安倍首相は消費税の使途変更の是非を問うのが解散総選挙の「大義」だとして25日夕刻に記者会見した上に、21時以降はその宣伝のためにテレビのキー局数か所を“はしご”しましたが、早くも雲行きが怪しくなってきました。
26日に開かれた自民党税制調査会幹部会合では異論が噴出し、結局、具体的な対応については「衆院選後にあらためて議論する」ことになったということです。
ということは政権党の公約であるとして、消費税の税収アップ分を教育無償化などに充てることの是非を問うのが選挙の「大義」だとしておきながら、肝心の税調との調整が全くなかったということです。それでは首相個人の思いつきを「公約」だと偽ったことになりま。
たとえそうであったとしても、この期に及んで税調が「衆院選後にあらためて議論する(=今は白紙の状態)」とするなどはとても許されることではなく、安倍首相は党総裁として、それこそ政治生命をかけて税調を説得しなければならない筈です。
それもないままでもしもこのままで選挙に突入するようなことがあれば、野党は「無効の公約」だとして徹底的に批判すべきです。
安倍首相はこれまでも年ごとに次から次へと新しいスローガンを掲げてきましたが、前年のスローガンがどこまで達成されたのか(あるいはほとんど手も付けられなかったのか)については毎回全く言及がありませんでした。そうであればスローガンは全くの目くらましに過ぎません。
安倍氏にはそもそも約束を誠実に実行するという思いが完全に欠如しています。
安倍氏にはそもそも約束を誠実に実行するという思いが完全に欠如しています。
その好例が自民党が政権を奪還した2012年12月の総選挙でした。それに関するメモを日刊ゲンダイの記事の次に添付します。
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消費増税分の使途変更 自民税調「衆院選後に改めて議論」
日刊ゲンダイ 2017年9月27日
安倍首相が解散総選挙の“大義”だとして掲げた消費税の使途変更だが、早速、雲行きが怪しくなってきた。
安倍首相は25日の記者会見で、2019年10月に10%へ引き上げ予定の消費増税で得られる5兆円超の税収の使い道を変え、教育無償化などに2兆円規模を充てると表明した。これまでは、5兆円の税収増のうち、1兆円を介護などの社会保障の充実に充て、残る4兆円を借金の返済に回す計画だった。そのため、財政再建にブレーキがかかるとして自民党内から批判が上がっていた。
26日に開かれた自民党の税制調査会の幹部会合でも異論が噴出。結局、具体的な対応については、「衆院選後にあらためて議論する」ことになったという。
「TPP絶対反対」の選挙公約を破棄した自民党のことだ。衆院選後は「やっぱり財政再建も大事」とか言って、公約を反故にしかねない。選挙のため、争点ぼかしのための、とってつけたような公約だけに、安倍首相の甘い言葉にだまされてはいけない。
事務局メモ
安倍首相には選挙公約を守ろうなどという気は端からありません。
民主党政権下の2012年12月の総選挙では、自民党は写真のように「TPP断固反対」を掲げて戦いましたが、安倍氏は政権の座に就くとそれを弊履のごとく投げ捨てて、TPP条約の締結に狂奔しました。
2012年総選挙での自民公約ポスター