2015年1月31日土曜日

憲法学者・奥平康弘さんが死去 「九条の会」呼び掛け人

 「九条の会」呼び掛け人の一人として、護憲の立場から積極的に発言してきた憲法研究者の奥平康弘さん(85)が26日午前一時ごろ、急性心筋梗塞のため東京都内の自宅で逝去されました。 
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憲法学者・奥平康弘さんが死去 「九条の会」呼び掛け人
中日新聞 2015年1月31日
 「九条の会」呼び掛け人の一人として、護憲の立場から積極的に発言してきた東大名誉教授で憲法研究者の奥平康弘(おくだいら・やすひろ)氏が二十六日午前一時ごろ、急性心筋梗塞のため東京都内の自宅で死去した。八十五歳。北海道出身。葬儀・告別式は近親者で行った。喪主は妻せい子(せいこ)さん。後日、九条の会関係者がお別れの会を開く予定。
 
 一九五三年に東大を卒業、名古屋大法学部助教授などを経て、七三年に東大社会科学研究所教授。八六年に同研究所所長に。国際基督教大教養学部教授も務めた。二〇〇四年に「九条の会」の呼び掛け人に名を連ね、講演活動などを行った。
 安倍政権の憲法解釈変更による集団的自衛権行使容認に対し「内閣の解釈で九条をないがしろにしてはならない」「解釈改憲は憲法改正と同じ」と強い危機感を表明。集会や記者会見にも頻繁に出席し、発言を続けていた。
 主な著書に「治安維持法小史」「表現の自由1(ローマ数字の1)、2(ローマ数字の2)、3(ローマ数字の3)」など。一四年には若手憲法学者との共著「未完の憲法」が刊行された。
 
◆大河のような信念
<作家の落合恵子さんの話> 今まさに憲法が危うくなっている中で、奥平さんの著書を時々私も読み返す。大変骨太で、憲法を自分の方に引き寄せるときに役立つ言葉だった。昨年、集会でご一緒したが、著書と同じように護憲という信念が、体の中を大きな川のように流れている方だと感じた。研究者でありながら、憲法を身体化し、また生活化していると感じた。それは、奥平さんからの宿題として私たちに残されたテーマだと思う。
 
 
奥平康弘・東大名誉教授が死去 「九条の会」呼びかけ人
朝日新聞 2015年1月30日
 憲法研究者で東大名誉教授の奥平康弘(おくだいら・やすひろ)さんが26日、急性心筋梗塞(こうそく)のため東京都内の自宅で死去した。85歳だった。遺族によると、葬儀は近親者で行われた。
 
 1929年、北海道函館市生まれ。東大社会科学研究所教授などを歴任し、「『表現の自由』を求めて」(岩波書店、99年)、「憲法の想像力」(日本評論社、03年)などの著書がある。70年代はじめに、情報公開法のモデルとなった米国の情報自由法を日本で紹介。「知る権利」が基礎にあると指摘した。表現の自由はなぜ手厚く保障されなくてはならないのかという問題を追究し、理論的な基盤を築いた。
 
 憲法研究者の立場から04年にできた「九条の会」の呼びかけ人に加わった。「憲法はつねに未完であり、世代を超えていきいきとした社会をつくるために憲法は必要なのだ」と発言し、改憲の動きに警鐘を鳴らし続けた。同会は近く「お別れの会」を開く。