2017年9月11日月曜日

北朝鮮問題 今こそ直接対話を

 安倍首相は米・朝の緊張関係について、盛んに「対話の段階はもはや過ぎた」と述べ「対話のための対話は意味がない」とも言っています。北朝鮮はこの数年来一貫して米国と対話することを望んできたのに対して、それをずっと拒否してきたのはオバマ前大統領でした。このことからも北朝鮮が真剣に米国との対話を望んでいることは明らかです。
「対話のための対話」とは一体何のことなのか、また、対話が全くなされていないのに「対話の段階は過ぎた」とはどういうことなのか、安倍首相の発言は「意味不明語の羅列」です。

 天木直人氏によれば、10日の産経新聞に米国の軍事専門家の意見として
もし米朝軍事衝突が起きたら北朝鮮は間違いなく敗北するが、その前に在韓米軍基地や日本の海空防衛施設にミサイル集中攻撃をかけてくる。しかしそのとき日本の迎撃システムは機能せず、北朝鮮のミサイル攻撃を防げない
する記事が載ったということです

 ひたすら米朝間の対話を否定する安倍首相には、もしも米朝軍事衝突が起きればたちまちそういう事態に陥るという認識があるのでしょうか。とてもあるとは思えません。
 迎撃ミサイルでそれが防げると考えているのであれば、もうお目出度い限りです。「防げない」と米国の専門家さえもが断言しているのです。しかも注意すべきはそこではミサイルの命中精度に言及されていない(=命中精度がしかるべきレベルにあることを前提)ということです。
 
 共産党の小池晃書記局長は9日に配信されたインターネット番組「ウィークエンドニュース」で、「今こそ(米・朝は)直接対話に踏み切るときではないか」と強調しました(しんぶん赤旗)。
 事態を解決するためには、米・朝が対話して、米が北朝鮮の現体制を軍事的に転覆させることはないと保障するしかありません。

 天木直人氏のブログも併せて紹介します。
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北朝鮮問題 今こそ直接対話を ネット番組 小池書記局長が強調
しんぶん赤旗 2017年9月10日
 日本共産党の小池晃書記局長は9日に配信されたインターネット番組「ウィークエンドニュース」に出演し、緊張の続く北朝鮮問題、野党共闘、臨時国会の対応などについて討論しました。司会は、ノンフィクション作家の山岡淳一郎氏、コメンテーターは小池氏のほか、ジャーナリストの望月衣塑子、北丸雄二両氏です。

 この中で、北朝鮮の核・ミサイル開発への対応をめぐって、小池氏は「今の最大の危機は、米朝間の直接の対話がなく意思確認ができないもとで、お互いが挑発をエスカレートさせていることにある。このもとで当事者の意図にかかわらず、偶発的な事態、誤算で衝突が起こる危険性がある」と指摘。他のコメンテーターも軍事衝突の危険性を指摘し、「日本は真剣に対応しきれていないのではないかという疑念がずっと続いている」と発言しました。

 小池氏は、政府は「対話のための対話は意味がない」というが、オバマ米前政権のもとで、北朝鮮との対話が途絶え、このもとで核・ミサイル開発が進んだことを示し、米朝間での偶発的な衝突を避けるためにも、「今こそ直接対話に踏み切るときではないか」と強調しました。

 一方、「森友・加計」学園をめぐる疑惑に関しては、司会者が「解明されていない部分がたくさんある」と指摘しました。

 小池氏は、「安倍昭恵氏も加計孝太郎氏も国会出席はおろか、記者会見すらやっていない。(臨時国会での)最重点課題になることは間違いない」と強調。憲法破壊、国政私物化を進める安倍政権は「いままでの自民党政権とも異質。党派の違いを超えて倒さないといけない」と述べ、10月22日投票の衆院補選に向けて野党と市民の共闘をさらに広げる決意を表明しました。


北朝鮮有事を起こしてならないと書いた産経新聞
天木直人のブログ 2017-09-10
 きょう9月10日の産経新聞は国民必読だ。
 まず一面トップで米国の退役陸軍大尉が米外交専門誌である「フォーリン・ポリシー」に寄稿した内容を引用し、もし米朝軍事衝突が起きたら朝鮮半島はほぼ壊滅すると警告している。
 すなわち、北朝鮮は間違いなく敗北するが、その前に在韓米軍基地や日本の海空防衛施設にミサイル集中攻撃をかけてくるという。
 金正恩体制派は崩壊するがゲリラ戦が続くという。
 そして中国に大量の難民が流入し、日米は南北朝鮮からの大量難民の受け入れを迫られるという。
 驚いたのは、このシナリオは北朝鮮が核兵器使用に踏み切らない場合であってもそうだというのだ。
 もし日本や米西海岸に北朝鮮が核ミサイルを撃ち込めば、その被害は桁違いに増大するというのだ。

 そして、産経新聞は外交面でこう書いている。
 日本は北朝鮮のミサイル攻撃を防げないと。
 まず、北朝鮮が突如言い出した電磁パルス攻撃に日本はまったく対応出来ないと。
 そして、電磁パルス攻撃でなくても、いまのミサイル防衛システムでは、既存のSM3やPAC3はもとより、たとえ高高度ミサイル防衛システムやイージス・アショアを導入しても、高い角度(ロフテッド軌道)で撃たれたら届かないと。
 しかもミサイルを同時に大量に発射されたらお手上げだと。

 この産経新聞の二つの記事は何を意味しているのか。
 北朝鮮が本気でミサイル攻撃をして来たら防げないということだ。
 そしてミサイル攻撃が防げなければ、その被害と混乱は耐えられないほど甚大であるということだ。
 すなわち北朝鮮有事は、何は有っても起こしてはいけないという事を教えてくれているのだ。
 きょう9月10日の産経新聞は国民必読である(了)