2015年1月16日金曜日

生活保護費を削減する一方で軍事費は4年連続5兆円超

 政府は15年度の予算案で、生活保護費のうち家賃に当たる「住宅扶助」の基準額と、冬場の光熱費増加分の「冬季加算」をそれぞれ30億円引き下げることを決めました
 昨年骨太方針に生活保護費の削減を盛り込んだ安倍政権は生活扶助は15年度までの年間で計670億円を削減し、住宅扶助は15年から年間で190億円減らします
 物価高騰のおり受給者の生活はますます苦しくなります
 
 その一方で、軍事費は過去最高の4兆9801億円に達しました
 しかししんぶん赤旗によれば、実際それに「補正予算」「復興特別会計」が加算されるので、軍事費は安倍政権の発足以来(12年~)毎年5兆円を超えているということです
 これらの加算分は、防衛省「白書」などで例年公表する「防衛関係費の推移」に反映されていません。
 
 生活保護費に関する東京新聞の記事と、軍事費に関するしんぶん赤旗の記事を紹介します。
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生活保護188億円削減 家賃と光熱費引き下げ
東京新聞 2015年1月15日
 厚生労働省は十四日、生活保護費のうち家賃に当たる「住宅扶助」の基準額と、冬場の光熱費増加分の「冬季加算」をそれぞれ引き下げることを決めた。二〇一五年度予算案でそれぞれ国費分三十億円ずつを減らし、計六十億円の削減となる。物価が上がるなか、受給者の生活は苦しくなる。 (鈴木穣)
 
 一五年度の生活保護費は二兆八千六百三十五億円で、一四年度当初に比べて百八十八億円減。安倍政権は昨年六月にまとめた骨太方針に生活保護費の削減を盛り込んだ。生活扶助は一五年度までの三年間で、計六百七十億円を削減。さらに住宅扶助は一五年から三年間で百九十億円減らす。
 住宅扶助は地域ごとに上限額が定められ、その範囲内で家賃として給付される。東京二十三区の単身世帯で月額約五万四千円。家賃の下落に合わせて減額を決めた。
 
 減額幅は地域や家族構成などで違う。特に少人数世帯の増加に伴い二人世帯の上限額を抑えた。減額対象になる受給世帯は、約百六十万世帯全体の二割前後とみられる。七月から実施する。
 
 家賃上昇が続く東日本大震災の被災地は多くのケースで増額する。また、厚労省は良好な住環境確保に国の最低居住面積水準(単身で二十五平方メートル)を満たす住宅の一定程度の確保を目指す。冬季加算は地域で額が違うが、全国の全受給世帯に給付されている。今回の見直しでは加算期間を地域により五~七カ月と幅をもたせるが、光熱費の必要額より多く給付されている地域を減額する。三人世帯で一シーズン1~20%減る。北海道や東北、北陸などの雪国で減額幅が大きい。
 
 除雪費用や暖房器具購入費などの増額も合わせて実施する。しかし、受給者の支援団体からは寒冷地で光熱費を給付する期間が短くて、実態に合っていないとの声が出ている。
 
 
軍事費 実は4年連続で5兆円規模 三つの“財布”使い分け
しんぶん赤旗 2015年1月14日
 2015年度予算案の軍事費(防衛関係費、SACO・米軍再編関係経費を含む)は過去最高の4兆9801億円に達しましたが、実際は安倍政権の発足以来、軍事費は5兆円を超えています。そこには、一般会計に含まれる当初予算に加えて、「補正予算」や「復興特別会計」という三つの“財布”を使い分けるという仕掛けがあります。
 
 民主党政権時代に組んだ12年度の軍事費は復興特別会計の枠を含めても4兆8274億円でした。しかし、12年末に発足した安倍政権は12年度補正予算に2124億円の軍事費を盛り込み、総計で5兆398億円の大台に乗せました。
 
 それ以来、一般会計とは別枠の復興特別会計と、補正予算で「経済対策」などの名目による兵器導入や米軍基地の整備が常態化しています。
 
 復興特別会計や補正予算に盛り込まれた軍事費は、防衛省が「白書」などで例年公表する「防衛関係費の推移」には反映されず、国民から見えにくいところで軍事費が拡大を続けているかたちです。
 
 今後、隠れた軍事費にも厳しい目を注ぐ必要があります。

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