トランプ大統領は経済人らしくアメリカの貿易収支の改善には熱心で、アメリカが優位に立てるという前提で日米二国間貿易協定を結ぶことを当初から要求しています。
その交渉はいずれ開始されますが、この度の北朝鮮「リスク」を絶好の機会として、トランプ大統領は5日、日本と韓国に大々的に武器を売り込む意向を表明したということです。
武器を売りつける側としては確かに今は絶好のチャンスで、韓国は数十億ドル規模の軍事兵器・装備を米国から購入することに同意しました。
かつての朝鮮戦争がまだ正式に終結していない韓国としては悩ましいことかも知れませんが、その主体がミサイル迎撃システムであればそれは大いに疑問です。弾丸に弾丸を確実に当てることを信じる人はいないのに、それがミサイルの世界に置き換わると何故信じようとするのでしょうか。秒速5キロ前後という飛翔体に衝突させることが出来ると誰が保障してくれるのでしょうか。
日本もまったく同様です。日本は上空数百キロを北朝鮮の飛翔体が通過するのが許せないという立場ですが、国際法上はどうなのでしょうか。ブースト段階を終えて真空中を慣性巡航に入った飛翔体が途中で墜落する確率は皆無なのではないでしょうか。
その挙句に迎撃ミサイルの効能を無条件に信じて大枚を投じるなどは言語道断です。
しんぶん赤旗が、無人偵察機グローバルホークにまつわるアメリカの兵器産業のボロイ儲けぶりを報じました。
何もかもがボロ儲けの中でも、3機分の年間の維持費が126億円というのは国産の大型輸送機C2機の1基当たり12億円と比較して10倍もの額であって呆れます。
時事通信としんぶん赤旗の記事を紹介します。
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日韓に高性能軍備 米大統領がツイート
YAHOO NEWS(時事通信) 2017年9月5日
【ワシントン時事】トランプ米大統領は5日、ツイッターで「日本や韓国が米国から高性能の軍装備品を大量に購入することを認めるつもりだ」と述べた。
北朝鮮による弾道ミサイル発射や核実験への対抗措置とみられるが、装備品の具体名は言及しなかった。
韓国では、最新鋭迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」の在韓米軍への配備が進んでいる。トランプ氏は4日に文在寅大統領と電話会談した際、韓国が数十億ドル規模の軍事兵器・装備を米国から購入することに同意する考えを伝えた。
一方、日本政府は北朝鮮の脅威を念頭に、迎撃能力の強化を追求している。具体的には、米国が開発した陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」や、大型無人偵察機「グローバルホーク」などの導入を目指している。
無人偵察機価格23%増 認める 防衛省 年間維持費3機130億円
小池書記局長が8月に文書暴露
しんぶん赤旗 2017年9月6日
防衛省が米国からの購入を計画している無人偵察機RQ4グローバルホーク(GH)の取得費用が23%も上昇する―。日本共産党の小池晃書記局長が8月21日の記者会見で暴露した内部文書で明らかになった事実を、同省は8月31日公表の報告書で公式に認めました。
取得費用上昇にもかかわらず軍事費の2018年度概算要求では、日米同盟重視の観点からGH取得費用144億円を計上。導入されれば年間維持費は3機で130億円近くになり、とてつもない税金の浪費です。
防衛省の外局である防衛装備庁の報告書は、米メーカーの部品の枯渇で3機分の取得経費が119億円増の629億円となり、当初見積もりとの比較で123%になったと指摘しています。防衛省の内規では115%以上で取得計画見直しの「調整」を行い、125%以上で「継続の必要性」について検討を行うとしています。
小池氏が暴露した内部文書は、「仮にさらなる部品枯渇が発生した場合は、容易に25%を突破しうる水準」だと述べており、GHの取得はすでに“赤信号”手前との見方です。
さらに、3機分の取得経費や維持費を含むライフサイクルコスト(LCC)の総額は運用期間20年で3154億円になる見通しです。これから機体の取得経費629億円などを差し引くと、修理費や燃料費など年間維持費は3機で約126億円となり、1機あたりで42億円に達します。国産機では維持費が突出しているC2輸送機の1機あたり年間約12億円と比較しても、GHの異常さが際立っています。
防衛装備庁の報告書は、部品の枯渇で、初号機の導入が「2019年度中」から「21年度中」に遅れることも認めています。
グローバルホーク
米空軍によれば、上昇高度1万8000メートル、連続飛行34時間以上、航続距離は2万2780キロ。両翼の長さは約40メートル。防衛省は北朝鮮・中国・ロシアを念頭に、「常続的監視態勢の強化」のため、14年~18年度の中期防衛力整備計画で3機の導入を決定。三沢基地(青森県三沢市)に配備予定