小泉内閣下で、新自由主義の旗手として差別社会を促進した竹中平蔵氏は、現在最大手の人材派遣会社会長を務める傍ら、安倍政権下の内閣日本経済再生本部産業競争力会議議員、内閣府国家戦略特別区域諮問会議議員等を務めてさらなる労働者の差別化を図っています。
2015年1月のTV番組で「(同一労働同一賃金について実現を目指すなら)正社員をなくしましょうって、やっぱね言わなきゃいけない。全員を正社員にしようとしたから大変なことになったんですよ」などと発言するなど、その無節操ぶりは計り知れません。
そんな彼の門下?の優等生である大田弘子政策研究大学院大教授が、今度「規制改革会議」の後継組織の議長に就くということです。
日刊ゲンダイが彼女のかつての発言の一部を次のように紹介しています。
「今の社会保障制度は良過ぎる」、「年金はに生活の最低限度にとどめるべき」、「基礎年金の財源は消費税にし、企業負担分はなくしていい」、「消費税を福祉目的化した場合の税率は24%になる」。
まことに恐るべき考え方というほかはありません。安倍政権の酷薄さをそのまま反映した人選です。
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規制改革会議トップに小泉・竹中コンビ“申し子”の悪夢
日刊ゲンダイ 2016年8月27日
安倍政権は7月末に設置期限の切れた「規制改革会議」の後継組織の議長に、大田弘子政策研究大学院大教授(62)を充てる方針を固めたという。第1次安倍内閣で経済財政担当相を務めた大田氏は「規制改革会議」でも議長代理を務めた。例によって、安倍首相の“オトモダチ”人事なのだが、とりわけ、この起用は最悪だ。ただでさえ社会的弱者イジメ政策を進める安倍政権を後押しするのは確実だからだ。
■持論は年金民営化、消費税率24%
「聖域なき規制改革」を掲げた政府の「規制改革会議」は、改革とは名ばかりで、実体は財界の“代弁機関”。大企業経営者にとって都合のいい政策を政府に働きかけてきた黒幕と言っていい。
特に“狙い撃ち”したのが労働・雇用だ。今や全労働者の4割にも達する非正規労働者の導入・拡大や、政府が今秋の臨時国会で成立をもくろむ「残業代ゼロ法案」を求めてきた。そんな悪名高き会議で、「規制改革は労働市場とセット」と公言していたのが大田氏だ。小泉政権で「構造改革のエンジン」と呼ばれた経済財政諮問会議の運営にも携わった。
大田氏は2015年8月の毎日新聞のインタビューで、「格差が拡大したのは構造改革のせいではありません」「改革なくして成長なし」と当時を振り返っていた。そんな人物が“第2”規制改革会議のトップに就くというのだから、恐ろしい話だ。
実際、01年2月の衆院予算委の公聴会に参考人として出席した大田氏はこんな持論を展開していた。
〈今の社会保障制度は良過ぎて持たないんじゃないか〉〈年金について申し上げますが(略)ナショナルミニマム(政府が国民に対して保障する生活の最低限度)にとどめるべき〉〈基礎年金の財源は消費税にする、二階部分は積立方式に移行して民営化する。企業負担分はなくしていい〉〈(消費税を福祉目的化した場合の税率は)私が簡単に計算しただけでも、それで24%になります〉
安倍政権は「増税分は全額、社会保障に充てる」と言って消費税を5%から8%に引き上げながら、社会保障制度をどんどん縮減しているが、大田新議長の“お墨付き”を理由にさらに加速させるだろう。経済評論家の荻原博子氏はこう言う。
「安倍政権の“意図”が透けて見える人選です。つまり、格差社会をさらに広げて構わない、ということなのでしょうが、果たしていいのか。英国や米国では今、格差社会の是正を求める動きが出てきている。日本だけが相変わらず旧態依然の小泉・竹中路線のままとは呆れます」
悪夢だ。