2017年9月1日金曜日

安倍自民党に蔓延するナチス的価値観と麻生副総理の大失態

 麻生副総理兼財務相が、自派の研修会で「(政治家は)結果が大事。いくら動機が正しくても何百万人殺しちゃったヒトラーは、やっぱりダメなんです」という趣旨のことを述べて大問題になっています。折から高須クリニック院長がナチスを礼賛するツイートをして問題になっていますが、一民間人のそれとは比較にならないことです。
 安倍内閣の宣伝の仕方がヒトラーのそれに似ているという指摘は早くからあったし、『HITLER ヒトラー選挙戦略』という書籍の出版に当たり高市早苗前総務相が推薦文を寄せていたり、2014年には高市早苗・稲田朋美前防衛相・西田昌司参院議員らがそれぞれネオナチ団体代表とツーショット写真を撮っていたことが発覚するなど、安倍内閣にはもともとナチスとの親和性がありました。

 麻生副総理は2013年にも、「ある日気づいたら(ドイツの)ワイマール憲法がナチス憲法に変わっていたんですよ。・・・あの手口学んだらどうかね」と発言して大問題になり、ユダヤ人権団体のサイモン・ウィーゼンタール・センターが抗議声明を発表するなど海外にも波紋が広がりました。
※ 2013年8月3日 ワイマール憲法下でなぜナチス独裁が実現したのか

 「いくら動機が正しくても・・・」という発言は「動機は正しかったのだけれども・・・」という意味に他なりません。副総理の立場にある人がそんな発言をすれば問題にならない方がおかしいくらいです。
 早速アメリカのユダヤ人権団体は抗議し、麻生氏も財務省のホームページ上にヒトラー発言を撤回するコメントをわざわざ英語で載せました
 アメリカ政治にユダヤ系勢力が大きな影響力を持っているのは周知の事実で、この問題は決して「ユダヤ人権団体の怒り」に留まるものではありません。近く渡米してペンス副大統領と「日米経済対話」に向けての事前協議を行う麻生副総理は、完全に弱みを握られた形になりました。

 LITERAと日刊ゲンダイの記事を紹介します。
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麻生副総理「ヒトラーの動機は正しかった」発言は本音!
安倍自民党に蔓延するナチス的価値観
LITERA 2017.08.30
 またも、あの男が暴言を吐いた。昨日、麻生太郎副総理兼財務相が、麻生派の研修会でこう述べたというのだ。
「(政治家は)結果が大事なんですよ。いくら動機が正しくても何百万人殺しちゃったヒトラーは、やっぱりいくら動機が正しくてもダメなんですよ、それじゃあ」
 ヒトラーの動機は正しかった──。何の弁解の余地もない、ヒトラーを肯定する大問題発言だ。現在はちょうど高須クリニックの高須克弥院長によるナチス礼賛ツイートが問題となっているが、今回はよりにもよって副総理の発言。国際的な非難を浴びるのは必至だ。

 そもそも麻生副総理といえば、2013年にも「憲法はある日気づいたらワイマール憲法が変わって、ナチス憲法に変わっていたんですよ。誰も気づかないで変わった。あの手口学んだらどうかね」と発言し、大問題に発展。ユダヤ人権団体のサイモン・ウィーゼンタール・センターが抗議声明を発表したほか、ドイツの有力紙・ヴェルトも「日本の副首相、ナチスの戦術を称賛」という見出しで報じるなど海外にも波紋が広がった。
 このとき麻生副総理は「悪しき例としてあげた」と釈明したが、今回も「悪しき政治家の例としてヒトラーをあげた」と言い訳している。しかし、同じ言い訳が2度も通用するはずがない。しかも、今回は前回の反省もなく、“ヒトラーの動機は正しかった”とはっきり肯定している。何度も言うが、戦前のナチスを肯定するなど国際社会においてはけっして許されない。大臣は即辞任、いや、政治家を辞するべき発言だ。
 いや、だいたいこの“暴言男”が、いまなお副大臣という座にいること自体がどうかしているとしか思えない。1983年には「女性に参政権を与えたのは失敗だった」と言い放ち、2007年には国内外の米価を比較して「アルツハイマーの人でもわかる」と述べ、2009年には学生から“若者には結婚するお金がないから結婚が進まず少子化になっているのでは?”と問われ、「金がねえなら、結婚しないほうがいい」「稼ぎが全然なくて尊敬の対象になるかというと、よほどのなんか相手でないとなかなか難しいんじゃないか」と返答。2014年には、社会保障費の増加について「子どもを産まないのが問題だ」とも語っている。

