2016年8月24日水曜日

片山さつき議員の子どもの貧困報道批判は、政治家の恥さらし

 8月18日『NHKニュース7』は、両親の離婚によって母子家庭で育ち、中学時代にはパソコンが買えずにキーボードだけを買ってパソコン授業の練習をしいまも家にはクーラーがないため暑い時期は保冷剤を包んだタオルを首に巻いて過ごしているという高三の少女を実名で登場させました。
 彼女は卒業後アニメのキャラクターデザインを学ぶ専門学校への進学を希望したものの、入学金の50万円を工面することができず進学を断念しました。
 
 ところが番組終了後から彼女の“粗探し”がスタートし、ツイッターのアカウントを見つけ出し、彼女が『ONE PIECE』のグッズを購入したり、1000のランチを食べたり、EXILEのチケットを買ったりしたというツイートがネット上にピックアップされて、猛批判にさらされているということです。「貧乏人」にはそうしたごくたまのささやかな楽しみを持つことさえ認められないと言うわけです。
 
 そしてそこに登場したのが、かつてコメディアンの次長課長・河本氏の肉親が生活保護を受給していることをあげつらって物議を醸した参議院議員の片山さつきでした。
 彼女はバッシング軍団の旗手になった積もりなのか、「追加の情報とご意見多数頂きましたので、週明けにNHKに説明をもとめ、皆さんにフィードバックさせて頂きます!」 とツイートしたということです。
 国会議員が番組内容に口を出すこと何の躊躇もないということです。彼女は法学部の出身ですが、「自分は天賦人権論には立たない」と高言しています。何を学ぼうとも心が伴わなければそんなもので、バッシングの下劣さといい何とも酷薄な人間です。
 
 NPOキッズドア子どもの貧困をなくし、困難な環境にある子どもたちにも公平なチャンスを与える活動を行っている団体)の理事長の渡辺由美子氏が、国会議員:片山さつきに対する満腔の怒りを込めて、「片山さつき議員の子どもの貧困報道批判は、政治家の恥さらし」とするブログを発表しています。

  「なんで、こんな人が議員をしているのだろう? 本当に悲しい」と述べています。 
 ハフィントンポストから転載します。
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片山さつき議員の「子どもの貧困」報道批判は、政治家の恥さらし
渡辺由美子 ハフィントンポスト 2016年8月22日
(NPOキッズドア理事長)             
NHKの番組に実名出演した母子家庭の女子高校生に関して、1000 円のランチを食べていたとか、スマホを持っているとか、映画を見に行っているとか、趣味のグッズが高すぎるとか、そんな事が騒動になっているらしい。
さらにあろうことか、片山さつき議員が、この件に対して、「このレベルでは貧困ではない。」という主張をして、NHKに対して調査を求めるということだ。 http://netgeek.biz/archives/81243 
本当に、これが政治家のする事だろうか?
 
私も番組の動画を見たが、母子家庭で母親のアルバイトが主な収入で、エアコンのないアパートに住んでいる事は事実に間違いない。どうみても経済的に余裕はない。
50万円の学費が足りずに専門学校の進学をあきらめた事も事実だろう
この映像を見てもなお、この女子生徒は貧困状況にはなく、政府として救う対象ではないと片山議員はおっしゃるのだろうか?
友達とランチもせず、映画も見ず、好きな物も買わずに中古パソコンを買って勉強をするレベルは「貧困」ではないのだろうか?貧困な家庭に産まれたからには、外食したり、DSでゲームをしたり、専門学校に行ったりすることは望んでは行けないのか?
 
いったい、日本政府は、子どもたちがどれだけ貧困になれば、救済してくれるのだろうか?
日本の子どもの貧困率は163%。6人に1人が貧困だ。一方、高校生のスマホの所有率は976%(デジタルアーツ調査)。スマホなんていう高価な通信機器を持つ高校生は全員貧困ではないという理屈ではないか。片山さんの論調で言えば、日本には貧困な高校生は3%もいない
貧乏人は貧乏人らしく、スマホも持たず、外食もせず、趣味も持たず、みすぼらしくしていなさい。友達と同じような振る舞いをするなんてあきらめなさい。もし、自分の夢を叶えるために、またはいい職業につくために高校卒業後も勉強をしたいのなら、それは奨学金と言う名の借金を背負いなさい。国に助けてもらおうなんてとんでもない、という事だ。
 
