LITERAが「~騙されるな、小池百合子が原発ゼロや消費増税ストップをやるはずがない」とする痛烈な小池百合子批判の記事を載せました。
小池氏のこれまでの言動や政治姿勢を検証し、「希望の党」が掲げた二大政策である原発ゼロや消費増税ストップをやるはずがないと断じたものです。
LITERAが挙げた小池氏の過去の言動等は事実であって、それから類推して「~やるはずがない」とした指摘には説得力がありますが、一方、「過去は過去」であって次回も必ずそうなると言い切れるものでもありません。
小池氏に甘い幻想を抱くのは禁物であっても、政権奪取のためとはいえ「原発ゼロ」と「消費増税ストップ」を掲げたからには、希望が成就したあかつきには取り組むのではないでしょうか。彼女がそうする可能性を端から否定するべきではありません。
それとは別に民進党の前原氏は、密かに小池氏と数回の会合を行って、独断で民進党の解党と「希望の党」への合流を決め、党も28日にそれを了承しました。
前原氏は小池氏同様の極右なので合流することには全く違和感はなかったと思いますが、リベラル系のメンバーと分党するのではという予測は外れ、リベラル系の居場所を完全になくしての合流になりました。民進党はもともと一つの党の体をなしていなかったので、解党自体に異存はありませんがこの結末は意外でした。
共産党の志位委員長は28日、民進党を交えて野党4党の共闘の相談を進めてきたのに裏切られたとして「民進党の候補者が希望の党の公認候補となった場合には、原則として候補者を擁立して戦うのは当然だ」と述べ、対立候補を擁立する考えを示しました。
感情的には良く理解できますが、非自民同士で消耗戦を繰り広げても漁夫の利を得るのは政権与党です。いま永田町では「一気に与野党逆転、小池首相の誕生もあり得る」という見方もある中で、最終的に安倍政権が存続し、第二自民党の「希望の党」も進出するという選挙結果になるのこそが最悪です。
党の意地を貫いたから … というようなことで済まされる問題ではありません。
社民党の又市征治幹事長が28日の記者会見で、「希望の党」を含めた野党候補一本化について「安倍政権を倒すことは一致できる。その限りではすみ分けは起こりうる」(毎日新聞)と述べたことの方に道理があります。
話がよこ道にそれました。LITERAの記事を紹介します。
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希望の党と民進党の合流は大政翼賛会だ!
騙されるな、小池百合子が原発ゼロや消費増税ストップをやるはずがない
LITERA 2017年9月28日
民進党・前原誠司代表が小池百合子率いる「希望の党」に民進党が合流する方針を打ち出した。前原が代表に選ばれたときから、保守連合的な流れに傾く可能性は想像していたが、まさかここまでとんでもない展開になるとは……。有田芳生が指摘していたように、これはまさに悪魔と手を結ぶ行為以外の何ものもない。
「前原代表は完全に小池代表にやられた感じですね。希望の党は準備期間が短すぎて、全国で候補者を立てるのは不可能な状況だった。そこで、小池代表は、壊滅必至で焦っていた民進党と前原代表につけこみ、民進党の全国組織と候補者、政治資金をそのままのっとろうと考えたわけです。小池氏は現段階では表向き衆院選での出馬を否定していますが、これは嘘。5日に、都知事辞任と衆院選出馬を表明するのは確実です。民進党との合流の動きが出てきたことで永田町では一気に与野党逆転、小池首相の誕生もあり得るという見方が広がっています」(全国紙・野党担当記者)
しかし、本サイトで再三指摘してきたように、小池百合子と希望の党の本質は安倍自民党とほとんど同じ極右、ヘイト肯定の歴史修正主義者で、弱肉強食の新自由主義者でしかない。そんな連中が中心となって、与野党逆転が起きたとして、今の状況が変わるのか。二大極右政党制、そして日本を戦争に引きずり込む大政翼賛会が生まれるだけではないか。
