防衛省の来年度予算の概算要求額が5兆25511億円になり世間の顰蹙を買ったばかりですが、実はそのほかに兵器購入費の「後年度負担」と呼ばれている5年賦~10年賦の分割支払い分があり、来年度の「後年度負担」の総額は5兆2250億円だということです。
ほぼ、来年度予算要求額に匹敵します。
この「後年度負担」額は民主党政権時代には3兆円前後で横ばいだったのが、安倍政権になってからは14年度に3兆6000億円、15年度には4兆円超になり、来年度の概算要求ではついに5兆2250億円になりました。恐るべき膨張ぶりです。
安倍政権は表面に現れにくいこの制度を利用して高額の兵器の購入を続けて来ました。これは要するに、「払いきれない高額兵器を爆買いして、10年先の将来世代にまで負担を押し付けるもの(共産党 宮本徹衆院議員)」です。
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米から高額兵器爆買い 安倍政権で“防衛費リボ払い”急拡大
日刊ゲンダイ 2017年9月7日
北朝鮮が暴走し、国民の不安が高まっている今、4年連続で過去最大という防衛費への国民の理解が得やすい状況にある。“歯止め”とされるGDP1%枠突破の議論も起こり、安倍政権はシメシメなのだろうが、この程度でだまされてはいけない。安倍首相が、米国の言い値で高額兵器を次々と購入できるのは、こっそり“リボ払い”(後年度負担)を急拡大させているからだ。
後年度負担とは、単年度で支払いきれない高額兵器を購入する際、次年度以降に分割して支払う仕組みだ。平たく言えば、当面は楽になるが、後々の支払いに苦労するリボ払いに他ならない。
安倍政権になってリボ払いはフル回転。防衛費の後年度負担は、民主党政権時代には3兆円前後で横ばいだったが、安倍政権になってからは右肩上がり。14年度に3兆6000億円を計上すると、15年度には4兆円を突破。来年度の概算要求ではついに5兆円を超えた。
2019年度以降に支払う後年度負担はナント5兆2250億円。来年度予算(概算要求)の5兆2551億円とは、別に、である。今や単年度の防衛予算と同程度のツケがたまっているわけだ。足せば10兆円を大きく超える。GDPの2%になる。
■10年先の将来世代にまでツケ
しかも、防衛省は巨額なツケを国民に隠そうとするから許し難い。同省ホームページにある「我が国の防衛と予算 平成30年度概算要求の概要」には、“新たなツケ”(2兆4552億円)は明記されているが、過去に発生した“たまっているツケ”(2兆7698億円)は記載がない。
これでは、現時点で背負っているリボ払いの総額がわからない。防衛省は「平成30年度の概要ですから、30年度の支払いと契約を記載しています。29年度以前の数字は含んでいません」(報道室)と苦しい回答だった。
これから安倍政権は、北の危機に便乗し、ますますリボ払いを乱用するつもりのようだ。15年には兵器購入に限り、分割払いを5年から10年に延ばせるよう法改正している。10年でならせば、高額兵器も目立たなくなる。
この問題を追及する宮本徹衆院議員(共産)はこう言う。
「払いきれない高額兵器を爆買いして、10年先の将来世代にまで負担を押し付けるものです。厚かましすぎます。将来、軍縮を目指す政権ができても、兵器のツケに縛られてしまうことにもなる。防衛省がツケの一部を記さないのは、大っぴらにしたくない表れです。単年度だけでなく、ツケも含めて全体の金額を見ないとごまかされてしまいます」
国のトップが“リボ中毒”とは、世も末だ。