ISに拘束され身代金を要求されている後藤健二さんの母、石堂順子さん(78)さんが、日本外国特派員協会で記者会見し、グループに対し「中立な立場で戦争報道をしてきた健二は敵ではない。解放してほしい」と訴えました。
会見は石堂さん側から「世界に向けてメッセージを発信したい」との申し入れで開かれました。
石堂さんは、「日本は戦争をしないと憲法九条に誓った国。イスラム教諸国の敵ではなく、友好関係を保ってきました。日本はアメリカによる広島と長崎への原爆投下で数十万人が亡くなった唯一の被爆国であり、70年間戦争をしていません」と強調しました。
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健二は敵ではない解放して 2邦人殺害警告 後藤さん母会見
東京新聞 2015年1月23日
イスラム教スンニ派の過激派組織「イスラム国」とみられるグループが日本人二人の殺害を予告し身代金を要求している事件で、拘束されているフリージャーナリストの後藤健二さん(47)=東京都港区=の母石堂順子さん(78)が二十三日、東京都千代田区の日本外国特派員協会で記者会見し、グループに対し「中立な立場で戦争報道をしてきた健二は敵ではない。解放してほしい」と訴えた。日本政府は、要求されている身代金二億ドル(約二百三十五億円)の支払期限を同日午後としている。
「皆さまのお力で健二の命を救ってほしい」。石堂さんは涙を浮かべながら、声を詰まらせて話した。
今回の渡航について、後藤さんからは事前に知らされていなかったといい、「この三日間、ただただ悲しかった」と話した。二十二日に後藤さんの妻からの電話で、二週間前に子供が生まれたばかりであることと、先に拘束されていた知人の湯川遥菜(はるな)さん(42)=千葉市花見川区=を「何が何でも助けるために」と言って後藤さんが渡航したことなどを知ったという。
「健二は小さいころから心の優しい子だった。いつも戦地の子どもたちの命を救いたい、と言っていた。乳飲み子を置いてまで、捕らえられた同胞、友達を救おうと正義感を燃やしたのではないか」
グループはビデオ声明で、安倍晋三首相がイスラム国対策で二億ドルの供与を表明したことを批判しているが、石堂さんはグループに向けて「日本は戦争をしないと憲法九条に誓った国。イスラム教諸国の敵ではなく、友好関係を保ってきた」と強調した。
日本政府に対しては「あと残された時間はわずかです。健二の命を救ってください」と訴えた。これまでに、日本政府からの接触はなかったという。協会によると、会見は石堂さん側から人を介して「世界に向けてメッセージを発信したい」との申し入れで開かれた。
◇後藤さん母声明全文
私は石堂順子と申します。ジャーナリスト後藤健二の実の母親です。多くの外国人記者の皆さんにお集まりいただき、感謝します。
日本国民・日本政府の皆さん、諸外国の皆さんに健二が大変ご迷惑をおかけしていることに心よりおわびします。私はこの三日間、ただただ悲しくて、泣いていました。表現できません。
健二は幼い頃から心の優しい子でした。健二はいつも「戦地の子どもたちの命を救いたい」と言っていました。中立な立場で戦争報道をしてきました。
イスラム国の皆さん、健二はイスラム国の敵ではありません。解放してください。日本は戦争をしないと憲法九条に誓った国です。七十年間戦争をしていません。日本はイスラム教諸国の敵ではなく、友好関係を保ってきました。日本は唯一の被爆国です。アメリカによる広島と長崎への原爆投下で数十万人が亡くなりました。
あと残された時間はわずかです。日本政府の皆さん、健二の命を救ってください。