実際、小池代表は昨夜、BSフジの番組で合流の条件として、改憲と安保を踏み絵に迫ることを宣言した。さらに、旧社会党系を排除することも宣言した。
だが、こんな状況にもかかわらず、リベラルなメディアや識者からも、今回の希望の党と民進党の合流の動きを歓迎する声が出てきている。すでに一部のリベラル系ジャーナリストや元官僚などが希望の党のブレーンとして協力しているという話も伝わってきた。彼らの論理は“希望の党の綱領や、政策には原発ゼロなど、いい政策も多い。安倍政権を倒してこうした政策を実現してくれるなら、応援してもいいのではないか”というものだ。
たしかに、希望の党が掲げている原発ゼロや消費増税見送り、情報公開の推進などの政策は、実現するならそれは大歓迎だ。小池首相誕生の価値はあるといえるだろう。
だが、はっきりいうが、小池代表が仮に総理になっても、本気でこうした政策に取り組むとはとても考えられない。というのも、希望の党が掲げている「いい政策」は、小池の過去の言動や政治姿勢と明らかに矛盾しているからだ。これらがいかに選挙目当てのインチキにすぎないか、ひとつひとつ検証してみよう。
東京への核配備を主張していた小池が「原発ゼロ」などやるはずがない
まず、目玉公約としてぶちあげている「原発ゼロ」。マスコミはまるで、小池がもともと脱原発的スタンスであったかのようなトーンで報じているが、小池はこれまで、原発に対して批判的スタンスをとったことなど一度もない。昨年の都知事選でも、原発再稼働に対し「安全確保が第一」と容認していた。
都知事になって以降も同様だ。そもそも、東京都は東京電力の株を1・2%保有する、4番目の大株主だ。つまり、東京都知事である小池は、東京電力に対し、原発再稼働反対や脱原発を要求することのできる立場にある。しかし、小池は一切そのような行動をとっていない。
25日にかかげた政策で「原発ゼロとゼロミッション社会への工程作成」と曖昧なことしか書いていなかったが、早期に原発ゼロを目指すのであれば、まず真っ先に再稼働の阻止だろう。現在、株主である東京電力の柏崎刈羽原発がまさに再稼働待ったなしの状況になっているが、もし小池の原発ゼロが本気なら、とっくに大株主として東電に再稼働するなと言っているはずだ。しかし、小池の口からそんな言葉が出てきたことは一度もない。
しかし、それも当然だろう。本サイトでも報じてきたように、そもそも小池は脱原発どころか、核武装論者なのだ。
たとえば2003年保守論断誌「Voice」(PHP研究所)3月号では、現在の日本会議会長である田久保忠衛氏、救う会会長の西岡力氏と鼎談しているのだが、そのなかで“東京に核ミサイルを配備しよう”という計画までぶちあげている。
タイトルは「日本有事 三つのシナリオ」。内容は小池氏、西岡氏、田久保氏の3名がそれぞれ議題を提示して討論するという企画なのだが、「東京に核ミサイルを」なる小見出しの項で、小池はこう言い放っている。
「軍事上、外交上の判断において、核武装の選択肢は十分ありうるのですが、それを明言した国会議員は、西村真悟氏だけです。わずかでも核武装のニュアンスが漂うような発言をしただけで、安部晋三官房副長官も言論封殺に遭ってしまった。このあたりで、現実的議論ができるような国会にしないといけません」
さらに西岡が “東京核ミサイル配備”というトンデモ提案をはじめると、それをなだめるどころか、記事の最後で「ところでこの座談会、北朝鮮側に読ませたくないですね(笑)。手の内が分かってしまうので」などと、おおはしゃぎで賛意を示したのだ。
しかも、小池はこの鼎談がよほど気に入ったのか、自分のホームページにテキストを全文転載し、無料公開までしていた。
ちなみに、昨年の都知事選時のテレビ討論で、この核武装発言について鳥越俊太郎につっこまれた小池は、厚顔にも「捏造です」と強弁。いまでは、ホームページからも削除してしまった。
しかし、このテレビ討論で、都知事になったら非核都市宣言をしないのかと問われ、「いたしません。明確に申し上げます」と答えていたように、小池の本音はまったく変わっていない。小池は希望の党旗揚げ直後、小泉純一郎と会っているが、原発ゼロをもちだしたのは、小泉を取り込むための作戦。そんな人間が原発ゼロに本気で取り組むはずがないだろう。
