2016年8月21日日曜日

21- 辺野古訴訟が結審 9月16日判決

 名護市辺野古沿岸部の埋め立て承認を取り消した処分を撤回しない翁長雄志知事の対応が違法であることの確認を国が求めた訴訟は19日、福岡高裁那覇支部で行われた第2回口頭弁論を以て結審しました。
 翁長知事は、国が実質的な協議に応じずに提訴に踏み切った姿勢疑問であるとして、是正の指示に従わなかったことは違法な「不作為」には当たらないと主張しました。
 また沖縄県は、国の埋め立ての出願が公有水面埋立法の基準を満たしていなかったことを理由に知事が承認を取り消したもので、正当な措置であるとして、その主張を補強するために名護市長や安全保障、環境の専門家ら8人の意見陳述を予定していましたが、裁判所はそれを認めずに2回の弁論で結審しました。
 
 判決の言い渡しは9月16日なので裁判所側は既に結論を出している可能性がありますが、それが県側に有利にものであると推測させる材料は何もありません。
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翁長知事「民主主義が困難に」 辺野古の違法確認訴訟が結審
9月16日に判決
琉球新報 2016年8月20日
 翁長雄志沖縄県知事による名護市辺野古の埋め立て承認取り消しを巡り、国が県を相手に提起した不作為の違法確認訴訟の第2回口頭弁論が19日、福岡高裁那覇支部(多見谷寿郎裁判長)で開かれ、結審した。本人尋問で翁長知事は、新基地建設問題を解決するため国と協議する重要性を強調。代執行訴訟の和解成立後も実質的な協議に応じずに提訴に踏み切った国の姿勢に疑問を呈して、是正の指示に従わなかったことは違法な「不作為」には当たらないと主張した。その上で「このような事態が繰り返されると、日本の民主主義・地方自治は今後大変な困難を窮める」と訴えた。判決は9月16日に言い渡される。
 
 尋問で翁長知事は、国地方係争処理委員会が県と国の紛争解決のために真摯(しんし)な協議を促す結論を出したことを繰り返し説明。和解後の国との協議について「本質的な議論はなかった」と指摘した。十分な議論を経ず、訴訟提起までの手続きを迅速に進めてきた国の姿勢には「地方自治の認識に大変疑問を持っている」と不快感を示した。
 
 敗訴した場合の確定判決に従うか、国側代理人から問われ「確定判決に従うのは行政の長として当然だ」と回答した。一方で、確定判決に加えて、その後も判決の趣旨に沿った対応を求めた代執行訴訟の和解条項9項については、対象となる訴訟形態が今回の不作為の違法確認訴訟ではなく、県が提起する「是正の指示の取り消し訴訟」だったとして、「この裁判には(効果は)及ばない」とした。
 弁論後の会見で翁長知事は、「公平な判断を示されることを期待する」と述べた。
 
 
<社説> 違法確認訴訟結審 埋立法を原点に司法判断を
琉球新報 2016年8月20日
 翁長雄志知事による名護市辺野古の埋め立て承認取り消しに対して国が起こした不作為の違法確認訴訟が19日、結審した。
 判決は9月16日に言い渡される。翁長知事が行った辺野古埋め立て承認取り消しの適否と、その後に国が出した是正指示に応じない県の対応が「違法な不作為」に当たるかが争点となる。
 二つの争点のうち、翁長知事による承認取り消しの適否については、県知事の権限である公有水面埋立法の扱いを論点に据えるべきだ。
 ところが国は、埋め立てを承認した前知事の判断に焦点を当て、その承認に裁量権の乱用がなく、翁長知事が取り消したのは問題があると主張している。さらに埋め立てと基地建設に関して県知事の権限は限定的で、国防は国の裁量に委ねられ、環境保全についても「(県は)実行不可能な措置を強いている」と断じている。
 
 県は、そもそも国の埋め立ての出願が公有水面埋立法の基準を満たしていなかったことを理由に知事が承認を取り消したとし、承認に瑕疵(かし)があれば当然だとしている。公有水面埋立法に立脚した主張であり、正当性は県にある。
 県が申請した名護市長や安全保障、環境の専門家ら8人の意見陳述は認められず、2回の弁論で結審するというスピード審理となった。
 
 公有水面埋立法は、県知事の判断の根拠として「国土利用上適正で合理的であること」「環境保全および災害防止に十分配慮されていること」を挙げる。
 法の趣旨に踏み込んで、県知事の判断の根拠の適否や県知事の権限が限定的なのか否かを判断するならば、専門家の意見陳述が必要だった。わずか2回の弁論では足りないだろう。
 第2回口頭弁論も公有水面埋立法の問題よりも、県の対応が「不作為の違法」に当たるかに集中した。
 国と県が訴訟に至った問題の原点は、海を埋め立てて軍事基地を造ることの是非を問うことだ。公有水面埋立法の趣旨に基づいた本質的な議論をすべきだった。
 翁長知事は最終弁論で「このような事態が繰り返されると、日本の民主主義・地方自治は今後困難を極める」と指摘した。司法は問題の原点に立ち返り、正当な判断を下してほしい。