昨年12月と年明けに翁長沖縄県知事が就任のあいさつや新年度予算の要請などで永田町を回った際に、知事選敗北の意趣返しのようにして面会を拒否するなどした安倍政権は、地元の意思を完全に無視したまま辺野古基地建設を強引に進めています。
翁長知事は26日、前知事の埋め立て承認に瑕疵がなかったかどうかを検証する第三者委員会を設置しました。第三者委員会は2月初旬に第1回会合を開き、早ければ4月にも結論をとりまとめ、翁長知事はその結果を基に承認の「取り消し」、あるいは「撤回」を判断します。
そして同日、翁長知事は過剰警備による負傷者続出の問題で、県庁に海上保安本部と県警の責任者を呼んで、新基地建設に反対する市民らにけが人が出ていることに抗議し、警備に当たってけが人を出さないよう申し入れました。
また副知事を通じて検証終了まで辺野古基地建設作業を中断するよう防衛局に要請しました。
ところが沖縄防衛局はその翌27日に、辺野古のキャンプ・シュワブ沿岸部にクレーンの付いた大型作業船計7隻を入れ、浮具や浮具を固定するためのトンブロック(1基が数十トン規模のコンクリートブロック)を設置する作業を開始しました。
これまでで最大規模の海上作業に建設工程を進めたわけです。
沖縄県との対話を拒否し、県の作業中止要請を無視して、しゃにむに工事を強行する姿勢は、1950年代に米軍が武装兵を出動させ、住民の抵抗を排除し、土地を接収し基地を建設したのにも匹敵する「平成の琉球処分」だと、沖縄タイムス(28日社説)は述べています。
辺野古基地建設では、地方重視・「地方創生」とは全く裏腹なことをしようとする安倍政権の本性が良く顕れています。
「辺野古作業強行 民意踏みにじる蛮行だ」とする琉球新報の社説と「名護市議会が意見書可決」の記事を紹介します。
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<社説>辺野古作業強行 民意踏みにじる蛮行だ
琉球新報 2015年1月29日
沖縄の民意を踏みにじる許しがたい蛮行だ。国策に異を唱える県民、国民を足蹴(あしげ)にするような安倍政権の専横がここまでまかり通るとは信じられない事態だ。
政府は米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古の新基地建設に向け、浮具(フロート)を固定するためのトンブロックを海中に投入した。それも翁長雄志知事が海上作業の中止を要請した翌日の作業強行である。
翁長知事の要請は、前県政による辺野古埋め立て承認を検証する第三者委員会が結論を出すまでの間は辺野古での作業を見合わせるよう求めたにすぎない。「辺野古移設ノー」の民意を受けて生まれた翁長県政の当然の要請である。
それすらも聞き入れずに作業を強行する政府の横暴にがくぜんとする。しかも、県はトンブロック投入が新たな岩礁破壊に当たる可能性があるとして、沖縄防衛局に問い合わせていたという。自然破壊を懸念する県の照会すら無視し、自らの方針を押し通した。これほど沖縄の民意に挑戦的だった政権は過去になかったであろう。
27日の衆院本会議で普天間問題について問われた安倍晋三首相は「地元の理解を得ながら普天間の一日も早い返還に向け、安全に留意しながら着実に移設を進めていく」と答弁した。
安倍首相の発言と実際の行動は言行不一致そのものだ。翁長知事の要請に反した作業強行は「地元の理解」を得る考えなど持ち合わせていないことの表れである。「安全に留意」とも言うが、辺野古沖では海上保安官による暴力行為が横行しているではないか。
安倍首相は「負担軽減に取り組む政府の姿勢が民主主義に反するとは考えていない」とも述べた。いったい安倍政権のどこが民主的なのだろうか。今沖縄で起きていることは国策への従順を県民に押し付け、反対者を排除する非民主的行為そのものである。
思い起こしてほしい。2013年1月28日、県民代表はオスプレイの配備撤回と普天間県内移設断念を求める「建白書」を安倍首相に手渡した。その末尾には「国民主権国家日本のあり方が問われている」とある。
建白書は辺野古移設反対を求める「オール沖縄」の原点である。民主主義を掲げるのなら、安倍首相は建白書に込めた沖縄の民意を黙殺することなく、辺野古での作業を即刻中止すべきだ。
辺野古移設作業「強行するな」 名護市議会が意見書可決
東京新聞 2015年1月29日
沖縄県名護市議会は29日の臨時議会で、米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に反対する県民の民意を尊重し、政府に辺野古での作業を「強行しないよう強く求める」と強調する意見書を、移設反対派の賛成多数で可決した。
意見書では、昨年1月の名護市長選で稲嶺進氏、同11月の知事選で翁長雄志氏と、いずれも辺野古移設反対派が勝利し、同12月の衆院選でも県内4小選挙区で辺野古反対の候補が全勝したことを指摘。「首相はその結果を無視している」と批判した。
また、辺野古沿岸部などで抗議活動を続ける辺野古反対派市民に対する海上保安庁や沖縄県警の警備を「過剰だ」と指摘した。(共同)