日刊ゲンダイが、安倍政権について、
「選挙では『経済最優先』と騙り、それで多数議席を得た途端、主な争点に掲げなかった特定秘密保護法や安保法、共謀罪などを強引に成立させてきたのが安倍政権だ。今回は何を企んでいるのか。25日の会見で安倍は憲法改正に触れなかったが、選挙に勝てば一気に憲法9条の改正に動き出す。あるいは、米朝の戦争に参加を決める。とにかくロクなことにならないのは確かだ。いま、この政権を叩き潰さないと、何をしでかすか分からない」
と書きました。
今度の解散が「森友・加計学園疑惑隠し解散」だということは国民も見抜いています。
安倍政権の5年間で外交も内政もメチャクチャにされました。いまや安倍政権の存在そのものが国難であることは明らかです。安倍政権を終わらせてほしいと願う多くの国民の声に応えることが野党の責務です(評論家 本澤二郎氏)。
ジャーナリストの鈴木哲夫氏は
「本気で安倍政権を倒す気概があるのなら、最大野党の民進党には、真意が読み切れない小池新党や、頑迷な共産党とも組むリアリズムが必要。非自民勢力がまとまれば、全選挙区で1対1の構図に持ち込める。そこで初めて与党との勝負になります」
と述べています。
日刊ゲンダイは具体的に、
「小池新党については、改憲派だから自民の補完勢力だとか、理念がよくわからないという懸念もあるが、非自民勢力がバラバラでは話にならない。ペテンの才能にかけては安倍に勝るとも劣らないのが小池なのである。ここは「毒をもって毒を制す」もアリだ」
とし、さらに
「権力維持の手段を選ばないのが自民党なのである。勝つためなら憲法も無視し、平気でウソをつく。だまされた国民が悪いと舌を出す鉄面皮。そういう狡猾な与党と対抗するには、悪魔とでも組む覚悟が必要だ」
と重ねています
まずは安倍政権を退陣させることこそが何よりも急務(その後のことはそれから考えれば良い)というわけです。
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巻頭特集
安倍政権存続こそ国難だ 野党は悪魔とでも組む覚悟が必要
日刊ゲンダイ 2017年9月27日
安倍首相が28日の臨時国会冒頭に解散することを正式に発表。森友・加計学園疑惑でニッチもサッチも行かなくなったものだから、野党の選挙準備が間に合わないうちに解散し、北朝鮮危機も利用して、火事場泥棒よろしく議席をかすめとる算段だ。
安倍は25日の会見で、解散の理由を「国難」と言った。少子高齢化や緊迫する北朝鮮情勢。「この国難を乗り越えるために、どうしても今、国民の声を聴かなければならない」と。それで「国難突破解散」というのだが、ご自慢の「仕事人内閣」で突破できない国難が、なぜ解散することで突破できるようになるのか、首をひねった国民は多いはずだ。
「新自由主義にかぶれて、若者が安心して結婚や子育てができない格差固定社会をつくりだし、北朝鮮の暴発をあおっているのは誰なのか。そのうえ、この解散で北朝鮮に対する圧力強化への支持を求めるなんて、狂気の沙汰です。放火犯がエラソーに『このままでは大惨事になるから、みんな消火に協力しろ』と強要しておいて、自分はまた新たに火をつけようとしている。今が国難というならば、それは安倍首相が国家権力を私物化し、好き放題やってきた結果です。この5年間で外交も内政もメチャクチャにされてしまった。いまや安倍政権の存在そのものが国難なのです」(政治評論家・本澤二郎氏)
日蓮は「立正安国論」で「他の邪教を信じたら国難が襲い掛かる」と主張した。そのひとつが元寇だと訴えた。日蓮に倣ったのか、安倍も北朝鮮の脅威を持ち出し、「国難」だから、他の政党を支持したら大変なことになると脅している。
■野党が割れれば自民を利するだけ
だが、皮肉なことに、「国難突破解散」というこじつけは、かえって安倍の浅薄な思惑を印象づけただけだった。会見直後から、ツイッターでは「#お前が国難」がトレンドの上位に入る話題になった。疑惑隠し解散だということは、国民も見抜いているのだ。
これまでも、選挙では「経済最優先」と騙り、それで多数議席を得た途端、主な争点に掲げなかった特定秘密保護法や安保法、共謀罪などを強引に成立させてきたのが安倍政権だ。今回は何を企んでいるのか。25日の会見で安倍は憲法改正に触れなかったが、選挙に勝てば一気に憲法9条の改正に動き出す。あるいは、米朝の戦争に参加を決める。とにかくロクなことにならないのは確かだ。いま、この政権を叩き潰さないと、何をしでかすか分からない。
そこで、問題は野党である。野党第一党の民進党からは「共産党とは組めない」という離党者が続出。小池新党の人気にすがる離党の動きも止まらない。こんな体たらくで安倍の暴走を止めることができるのか。
