2017年9月29日金曜日

29- 大義ない解散・国民には安倍首相の“安っぽい思惑”がお見通し(週刊女性)

 いくつかの女性(週刊)誌はこれまでも折に触れて痛烈な安倍政権批判の記事を載せて話題になりました。
 その中でも週刊女性」は健闘していて、この4月にも「共謀罪」を取り上げた10ページの特集を載せました
※ 4月23日 「週刊女性」が「共謀罪」を10ページにわたり大特集

 同誌は今回の解散・総選挙に対しても、「大義なき解散・総選挙、国民には安倍首相の“安っぽい思惑”がバッチリ見えている」とする記事を載せました。

週刊女性PRIME」の記事を紹介します。末尾に掲げた「安倍首相が見通せていない8項目」(安倍首相が良く分かっていない事項)も なかなか秀逸です。

   (註) 文中の太字強調箇所は「週刊女性PRIME」の記事に拠っています。
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大義なき解散・総選挙、国民には安倍首相の“安っぽい思惑”が
バッチリ見えている
週刊女性PRIME 2017年9月25日
(週刊女性  2017年10月10日号)
何のための解散なのか
「安倍首相に見えていないのは、解散・総選挙をめぐるさまざまな思惑がすべて国民に見透かされていること。国民が気づいていないと思っているとしたら鈍感すぎます」
 とジャーナリストの大谷昭宏氏は喝破する。
 自民党総裁の安倍晋三首相(63)は28日召集の臨時国会冒頭で衆議院を解散し、10月10日公示、同22日投開票の日程で衆院選を強行する構え。任期4年満了まで約1年2か月残している。
 小泉元首相の「郵政民営化解散」('05年)に代表されるように、任期前倒しで有権者国民の信を問うのだから選挙の争点ははっきりしていなければならない。ところが、税金をはたいて選挙を急ぐほどの理由は見当たらず、身内の自民党内からも「何のために解散するのか明確にする必要がある」(石破茂元幹事長)などと釘を刺される始末だ。

 23日時点では、消費増税の使い道、北朝鮮への対応策、憲法に自衛隊の根拠規定を明記すること─などが争点として取りざたされている。
 政治評論家の有馬晴海氏は「消費増税分の使い道について、教育無償化など全世代型の社会保障制度改革に費やすことを選挙で問うとしているが、それは後づけの理由にすぎない」と明かす。
要するに確実に増税したいだけです。衆院選を来年まで待った場合、2019年10月予定の消費増税を“再々延期する”と言うしかなくなります。選挙で勝てませんから。
 一方で3度目の延期になるのでリーダーの資質が問われます。絶対、増税したい財務省も黙っていないでしょう。どっちにしろ追い詰められるので、増税までまだ2年ある今のうちに解散し消費増税にお墨つきをもらいたいんです
 と有馬氏。

不安商法と一緒
 前出の大谷氏は、安倍政権の北朝鮮関連の対応策について厳しい目を向ける。
「必要以上に国民の不安を煽り、与党と野党とどちらが危機対応で安定していると思うか、と迫っているようなもの。そもそも、Jアラート(全国瞬時警報システム)の運用にしても、全国各地でわけのわからない避難訓練が行われていることにしても過剰反応ではないか。
 子どもが頭を抱えて床にしゃがみこむ姿がテレビで映し出されましたが、あれでミサイルを防げますか。むしろ北朝鮮を調子づかせるだけです」(大谷氏)

 しかし、不安をかき立てるアクションは止まらない。
 安倍首相は日本時間21日未明、米ニューヨークで開かれた国連総会の演説で北朝鮮を非難し、
必要なのは対話ではない。圧力なのです
 と言い切った。
 核実験や弾道ミサイル発射を繰り返す北朝鮮が“ならず者国家”であることはよくわかっている。ただ、米朝関係が緊迫化する中、火に油を注ぐことになりかねない。
安倍政権がやっているのは“不安商法”です。老後の不安を煽ってお年寄りに怪しい投資話を持ちかけるのと同じ。最も悪質な商法でブラック企業と何ら変わりません。ブラック企業が利益しか考えていないように、安倍首相は党利党略しか考えていません
 と大谷氏は指摘する。