貧困な家庭の子は、友達とランチをするなんて贅沢。スマホや趣味を持つなんて贅沢。好きなアーティストのコンサートに行くなんてとんでもない。お金がないなら、毎日アルバイトしてつつましく暮し、高校出たら働きなさい。もしどうしても勉強したいなら、奨学金を借りなさい。
税金で救済してもらおうなんて、とんでもない。
家にクーラーがないくらいで、お金がなくて将来の夢をあきらめたくらいで「貧困だから助けてください」なんてテレビで言うなんて、この大嘘つき!私が真相を暴いてやるから待ってなさい!!
片山議員がやっている事は、こういう事だ。
そういう政治をするという事なのだ。
 
こんな国で誰が、子ども産んで育てようと思うのか?
この女子高生を「嘘つき」と批判するのなら、片山議員は、毎日、いくらのランチを食べて、いくらの夕食を食べているのか?いくらの洋服や化粧品を買い、美容院やエステにいくら使っているのか?
詳細に公開するべきだ。彼女の机の周りにあるグッズを高価だというのなら、ご自分はどんな家に住み、どのような生活ぶりをしているのか、それにはいくらかかっているのか、ぜひ公表して欲しい。
ご自分で公表しないのなら、うららさんがされたように、片山議員のTwitterや周囲の方からの報告で公に晒されるべきではないだろうか?
 
女子高生がアルバイト代で友達とランチをする1000円を、自分の将来の職業にもしたいと思うような趣味のためのいくばくかの費用を贅沢というのであれば、ご自分との生活ぶりの違いをどう捉えているのか、ぜひお聞かせ願いたい。
一般人には、1000円のランチは贅沢で、貧困層は1000円のランチを食べるな。でも、私たち議員は特別な人だから、税金で高い給料をもらって、それで美味しいものを食べて、お洒落してきれいにして当然なのよ。いい家に住み、いい車にのって当然なのよ。
片山議員がやっている事は、そういう思想信条の上にあるのだろう。
 
税金で賄われている議員報酬1年分2100万円は、おそらく、うららさんのご家庭の年収の10倍はあるだろう。
税金をもらって、この国を良くするという仕事に携わっている議員として、その立場で、「この国の子どもの貧困を少しでも改善するために」勇気を持ってテレビの取材に答えた高校生を、嘘つきと糾弾するのか?
鬼のクビをとったように、嬉々としてTwitterで発信するべき事か?
政治家として、こんな状況にして申し訳ないと思わないのか?
 
子どもの貧困率は、先進国の中で、日本だけが、所得再分配後悪化するという状況だ。
 
政治の無能ぶりをこれほどさらけ出している国はない。
他の国は、政府が介入する事で、当然子どもの貧困率は下がる。日本だけは逆で、貧困状況の子育て家庭からも税金や社会保険料をたっぷりととり、それに対して見返りはちょっぴりとしかしていない最悪の国なのだ。
こんな無茶苦茶な政治をしている先進国は他にない。
 
そりゃ、誰も子どもなんか産まなくなる。
超少子化は当然だ。
それで、こんなまずい政治ですいません、と謝るのならまだしも、
こんなまずい政治のおかげで苦しんでいる女子高校生が、勇気を振り絞って、実名でメディアに出たのに、それに対して
「この嘘つき、成敗してやる」
と政治家が喰ってかかるって、本当にどういうことなのか?
舛添さんの公私混同の無駄使いも政治家としてふさわしくないと思うが、
片山さつき議員の、この政治センスもダメだろう。議員辞職して欲しいくらいだ。
なんで、こんな人が議員をしているのだろう?
本当に悲しい。
 
最後に、貧困の取材に実名で自宅まで公表して取材に答えるという事は、本当に勇気のいる事だ。うららさんを貧困ではないという見方をする人もいるようだが、私は彼女は立派に貧困(というのもおかしな表現だが)状況にあると思う。
彼女を批判する事は間違いだ。
どうか、みなさん、将来のある日本の若者をこれ以上傷つけないでください。