2015年1月27日火曜日

人質殺害事件を口実に自衛隊の派遣を示唆 首相

 湯川さんの悲劇が、安倍首相の中東訪問中の言動に起因していることは明らかですが、安倍氏にはその自覚がなく、まして自責の念など全く持っていそうもないのは不思議なことです。
 
 安倍首相25日NHKの日曜討論で、「この(テロ殺害事件)ように海外で邦人が危害に遭ったとき、自衛隊が救出できるための法整備をしっかりする」と述べたということです
 この事件の何処に自衛隊を派遣する余地があるというのでしょうか。
 集団的自衛権の行使要件としてでっち上げた「新3要件」とも全く無関係です。何かにつけて直ぐに自衛隊を派遣したがるというのは実に危険な考え方です。
 
 そもそもこうした問題で自衛隊が現地に行けば何かが解決するという考え方が全く理解できません。解決するどころか事実上の交戦状態に入ってしまうことに思い及ばないのでしょうか。
 
 後方支援は武力行使ではないという主張も身勝手で、相手国が納得する筈がありません。国際的な常識に反したことをすれば、勿論国は危うくなります
 
 こんな素人的な考えの人に日本の舵取りを委ねるというはこの上なく危険なことです。
 日本の誇る平和憲法が事実の上で粉砕されてしまいます。
 
 26日の日刊ゲンダイが、安倍首相がNHKの日曜討論で人質殺害を口実に自衛隊派遣を示唆」したことを厳しく批判しました。 
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人質殺害を口実に…安倍首相がNHKで「自衛隊派遣」を示唆 
日刊ゲンダイ 2015年1月26日
 「最悪の事態」がとうとう現実となった。過激組織「イスラム国」による日本人人質殺害事件。こうなったのも、安倍首相が外遊先のカイロで、能天気ヅラして「イスラム国対策にカネを出す」と“宣戦布告”したのが原因だ。安倍首相は、イスラム国側から「アベ、おまえがハルナ殺した」と名指しされ、さぞ自責の念に駆られているのだろうと思ったら違った。「反省」どころか、今回のテロ殺害事件を安全保障や集団的自衛権の法改正問題と結び付けて“政治利用”しようとしているから許し難い。
 
 「この(テロ殺害事件)ように海外で邦人が危害に遭ったとき、自衛隊が救出できるための法整備をしっかりする」――。
 25日、NHKの日曜討論に出演した安倍首相。26日開会の通常国会で、安全保障と集団的自衛権の関連法案の成立に向けた意気込みを問われた際、こう強調していた。聞き手の島田敏男・解説委員が気心の知れた「寿司仲間」のために気が緩んだのだろうが、これは衝撃発言だ。
 
 安倍政権は昨年7月に国民の反対を押し切って「集団的自衛権」の行使容認をめぐる解釈改憲を閣議決定した。その際、武力行使できる新たな要件として、「日本の存立が脅かされ、国民の生命、自由と幸福の追求権が根底から覆される明白な危険がある」「日本の存立を全うし、国民を守るために他に適当な手段がない」「必要最小限の実力行使にとどまる」の3つを挙げていたはずだ。今回のテロ殺害事件と集団的自衛権は何ら関係がないし、新3要件も当てはまらない。それなのに、安倍首相は今国会で審議される安全保障や集団的自衛権とテロ殺害事件をごちゃ混ぜにして自衛隊派遣に前のめりになっているのだ。
 
■後方支援は実質的な武力行使
 さらに驚いたのは、イスラム国と戦闘状態にある米英などが主導する「有志国連合」との連携について、慎重姿勢を示しつつも「我々に求められるのは軍事的な貢献ではない。後方支援は武力行使ではない」と踏み込んだことだ。日本も「有志国連合」に名を連ねているとはいえ、これまで積極参加の姿勢は示してこなかった。後方支援とはいえ、日本が自衛隊を派遣して「武力行使」に加われば、自衛隊員が戦闘に巻き込まれたり、報復テロの標的になったりするのは避けられない。
 
 軍事評論家の神浦元彰氏はこう言う。
 「後方支援がなければ前線の戦闘は成り立ちません。つまり、後方支援は紛れもない武力行使です。安倍首相は自衛隊を派遣したり、特殊部隊を作ったりすれば解決すると考えているようだが、最大の軍事力を持つ米軍でさえも、特殊部隊によるイスラム国襲撃が失敗しているのです。安倍首相が想定しているのは、しょせんは『戦争ごっこ』。軍事を何も分かっていない。そんな日本が『有志国連合』に加わり、自衛隊を派遣して一体何ができるというのでしょうか」
 
 「有志国連合」の軍事作戦に参加しているカナダやオーストラリア、フランスは、イスラム系過激派によるテロが相次いでいる。安倍首相の暴走を止めないと、日本は「テロの連鎖」の泥沼にはまることになる。