「情報公開」などとどの口が、小池が都政でやってきた情報の隠蔽
さらに、噴飯ものなのが、27日に発表された綱領でも謳われている「情報公開の徹底」だ。
小池は25日の会見でも、「特区の問題についても必要だが、情報公開やお友達関係でやっている間は特区の意味がない」などと加計問題をもちだし、安倍政権の情報隠蔽を批判していたが、小池に安倍政権の情報隠蔽を批判する資格などまったくないだろう。
先の都議選で、小池率いる都民ファーストは「情報公開が一丁目一番地」と掲げていたにもかかわらず、小池はまったく逆の情報隠蔽を行ってきた。
小池は築地と豊洲市場の併存方針を打ち出したが、その検討記録は残っていなかったことが情報公開請求によって判明。そのことを追及されると、こんな信じられない開き直りを見せた。
「それは(私が)AIだからです」
「最後の決めはどうかというと、人工知能です。人工知能というのは、つまり政策決定者である私が決めたということでございます」
安倍首相の「我々の説明はまったく正しいと思いますよ。私は総理大臣なんですから」にも通じる、肥大した自己評価の末の全能感。「徹底した情報公開」を求めても「私はAIだから」の一言でシャットアウトされるだけなのに、それを政策に盛り込む厚顔さに反吐が出る。
都民ファーストの議員たちにも一切取材に応じさせず、代表も独断で降りたりすげ替えたり、党運営においても情報隠蔽が徹底されている。
これでなぜ政策や綱領に「情報公開の徹底」などと掲げられるのか、神経を疑う。小池が、公約なんて守るとか破るとか、なんとも思っていないことがよくわかる。
そういう意味では、消費税増税凍結も、まったく信用できない。「実感の伴う景気回復まで消費増税は立ち止まる」などと語っているが、市場問題で「豊洲移転は立ち止まる」と言って結局は豊洲移転だったことを彷彿とさせる。
そもそも、小池が弱肉強食、弱者切捨てを主張する露骨な新自由主義者だ。過去には「国家に依存し、保障を要求するような社会を抜け出せ」だの「優しすぎる社会は国を滅ぼす」だの「社会保障より安全保障」だの「自助の精神を失ったら、日本は危ない」だのといった主旨の、社会保障を否定する発言を再三行ってきた。
逆進性の消費税増税見送りと再配分を本気で考えているなら、富裕層への増税や法人税、相続税アップを主張するのが普通だが、小池は先の会見で、トランプの法人税減税を評価する発言をしていた。
かけてもいい。もし、小池政権になれば、さらなる法人税減税と富裕者優遇が進み、そのうち、逆進性の消費増税が行われ、大幅な社会保障カットが行われるだろう。
小池の本質は極右ヘイト、歴史修正主義
しかも、小池の問題点はたんに「いい政策」を反故にするだけではない。小池が政権をとれば今以上に、極右ヘイト、歴史修正主義が広まる可能性もある。
小池は都知事として今年、関東大震災で虐殺された朝鮮人犠牲者への追悼メッセージを拒否。しかも、「関東大震災という非常に大きな災害、それに続く様々な事情によって亡くなられた方々」などと言い、朝鮮人虐殺というヘイトクライムの歴史事実を否定した。
しかも追悼文拒否の背景には、「日本女性の会 そよ風」という極右ヘイト団体の存在があったといわれる。「そよ風」は在特会の関連団体で、慰安婦問題や関東大震災朝鮮人虐殺の否定などを主張しており、2013年には大阪・鶴橋で「いつまでも調子にのっとったら、南京大虐殺ではなく『鶴橋大虐殺』を実行しますよ!」などとジェノサイドを先導したヘイトデモに協力しており、「そよ風」北海道支部長の女性は桜井誠・前在特会会長の「日本第一党」の副党首まで務めている。「そよ風」は、関東大震災の朝鮮人虐殺を否定する歴史修正運動とロビー活動に熱を上げており、各地の朝鮮人慰霊碑の撤去を求める街宣や東京都に対する公開質問状の送付などを行なっているのだ。そして小池自身、2010年にこの「そよ風」主催で在特会女性部協賛の講演会をおこなうなど、もともと浅からぬ縁がある。
