわけかアベノミクスを批判する記事を一切出さないためです。
 きっと消費税増税に向けてインフレを引き起こすことだけが狙いの官邸が、国民にインフレマインド(インフレになるという認識)を醸成させたいために、それを損なうような報道を禁じているからではないでしょうか。そんなことにメディアが唯々諾々と従うこと自体が何んとも理解しがたいことです。
 
 日刊ゲンダイが、12月25日に内閣府から出された「平成25年度=2013年度国民経済計算確報」によると、家計の可処分所得(年金含む)から消費支出を差し引いた「家計貯蓄」がマイナス3.7兆円になったことを報じました。
 こんなことは統計がスタートした1955年以来初めてのことで、更に遡っても1949年に一度マイナスになっただけで戦時中でも家計貯蓄はプラスだったということです。
 
 家計貯蓄がマイナス3.7兆円ということは、可処分所得よりも消費支出が3.7兆円大きいということで、国民全体がそれに見合う額の貯蓄を取り崩して生活しているということです。
 家計の可処分所得は1997年は308兆円でしたが、2013年は287兆円と21兆円も減りました。安倍首相は正社員が減り、非正規労働者が増えたことを野党から衝かれたとき、「それでも国民総所得は増えている」と強弁しましたが、それも根拠のない「偽り」であったわけです
 消費支出は97年は283兆円でしたが、2013年は289兆円6兆円も増えました
 
 注意すべきはこれは2013年度のことであり、その後物価は加速度的に上がり、実質賃金は減り続けているので、2014年度には、更には狂乱物価が予想される今年2015年度にはどれほど悲惨な数字になるのか分からないということです。
 
 かつてジョージ・ソロスと共同でヘッジファンドを経営したことのある投資家のジム・ロジャーズ氏は、警句的な発言が好きな人のようですが、彼は
<(安倍首相は)日本を破滅させた男として、歴史に名を残すでしょう>
と語っているということです。
 
 繰り返しになりますが、かつて消費税アップの必要性を政府とともに国民に説いたマスメディアが、その流れでいままたアベノミクスを批判しようとしないでいることは、犯罪的な不作為と呼ぶべきではないでしょうか。
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大メディアはスルー「日本人の家計貯蓄が初マイナス」の衝撃 
日刊ゲンダイ 2015年1月8日
 アベノミクスの失敗を挙げていけばきりがないが、これぞ、決定的な数字ではないか。そう思われる経済指標が昨年12月25日、内閣府経済社会総合研究所国民経済計算部から“こっそり”出された。
 “こっそり”というのは、大新聞・TVがほとんど報じなかったからだが、この数字は衝撃だ。
 
 問題の経済指標は「平成25年度国民経済計算確報」と題されたもの。国民1人当たりの名目GDP(国内総生産)や名目GNI(国民総所得)、国民所得、国際比較などの数字が列挙されている資料だが、目をむいたのは家計貯蓄の項目だ。家計貯蓄とは、家計の可処分所得や年金の受け取りから家計の消費支出を引いたもの。これが2013年はマイナス3.7兆円になり、家計貯蓄率もマイナス1.3%になった。家計所得がマイナスになるなんて、この統計がスタートした1955年以来、初めてのことだ。それ以前をさかのぼっても、マイナスは1949年に1度あっただけだという。戦争中でさえ、家計所得はプラスだったのに、それがマイナスに転じた理由は明らかだ。
 
■ジム・ロジャーズ氏の予測通りの展開
 「その原因も資料の数字に出ています。報酬が伸びないのに、消費が増えたんです。つまり、貯蓄を取り崩して生活するしかなくなった。だから、家計貯蓄はマイナスになったんです。実際、家計の可処分所得は1997年は308兆円だったのに2013年は287兆円。消費支出は97年は283兆円でしたが、13年は289兆円です。しかも、これは13年のことなんです。その後、物価はさらに上がっていて、実質賃金は減り続けている。今後も円安の加速で、この傾向は拡大する。投資家のジム・ロジャーズ氏は<(安倍首相は)日本を破滅させた男として、歴史に名を残すでしょう>と語っていましたが、まさしく、その通りのことが起こっているんです」(経済評論家・菊池英博氏)
 
 ちなみに日本の貯蓄率は3.2%で先進国で最低レベル。フランスは15.2%、ドイツは11.4%だ。日本も92年は14.7%でトップレベルだったのに、凋落の一途である。日本が貯蓄大国というのは過去の話になってしまった。