2015年1月30日金曜日

「9条は未来への規範」世界教会協 総幹事が首相に書簡

 世界教会協議会(WCC)のオラフ・トヴェイト総幹事は安倍首相に対し、憲法9条を改変すべきではないと訴える書簡を送りました。
 世界教会協議会140カ国のキリスト教教団350団体で構成され、昨年12月3~5日都内で第4回 9条世界宗教者会議を開いています。
 
 書簡は憲法9条は再解釈されるべきではなく、むしろ再確認されるべきだ」と解釈改憲を批判し、憲法9条を日本の国際政治の中心におくことを望み、「憲法9条は未来への規範だと確信している」と述べています
 
 しんぶん赤旗の記事と第4回9条世界宗教者会議での声明文を紹介します。
 声明は長文のため一部省略しましたので、全文は記載のURLでご覧下さい。
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「9条は未来への規範」世界教会協議会総幹事 安倍首相に書簡
しんぶん赤旗 2015年1月29
 140カ国のキリスト教教団350団体で構成される世界教会協議会(WCC)のオラフ・トヴェイト総幹事は安倍晋三首相に対し、憲法9条を改変すべきではないと訴える書簡を送りました。
 
 書簡は16日付。日本キリスト教協議会が27日、日本語訳を報道各社に公表しました。同協議会の小橋孝一議長が書簡をトヴェイト氏から託され、内閣宛てに送付したといいます。
 トヴェイト氏は書簡の冒頭で、昨年12月に都内で開催された第4回9条世界宗教者会議に触れ、会議の最終声明である「憲法9条がアジアにおける平和の礎」「日本国政府が憲法9条を守り、維持することを願う」などへの支持を表明しました。
 そのうえで、「憲法9条は再解釈されるべきではなく、むしろ再確認されるべきだ」と解釈改憲を批判。日本が平和的解決のリーダーシップを取り、日本の国土やその領域に米軍基地を存続させている負担を表明すべきだとしています。
 
 また、日本政府が1993年の河野談話と、95年の村山談話で近隣諸国に与えた歴史的苦難の事実に言及したことは評価されるべきだと指摘しました。
 憲法9条を日本の国際政治の中心におくことを望むとし、「憲法9条は過去の遺物ではなく、未来への規範だと確信している」と結びました。
 
 
第4回 「九条世界宗教者会議」 声明
ソウル・沖縄から再び東京へ
2014年12月5日
於 YMCAアジア青少年センター
 
「日本国憲法九条」
日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。
国の交戦権はこれを認めない。
 
ミッション:九条アジア宗教者会議
 
すべての宗教は、人種や国を超え、普遍的なものである。しかし今日では、宗教が扇動して暴力を正当化するために利用されている場合もある。宗教は元来の霊性を取り戻すまで精練されるべきであり、信者は忠実に、それぞれの状況で言葉と行動を用いて真理と人生についての現実を受けとめる必要がある。各宗教は平和のような普遍的真理の体現者になるべきであり、不一致、あるいは敵意につながるような違いを主張するのではなく、普遍的真理に共に生き、それを宣言すべきである。1
1 ”我々のミッション”から引用:第二回9条アジア世界会議(2009年ソウル)
第4回九条世界宗教者会議がYMCAアジア青少年センタ―を会場に開催され、日本、韓国、中国、香港、フィリピン、タイ、マレーシア、ミャンマー、オーストラリア、コンゴ、ノルウェー、スイス、ドイツ、カナダ、米国から約120名が参集しました。会議参加者はここに以下のことを声明いたします。
 
この会議は九条アジア宗教者会議として、第一回を2007年(東京)、第二回を2009年(ソウル)、第三回を2011年(沖縄)で開催しましたが、海外からの幅広い参加者を反映して九条世界宗教者会議という名称に変更されました。
 
1.私たちのコミットメントを再確認し、国内的、地域的、及び世界的に、正義、平和とすべての命を大切にする価値の説明責任をすべての宗教信者が果たすことを呼びかけます。
 
2.私たちは、第2回および第3回九条アジア宗教者会議声明の中で、日本国平和憲法九条は日本のみならずこれまでにないほど地域的また国際的に、先導的なものであることを確認しました。九条は、すべての戦争を終結に導く必須のステップ、また武力紛争の予防の手立てであり、正義と平和が実現され、かつ持続可能な未来を志向するすべての共同体と世界の中心的価値です
 
