2015年1月29日木曜日

身代金支払い拒否の米英も、臨機応変に人質交換

読売新聞 2015年01月29日
 【ロンドン=佐藤昌宏、ワシントン=白川義和】人質事件で身代金支払いを拒否する米英両国は、人質交換についても、一切行わないことを原則としている。
 ただ、実際には、自国民の人命尊重や軍人であることなどを理由に、テロに屈したとの印象を持たれないよう配慮しながら、人質交換には臨機応変に対応しているとされる。
 
 英政府は、シリアへの渡航情報の中で、「政府は長年、人質犯に実質的な譲歩をしないことを政策としている。身代金支払いや囚人釈放は更なる人質事件の増加につながると判断している」と明言している。
 だが、英国内では、英政府が2009年、イラクの武装勢力との間で人質交換を行った可能性が非常に高いと指摘されている。英公共テレビ「チャンネル4」などによると、同年12月、イラク首都バグダッドで07年5月に何者かに誘拐された英国籍の男性情報技術(IT)技師が解放された。これとほぼ同時に、イラク政府は収監中の武装勢力幹部2人を釈放した。
 
 英外務省は、人質交換を強く否定したが、実際に交渉を主導したのは英政府情報機関「対外情報部(MI6)」で、幹部2人を拘束していた米軍にイラク政府へ引き渡すよう依頼。その上で、同国政府が2人を釈放した。複雑な手続きを踏んだのは、米英両国が表面上、「無関係」であることを取り繕うためとみられる。