アベノミクスの破綻は単に政権の命運を制すだけではなく、日本経済に壊滅的な被害をもたらします。
年末の総選挙後、株は乱高下を続けています。それは投機筋がアベノミクスを利用して吊り上げた株価がそろそろ限界に達したため、海外のヘッジファンドが手じまいに向かっている表れと見られています。
その段階に入ればいずれ株価大暴落が起きるのは必定で、年明け早々に大暴落をしても不思議はないといわれています。株価がこれ以上あがらないとなると投機筋は利益を確保するために、高値で売り抜けるからです。
米国の中央銀行に当たるFRBは今年中に金利を上げると表明していますが、それは一層のドル高・円安を誘うことになります。
もしもそこに日本国債の投機的な売りが重なれば、アベノミクスでバブルだけを膨らませ、実体経済が体力を失ってしまった今の日本経済はひとたまりもなく、一気に円安、株安、債券安のトリプル安に見舞われ、本格的な経済恐慌になってしまうということです。
誤りはいつかは正されなくてはなりませんが、日本はかつて経験したことがないほどの大きな代償を払わされることになりそうです。
日刊ゲンダイが「株乱高下は“経済恐慌”の兆候」とする記事を出しました。
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ロシアは対岸の火事じゃない 株乱高下は「経済恐慌」の兆候
日刊ゲンダイ 2014年12月31日
総選挙で与党が圧勝し、アベノミクス継続が“信任”されたのに、市場は不穏な動きを見せている。選挙後の東証株価は連日、乱高下だ。
「アベノミクスが景気回復に効果がないことは、GDPの2期連続マイナスで明らかになった。この先も上がり目はなく、株価の吊り上げもそろそろ限界です。それを察知した海外ヘッジファンドが手じまいに向かっている。株価の乱高下は、まるでマネーゲームの断末魔の様相で、年明け早々に大暴落しても不思議はありません」(経済アナリスト・菊池英博氏)
世界全体を見渡しても、マネー資本主義の行き詰まりは深刻さを増している。特に日本は「世界経済の足を引っ張る」と名指しされているほどで、IMFによる2015年の経済成長の見通しも下方修正の連続だ。辛うじて堅調な米国は、FRBが15年のどこかで金利の引き上げに踏み切ることを表明しているが、これが日本経済にトドメを刺す可能性もある。
「米国がドル高政策に転じたことで、これまで新興国や資源国に流れていた緩和マネーがどんどん米国に逆流している。FRBの利上げは、ますますドルへの資金シフトを加速させます。米国が金融緩和縮小を決めた際も、通貨下落などの危機に見舞われる国が続出しましたが、その時は黒田日銀が異次元緩和で支えた。そして今度は、日本が世界経済のリスクを負う立場になったのです。その日本市場で、いったん投げ売りが始まれば、今の日本経済はひとたまりもない。アベノミクスでバブルだけを膨らませ、実体経済が体力を失ってしまったからです。ドルの利上げは一層のドル高・円安を誘うし、そこに日本国債の投機的な売りが重なれば、一気に円安、株安、債券安のトリプル安に見舞われる。本格的な経済恐慌になってしまいます」(菊池英博氏=前出)
資源国でもない日本が、異次元緩和で円安政策を続ければ、どうなるか。ロシアのルーブル急落は、対岸の火事ではない。