「野党が割れれば、自民党を利するだけです。野党間で選挙区調整をして、候補者を一本化しなければ勝てないことは、誰が考えても分かる。本気で安倍政権を倒す気概があるのなら、最大野党の民進党には、真意が読み切れない小池新党や、頑迷な共産党とも組むリアリズムが必要です。小池新党にしても、標榜する“非自民”が本当なら、民進との選挙協力は当たり前のこと。非自民勢力がまとまれば、全選挙区で1対1の構図に持ち込める。そこで初めて与党との勝負になります」(政治ジャーナリスト・鈴木哲夫氏)
「毒をもって毒を制す」で政権を終わらせることが命題
安倍の解散発表会見にぶつけるように「希望の党」という党名を発表し、新党代表に就くことを宣言した小池都知事は、やはりパフォーマンス巧者だ。メディアは小池に飛びついた。
このままでは7月の都議選と同じで、総選挙も自民党と小池新党の対決構図になる。民進、社民、共産の野党3党は埋没してしまう。
「小池新党なんて、後になって『とんでもないあだ花だった』ということになるかもしれない。しかし、小池氏が打ち出した原発ゼロと消費税凍結は、安倍政権の痛いところを突いている。蛇の道は蛇ということわざもありますが、小池氏は自民党の弱点を知り尽くしています。この選挙は“安倍か、反安倍か”の戦いなのです。安倍政権を終わらせてほしいと願う多くの国民の声に応えることが、野党の責務ですよ。民進党が『共産党とは協力できない』とか『小池新党とは組めない』などとガタガタ言って選挙協力を拒否するのであれば、自民党を勝たせ、喜ばせるだけです。これでは自民の補完勢力と見られても仕方がない。そんな政治家はいなくなってもらった方が国民のためです」(本澤二郎氏=前出)
小池新党については、改憲派だから自民の補完勢力だとか、理念がよくわからないという懸念もあるが、非自民勢力がバラバラでは話にならない。ペテンの才能にかけては安倍に勝るとも劣らないのが小池なのである。ここは「毒をもって毒を制す」もアリだ。しかも今回は短期決戦。小池が再び「崖から飛び降り」て風を起こせば、一気に安倍政権を追いつめることも不可能ではない。
■フタを開けてビックリの展開も
安倍は北朝鮮のミサイル発射を誰よりあしざまに非難し、危機をあおるのに、28日の臨時国会冒頭に予定されていた北朝鮮への非難決議はスッ飛ばして衆議院を解散する。開会式も、所信表明も行わないのは前代未聞だ。野党が憲法の規定に基づいて要求していた臨時国会を3カ月も開かず、ようやく召集日を決めたと思ったら、国難だとか言い出して審議から逃げた。こんなデタラメは、国民世論をナメきっている証拠だ。
民進党の前原代表は26日の常任幹事会で「北朝鮮への非難決議を避け、国民の総意を示さない。こんなひどいことはない。どんな手段をつかっても安倍政権を終わらせる」と話した。その言葉の本気度が問われている。
それこそ権力維持の手段を選ばないのが自民党なのである。勝つためなら憲法も無視し、平気でウソをつく。だまされた国民が悪いと舌を出す鉄面皮。そういう狡猾な与党と対抗するには、悪魔とでも組む覚悟が必要だ。安倍という国難にどう立ち向かうのか。「あいつは嫌だ」と自分の勝手な都合でグダグダ言っている時間はない。野党協力への対応で、政治家の危機感と覚悟が分かる。
前原は26日夜、小池と会談。合流をめぐって協議したもようだ。これに先立ち、昼間は最大の支持団体である連合の神津会長と会談し、希望の党と組む方針を説明したとみられる。非自民結集が成就すれば、選挙情勢はガラリと変わる。政治ジャーナリストの山田厚俊氏もこう言う。
「地方レベルでは、すでに民進党と共産党の選挙協力体制が進んでいるところもあります。民進党が都市部は希望の党、地方は共産党と協力体制を進めれば、意外とすんなりすみ分けができるのではないか。政策が水と油の公明党とも結んで、政権与党の座を維持してきた自民党のしたたかさを見習うべきです。民進党と希望の党が組み、共産党とも協力できれば、政権交代可能な2大政党制に向けた政界再編のスイッチが入る。それで政治に緊張感が生まれれば、安倍政権のような傲慢で自分勝手な政権運営はできなくなります。それは国民にとって大きなメリットです」
総裁3選と憲法改正という個人的な野望しか頭にない安倍は、所属議員が何人落選しようと、自公で過半数を維持すれば、これまで通り好き勝手に国を動かせると考えているはずだ。「小池新党も改憲勢力だから、合わせて3分の2議席になれば改憲戦略に支障はない」くらいに甘く考えていたかもしれないが、フタを開けて真っ青という展開もあり得る。
この解散・総選挙は民主主義と立憲主義を軽んじる安倍政権を倒す絶好の機会なのだ。今こそ野党の覚悟を見せて欲しい。