3.日本のこの会議の主催者及びパートナーと共に、安倍自民党政権(以後、安倍政権)が、平和と不戦の誓いであった憲法九条を再解釈し、更に改訂と修正を行おうとしていることに深い憂慮を表明します。日本の平和憲法改変は、アジア地域とより広い地域に大きな不安定をもたらすでしょう。日本自身が、周辺諸国の脅威となったり、不安定要因になってはなりません。安倍政権によるこの憲法再解釈と改正案は、この地域の人々の願いと希望に反し、そして立憲民主主義に対する脅威となっています。
 
4.安倍政権は、日本の侵略、植民地支配の歴史を直視し、その反省を世界に対して明確に表明すべきです。日本国民による不戦の誓いでもあった憲法を守ることはもちろん、「河野官房長官談話」「村山総理談話」から「菅総理談話」に至る、侵略と植民地支配を反省する、日本政府としての正式表明を維持すべきです。戦争犯罪を支持する挑発的行為として認識されうる靖国神社参拝は行うべきではありません。日本政府の侵略、植民地支配への誠実な反省こそが、アジア地域に平和をもたらす基礎となります。日本政府による侵略、残虐行為や植民地支配に対する真摯な自認と謝罪は、アジア地域の平和の基盤を形成します。
 
5.「領土」紛争については、日本政府は憲法九条の文言と精神に沿って、相手と対話し、外交交渉によって解決することを求めます。またいずれの国も、紛争解決の手段として、武力による威嚇、武力行使は自制するよう要請します。
 
6.日本政府は、沖縄や日本の他の地域の過重な基地負担を早急に改善すべきです。私たちは、軍事基地周辺の人々の苦痛と生態系の破壊を目の当たりにしています。日米両政府にキャンプ普天間の即時閉鎖と辺野古の新基地建設の中止を要請します。日本から、そして、他国からも米軍の速やかな撤収を米国政府に求めます。
 
7.武力に頼り軍備を増強することは、国や地域に安全保障をもたらすものではなく、逆に安全を脅かすものです。安倍政権の憲法九条再解釈による集団的自衛権の巧妙なごまかしは地域全体を不安定にする危険な軍拡競争につながると懸念します。これは、アジアでの覇権の強化を求める米国の政策とつながるもので、それに支持されていることは明らかです。すべての国々に対して、政治的衝突および外交課題の軍事的解決策を控え、また拒否し、九条の精神を遵守するよう日本政府に圧力をかけることを呼びかけます。日本政府に軍備増強とその使用を受け入れさせるような他国からの圧力に抵抗し、九条の文言と精神を真実に表すリーダーシップを示すことを奨励します。米国およびその他の国で平和運動に関わる人々の努力に敬意を示し、真の平和のためにその活動を継続することを奨励します。
 
8.世界中のすべての人々が、狭いナショナリズムを乗り越え、憲法九条の精神にならって、戦争放棄、和解、平等、相互尊重、互恵の関係を築くよう期待します。憲法九条に表現される非暴力への責任、また命への義務を負う宗教者として、良心的兵役拒否の人権としての尊重を求めます。
 
9.上記で提起された論点に加えて、日本政府が憲法九条の精神に基づいて、日本の地域社会での平和擁護者に対してと同様に、韓国人や他の少数民族に向けられている増大するヘイトスピーチの問題に対処するよう請願します。日本政府が、恐怖を抱かせるあざけりと脅威から住民を保護する法律を制定することと、「表現の自由の保護」を巧妙に装ってヘイトスピーチをする人たちを警察が保護することをやめることを強く要請します。
 
10.究極的な安全保障は、武器と軍備の放棄によってのみもたらされると確信しています。この確信を基に、会議の参加者がそれぞれのコミュニティーに憲法九条の大切さを伝え、さらに九条への賛同を確認すべく自国政府に働きかけることを誓います。憲法九条が、全ての国を鼓舞すること、これが私たちの祈りです
 
行動への提案
<宗教界に向けて>
        (省略)·
<市民社会に向けて>
        (省略)·
第4回 「九条世界宗教者会議」参加者一同