26日の都議会でも、朝鮮人虐殺について質問されたが、小池は「様々な内容が史実として書かれていると承知している。だからこそ、何が明白な事実かは歴史家がひもとくものだ」などと答え、虐殺の史実を認めなかった。言っておくが、関東大震災時の朝鮮人虐殺をなかったなどという歴史家は保守派にもいない。ネトウヨ御用達のトンデモ本くらいだ。
さらに数々の公約を反故にしている小池だが、ヘイト公約だけは実行している。それが、「韓国人学校への都有地貸与の撤回」だ。
都知事選に突如名乗りを挙げた際に、真っ先に公約として「韓国人学校への都有地貸与の白紙化」語っていたが、この政策自体が小池の差別意識にもとづいたものだった。
韓国人学校問題の経緯をあらためて振り返ると、舛添要一前都知事が韓国政府の依頼に答えるかたちで新宿区にある都有地を韓国人学校増設のために有償で貸し出す方針を打ち出した。しかし、ネット右翼たちがこれに反発。「朝鮮人へのえこひいき」などと差別的言辞を投げつけながら都庁に抗議殺到し、ヘイト団体「頑張れ日本!全国行動委員会」も都庁前で抗議デモをおこなった。また、産経新聞をはじめとする保守メディアも「保育園不足よりも韓国人学校か?」とバッシングを展開していた。
もともとこうしたレイシストたちに応えたヘイト公約だったが、昨年12月の所信表明のなかでも自身の功績としてこう誇ったのだ。
「都民ファーストの観点から、地域住民の声も反映し、韓国人学校への都有地貸与の撤回なども行ってきた」(産経ニュース12月1日付)
「希望の党」の反作用として期待されるリベラルの結集
韓国人学校の土地貸与撤回は「都民ファースト」──。この発言は、東京に住み、住民税をおさめ、韓国人学校に通う人々を「都民ではない」と言っているようなものだ。韓国人学校を槍玉に挙げ、「都民ファースト」の名のもとに土地貸与を撤回したことを手柄として誇る行為は、小池の特定民族に対する差別を表明しているようなものだ。しかも、東京に住む「都民」たる韓国人への嫌悪感情をより一層煽る、政治家にあるまじき悪質な言動である。
レイシストに媚び、ヘイトクライムの過去を真摯に反省することなく、韓国人への憎悪感情をさらに煽る。小池は新党で「わが国を含め、世界で深刻化する社会の分断を包摂する」などと言っているが、やっていることはむしろ差別を助長することばかりだ。小池は都知事選で「ダイバーシティ」を連呼していたし、希望の党綱領でも「国民が多様な人生を送ることのできる社会を実現する」などと謳っているが、本当の意味で多様性など考えていないのは明らかだ。
小池は都知事選の公約で「ダイバーシティ」を「ダイバー・シティ」と誤表記して笑い者になっていたが、ようするに、小池の多様性への意識などその程度のものなのである。
もはやこれ以上の説明の必要はないだろう。核兵器保有、社会保障否定、ヘイト肯定の極右思想をもち、自らの権力保持のために平気で嘘をつきまくってきた人物が、原発ゼロや消費増税ストップ、情報公開などを、やるわけがないではないか。
そもそも小池は反安倍を演出しているが、安倍と同じ改憲派なのはもちろん、違憲の安全保障法制にも、特定秘密保護法にも衆院議員として賛成しており、今も安全保障法制も特定秘密保護法も共謀罪も廃案など一切語っていない。それどころか違憲の安全保障法制にいたっては、容認を党参加の踏み絵にしているほどだ。
繰り返すが、こんな人間に率いられた希望の党が民進党をのみこみ、与野党逆転を果たしたとしても、そこに誕生するのは、極右二大政党制、そして大政翼賛会の再現でしかない。
ただ、救いはある。民進党のリベラル派や自由党の一部がこの流れに反旗を翻す動きがあるからだ。希望の党と民進党の野合が、リベラル勢力の結集につながり、私たちが支持すべき政治勢力を明確にしてくれる可能性が高い。
マスコミ報道はおそらく希望の党一色になるだろうが、騙されてはならない。私たちが応援すべきは、希望の党になびくことなくリベラルなスタンスをつらぬく政治勢力だ。 (編集部)