過去にはナチスの障がい者、高齢者抹殺を想起させる発言も
 女性や認知症患者というマイノリティを蔑視し、また、少子化の要因となっている若者の貧困や子育ての厳しい現状を直視せず、金持ちのボンボンとしての価値観を露わにする。──しかも、これらは偽らざる本音なのだろう。実際、2006年の外相時代、麻生氏は北朝鮮のミサイル発射に際して「金正日に感謝しないといけないのかもしれない」とも述べている。“北朝鮮のおかげで軍拡が進められるというこの発言は、いま現在の安倍首相とも共通するものだろうが、ともかく麻生氏は思慮があまりに浅いために、いつも暴言・失言騒動を巻き起こすのだ。

 だが、今回のヒトラー肯定発言において、麻生氏の忘れてはいけない暴言がある。それは2013年の社会保障制度改革国民会議で述べた、このような言葉だ。
「(高齢者の終末期の高額医療を)政府のお金でやってもらっていると思うと、ますます寝覚めが悪い。さっさと死ねるようにしてもらうなど、いろいろ考えないと解決しない」
 このとき、麻生氏は終末期医療を受けている患者のことを「チューブの人間」とさえ表現。無論、こうした暴言には批判が集まったが、やはり反省もなく、昨年も「90になって老後が心配とか訳のわからないことを言っている人がテレビに出ていたけど、いつまで生きているつもりだよと思いながら見ていた」と講演演説で述べている。
 社会福祉の当然の対象である高齢者を差別的な視点から俎上に載せ、命をコストで計った上で“生きる価値がない”と烙印を押す。そうした考え方は、まさにナチスの政策と通じるものだ。事実、ナチスは安楽死作戦において障がい者や高齢者を抹殺している。
 麻生副総理が言う「正しい動機」とは、こうしたナチスによる優生政策も含まれているのだろう。しかしどうだ。ナチスの行いを「動機は正しい」と肯定することによって、命を金で換算する価値観を拡大させ、結果、相模原であのような残忍な事件が起こったのではないか。
 しかし、ナチスを悪いと思っていないのは、麻生副総理だけではない。自民党そのものが、ナチスへ共感を深め、親和性を高めてきたのだ。

歴史的に見ても自民党はナチス的価値観と親和性が高い
 現に、1994年には、自民党東京都支部連合の事務局広報部長(当時)だった小粥義雄氏が『HITLER ヒトラー選挙戦略』(永田書房)なるヒトラーの選挙戦略を学ぶという趣旨の書籍を出版。なんと自民党の候補者に向けた選挙戦略啓発本で、“ヒトラーに学べ”と堂々と宣言していたのである。
 しかも、同書には高市早苗前総務相がこんな推薦文を寄せていた。
「著者の指摘通り勝利への道は『強い意志』だ。国家と故郷への愛と夢を胸に、青年よ、挑戦しようよ!」
 同書は米ニューヨーク・タイムズ紙などから「ヒトラー称賛」と批判を受け、ユダヤ人団体も抗議。わずか2カ月後に絶版回収となったが、それでも推薦文を書いた高市前総務相や稲田朋美前防衛相、西田昌司参院議員という自民党議員は、2014年にネオナチ団体代表とツーショット写真を撮っていたことが発覚し、またも海外から批判を浴びている。

