天木直人 2016年8月8日
いよいよ、きょう8月8日の午後3時に天皇陛下の「生前退位」のお言葉が公表される。
蜂の巣をつついたような騒ぎになるだろう。
その前に、いつものように書きとどめておきたい。
一言で言えば、日本の政治は、このお言葉が公表された瞬間から、「天皇の生前退位」という大問題について最優先で取り組まなければならなくなるということだ。
そしてその責任は安倍政権に大きくのしかかる。
だからこそ安倍首相はこの問題の政治化を極力抑え込もうとするだろう。
みずからの責任ではなく、今まで以上に有識者の意見を聞いて、その意見にまかせて国民的合意を図ろうとするに違いない。
そして、その結論をできるだけ先送りしたいに違いない。
ところが二つともそうはいかない。
生前退位問題は、安倍首相の支持基盤である「保守」にとって大問題であり、しかも意見が分かれる問題だ。
神社界とそれを基盤にする日本会議などからすれば、認めがたいことだ。
生前退位の問題と絡んで浮上する女性天皇問題はもっと意見が分かれる。
安倍首相は苦渋の決断を迫られる。
それだけではない。
いたずらに先延ばし出来ないのだ。
生前退位を世論の8割以上は支持している。
そして今上天皇の健康を考えれば、生前退位について結論を出す事は待ったなしだ。
これまでの報道を総合的に勘案すれば、天皇陛下の「生前退位」のお気持ちは、安倍首相の憲法9条改憲阻止というよりも、自らの健康や家族を考えた上で象徴天皇制のあり方を真剣に考えた結果だとされている。
おそらくそうだろう。
しかし、その意図はどうであれ、結果的には、生前退位問題が最大の問題になることによって、憲法9条改憲を吹っ飛ばすことになる。
それでも、安倍首相は、憲法9条改憲を進めるかもしれない。
メディアを使って生前退位問題を鎮静化させる一方で、憲法9条改憲の作業を急ぐかもしれない。
そうなれば、安倍首相は、文字通り天皇陛下をないがしろにすることになる。
そんな事が許されるだろうか。
メディアはそこまで安倍首相に協力するのだろうか。
すべては、きょう8月8日午後3時に公表されるお言葉から始まる(了)