2017年9月6日水曜日

北朝鮮の核保有は認めるしかないのでは

 北朝鮮は6回の核実験によって核弾頭小型化の技術を手に入れたと思われます。
 それに対してアメリカのサンダース報道官は5日、「今のわれわれの優先事項はあらゆる手段で圧力をかけ続けることだ」と述べ、マティス国防長官は「北朝鮮の全滅を含めた多くの選択肢を持っている」と軍事行動を示唆するなど、トランプ政権は発言を過熱させています。
 しかし核兵器の所有が国家の存立を保障する命綱と考えている北朝鮮に通じるとはとても思えません。

 その一方で北朝鮮の核開発をストップさせるのはもはや無理だとの観測から、アメリカ社会では北朝鮮の核保有を認める容認論が広がっているということです
 元オバマ大統領補佐官のスーザン・ライスNYT紙に「北朝鮮が核兵器を放棄する可能性は低い」「我々は北朝鮮の核兵器に耐えることができる」と寄稿しています。
 安倍首相はしきりに「耐えられない」と訴えていますが、それは「アメリカの核兵器は良いが北朝鮮の核兵器はダメだ」という身勝手なものです。そういえば国連決議もその種のものですが ・・・・
 現下の北朝鮮の政治体制を是認する人はまずいませんが、それと「国家の存立」はまた別問題です。

 安倍首相は北朝鮮が核を持てばすぐにも使うかのような言い方をしますが、それもまったく違います。核兵器を使ったが最後 報復によって間違いなく国家が滅亡することを、北朝鮮が何よりも良く知っているからです。
 北朝鮮は日本を射程圏内に収めるノドンを数百基も所有してからすでに10年以上が経っていますが、その間ただの1発も撃たなかったし、最近安倍首相が騒ぎ立てるようになるまでは「撃つ」という威嚇さえもしませんでした。そうした当然の自制力は持っているわけです。

 まずはインドやパキスタンに対すると同様に北朝鮮を核保有国として認めた上で、改めて平和共存を目指すという当たり前の道を進むべきです。
 日刊ゲンダイの記事を紹介します。
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金正恩のシナリオ通り…米国が迫られる北の核「容認」
日刊ゲンダイ 2017年9月5日
 トランプ大統領の「火力と怒りに直面するぞ」の警告を無視し、金正恩が6回目の核実験を強行した。6回の核実験によって北朝鮮は核弾頭小型化の技術を手に入れた可能性が高い。核開発をストップさせるのは、もはや手遅れとの見方が強まっている。とうとうアメリカでは、北朝鮮の核保有を認める容認論が広がっている

 どうせアメリカは何もできない――と、金正恩がトランプの足元を見たのは間違いない。
 米朝開戦となったら、米兵5万2000人が犠牲になるとシミュレーションされているだけに、たとえ北朝鮮が核実験を実施しても、アメリカが武力行使に踏み切るのはハードルが高いからだ。しかも、トランプは北朝鮮問題に関わっている余裕がない。
「今、アメリカ国民の最大の関心は、テキサス州を襲った大型ハリケーンです。被害総額は12兆円とされ、死者は44人、いまだに数万人が避難所に身を寄せ、復興には数年かかるといわれています。だから、トランプ大統領は2度も被災地に入った。対応に追われているトランプ大統領に、北朝鮮危機を考える余裕はないでしょう。アメリカ国民も北朝鮮への関心は薄い。トランプ大統領は、とても武力行使に踏み切れる状況ではありません。北朝鮮は、そうしたアメリカの状況を冷静に観察したはずです」(国際ジャーナリスト・堀田佳男氏)

 トランプは北朝鮮の核実験に対して、「アメリカにとって非常に敵対的で危険だ」とツイッターに投稿したが、経済制裁は効かず、カンタンには武力行使にも踏み切れず、手詰まりになっているのが実態だ。戦略の練り直しを迫られている。
 そこで、アメリカ国内では、北朝鮮の核保有を認める容認論が強まっている。

 オバマ政権で大統領補佐官を務めたスーザン・ライスは、ニューヨーク・タイムズ紙に「北朝鮮が核兵器を放棄する可能性は低い」「我々は北朝鮮の核兵器に耐えることができる」と寄稿している。北朝鮮の核保有はやむを得ないという立場だ。インドとパキスタンも、それぞれ6回の核実験を実施した後、事実上の核保有国として認められている
「アメリカにとって最悪なのは、北朝鮮の核がアメリカに向くことと、テロリストに核が渡ることです。それを防ぐために、今ある核の保有を認めた上で、これ以上の開発を凍結させ、厳しく管理させた方が合理的だという声は根強くあります。インドやパキスタンと同じ扱いです。何より、北朝鮮が核を保有していることは現実ですからね」(堀田佳男氏)

 金正恩の狙いは「核保有国」としてアメリカと対等に交渉し、平和条約と相互不可侵条約を結ぶことだ。恐ろしいことに、北の独裁者のシナリオ通りに進み始めている。