 つまり、自民党はもともとナチスに対する批判的視点や拒否感が欠落しているのだ。それも当然だろう。以前にも本サイトでは指摘したが、源流を辿れば、戦前、大日本帝国はヒトラーのドイツ、ムッソリーニのイタリアという独裁主義国家と三国同盟を結び、アメリカやイギリスなどの民主主義国家と戦争を繰り広げていた。そして、安倍首相の祖父である岸信介元首相をはじめ、そのナチス・ドイツと日本が結びついていた時代に政権の内部にいたり官僚だった人間たちが参加してつくったのが自由民主党だからだ。
 そう考えれば、敗戦と占領によってアメリカに対して恭順の意を示しているだけで、この政党の底流に流れている考え方はアメリカやイギリスなどの連合国的価値観よりも、ドイツ、イタリアなどの枢軸国的価値観に近い。
 そして、安倍首相が深く関与して作成された憲法改正草案でぶちあげた緊急事態条項の創設が物語るように、その精神は安倍首相をはじめ現政権に受け継がれ、いま、さらに再強化されているのだ。

 たとえば、安倍首相が「こんな人たちに負けるわけにはいかない」と自分の批判者を国民とみなさず分断したことも、現在の北朝鮮のミサイル問題でやたら脅威と憎悪を煽り立てているのも、「ナチスの手口」にほかならない。
 事実、ヒトラーの右腕だったヘルマン・ゲーリングは、こう述べている。
「国民を戦争に駆り立てるのは簡単なことだ。『われわれは外国から攻撃されようとしている』と国民をあおり、平和主義者を『愛国心が欠けている』と非難すればいい」
 麻生副総理の発言への責任追及は当然だが、このように問題は根深いということをよく知っておく必要があるだろう。なにしろ、いままさにヒトラーを「動機は正しい」とする者たちによって、歴史が繰り返されようとしているのだから。(編集部)


ヒトラー発言に米怒り 麻生副総理は経済対話で大幅譲歩も
日刊ゲンダイ  2017年8月31日
 訪米直前に「動機は正しかった」と、ヒトラーを称賛した麻生副総理。発言は最悪のタイミングだ。アメリカのユダヤ人権団体サイモン・ウィーゼンタール・センターは、「不快であり失望した」とカンカンになっている。
 さすがに麻生副総理もヤバイと気づいたのだろう。財務省のホームページ上に、ヒトラー発言を撤回するコメントをわざわざ英語で載せている。来週、ペンス副大統領と「日米経済対話」に向けての事前協議を行う麻生副総理は、完全に弱みを握られた形だ。元外交官の天木直人氏はこう言う。

「もし、アメリカの副大統領が『ミスター麻生とは会いたくない』と会談を拒否したら、麻生発言は世界中で大きなニュースとなり、アメリカの副大統領と会えないとなったら、麻生副総理は辞職せざるを得なくなるでしょう。安倍政権を支えている麻生副総理が引責辞任となれば、安倍内閣も総辞職に追い込まれる可能性が高い。つまり、アメリカは安倍内閣を倒す生殺与奪の権を握ったということです。あのアメリカが、このカードを利用しないはずがない。公式の会談の場では一切触れなくても、非公式の1対1の場面では、ペンス副大統領は<こちらは発言を問題にしてもいいですよ>と恫喝してくるはず。麻生副総理は、日米経済問題で大きな譲歩をせざるを得なくなる可能性が高いと思う」
「ヒトラー称賛」発言をしたことで、麻生副総理が“ポスト安倍”に就く可能性は完全に消えてなくなった。

「麻生副総理がヒトラー発言をするのは、これで2回目です。アメリカ政治にユダヤ系が大きな影響力を持っているのは周知の事実です。トランプ大統領もイスラエルとは良好な関係です。麻生副総理が首相に返り咲くことは許さないはずです」(天木直人氏)
 弱みを握られた麻生副総理は、来週のペンス副大統領との会談でとんでもない無理難題を押しつけられることになる。