2015年1月3日土曜日

改革せず戦争する安倍政権を止める勢力が必要 (古賀茂明氏)

 元経産官僚の古賀茂明氏が日刊ゲンダイ紙上で安倍政治を総括しました。
 
 国民を裏切った民主党政権否定の反作用として登場した安倍政治に対して、「何か新しいことが始まった」と思うのは大きな錯覚で、アベノミクスの第1の矢「円のバラマキ」も、第2の矢「公共事業のバラマキ」も伝統的な自民党政治に過ぎないもので、第3の矢「成長戦略」も、発表した瞬間から大いに批判されたとおり成果はなく、GDPは2期連続で落ち込みました。
 円安・物価高で日本人の生活はますます苦しくなって行きます。
 
 外交安全保障でも今年は分岐点で集団的自衛権行使容認の法制化である安全保障法制の見直しなどを推し進め、その先にあるのが憲法改正です。
 
 そして安倍首相は「改革はしないけど戦争はする」人で、その暴走を止めるためには、「改革はするけど戦争はしない」新たな政治勢力が必要だとしています 
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
古賀茂明氏が直言 「改革せず戦争する安倍政権止める勢力必要」 
日刊ゲンダイ 2015年1月2日
 2015年はどんな年になるのか。元経産官僚の古賀茂明氏に聞いた。
 
 90年代以降、失われた二十数年、日本は正しい道筋を見いだせないできました。国民の誰もが変わらなきゃダメだというのは分かっていて、だからほぼ全ての政党が「改革」を旗印にしたが、民主党政権は官僚主導にのみ込まれ、第三極もコケた。「改革」できないままズルズルきたんですね。
 
 そこに安倍首相が戻ってきて「アベノミクス」を打ち出した。今、国民は大いなる錯覚に陥っています。「何か新しいことが始まった」とみんな思い込んでいる。だけど、安倍首相がやっていることは伝統的な自民党政治です。第1の矢は「円のバラマキ」。日銀総裁を交代させて、思い切りやらせた。第2の矢は「公共事業のバラマキ」。「改革」の柱は第3の矢の成長戦略ですが、成果はほぼゼロ。失われた二十数年と何も変わっていないのです。
 
 円安で日本の輸出品が安くなり、逆に外から買う物は高くなる。賃金は国際的に安くなっていますから、日本人の生活は苦しくなって当然です。株高で金持ちは浮かれているけれど、ドル換算ではマイナス成長。このままでは、日本の国力はどんどん低下していきます。
 
■日本の“平和ブランド”をなくす安倍首相
 外交安全保障でも今年は分岐点です。安倍首相は、軍事力によって、日本の利益を守るという考え方です。しかし、俯瞰して世界を見てみると、中国に対する抑止力は軍事力よりもビジネスなんです。中国は国際世論によって非難され、ビジネスができなくなることをむしろ恐れている。
 
 欧米は中国が世界中を侵略していると言いますが、それはビジネスや契約による進出であり、かつて欧米が軍事力で植民地にしたのとは次元が違う。例えばアフリカの人たちは、中国を親友とは思っていないけれど、ビジネスではパートナー。植民地時代の方が許せない、と思っています。
 
 そんな中で、安倍首相は日本の“平和ブランド”をなくそうとしている。集団的自衛権の行使を容認するための安全保障法制の見直しなど、15年春以降、そうした方向性を決定的にしていく。その先には憲法改正です。
 
 「改革はしないけど戦争はする」安倍政権の暴走を止めるためには、「改革はするけど戦争はしない」新たな政治勢力が必要だと思います。