 選挙戦では、憲法改正にも踏み込みそうだから怖い。
「北朝鮮の脅威を強調して国民を追い込もうとしています。陸・海・空軍を持たない国でいいのか、あるいは自衛隊の根拠規定が明記されていない憲法でいいのか、などと不安を煽り、国民から“このままではまずい”という声を引き出そうとしているのではないか」(大谷氏)
 前出の有馬氏も「自民党の選挙公約の“売り”は消費増税の使い道ではない」として次のように話す。
北朝鮮はこの先、脅威を増すとし、しっかり対応するため自民党に準備を任せてほしいと訴えるはず。憲法を変えることで北朝鮮に圧力をかけると言うかもしれない。安倍首相はずっと憲法改正がやりたいわけですから」(有馬氏)

 解散カードを切れるようになった背景には、内閣支持率がやや回復したことがある。
 前出の大谷氏は言う。
「報道各社の世論調査によると、8月3日の内閣改造直後はさすがに支持率が上昇した。一部調査ではようやく支持率が不支持率を上回ったが、僅差で1ポイント程度しか違わなかった。それだけ森友・加計学園疑惑に対する国民の不信が根強いことを示したわけで、それは現在も払拭されていない。野党は選挙戦で“疑惑隠し”を言い続けないといけません」

国民に対する詐欺行為だ
 野党が臨時国会で疑惑追及することはかなわなかった。内閣支持率も持ち直したというよりは、どん底まで落ちたため組閣で上向いたにすぎない。NHKの調査では、7月に支持35%(不支持48%)まで落ち込んだのが、8月の組閣直後には支持39%(不支持43%)と少し回復している。
 しかし、その内閣はほとんど仕事をしていない。
何も仕事をしないまま解散する。安倍首相みずから“仕事人内閣”と名づけておきながら、これは国民に対する詐欺行為に等しい」と大谷氏。
 怒りを通り越して、あきれている有権者は少なくない。

 景気回復はどうなったのか。前回'14年の衆院選は「アベノミクス解散」と呼ばれた。
 前出の有馬氏は「安倍首相は国民が経済政策になびくことをよくわかっている。道半ばのアベノミクスを成功させたい。前回衆院選で言っていたとおり、“この道しかない”んです」と話す。
 第2次安倍政権の経済政策としてアベノミクスを唱えてから4年9か月。昨夏の参院選でも「道半ば」と言っていたけれど、いつゴールにたどり着くのかわからない。国民の期待はしぼんでいる。

 ただ、民進党は離党が続出してガタガタで、小池新党は準備不足とされる。安倍・自民党の勝算は正しいのか。
 有馬氏は「民進党は厳しい。しかし、小池新党は選挙まで時間がないからこそ話をまとめやすい側面もある」と話す。
党の顔になる小池都知事はこの衆院選に出馬すると思います。空気はガラリと変わりますよ。小池新党が自民党の100議席を奪えば、安倍首相は退陣に追い込まれ、自・公・小池新党の連立で小池総理の誕生。小池氏が最初で最後のワンチャンスを逃すはずがない」と有馬氏。
 安倍首相の見込み違いはこれだけある。好機とみるのは楽観的すぎないか。

  安倍首相が見通せていない8項目

(1) 北朝鮮危機を必要以上に煽っているのが見え見え
(2) 森友・加計学園疑惑に対する不信感は根強く残っている
(3) 内閣支持率は低くなりすぎただけで持ち直してはいない
(4)「仕事人内閣」が全く仕事をしなかったことに有権者はあきれている
(5) どうにか憲法改正に結びつけようとしているのが見える
(6) 消費増税をもう先送りしたくない気持ちが透けている
(7) アベノミクスはいつまで「道半ば」なのか聞き飽きた
(8) 小池新党が大躍進する可能性を過小評価している